功夫電影専科

功夫映画や海外のマーシャルアーツ映画などの感想を徒然と… (当blogはリンクフリーです)

『少林英雄之方世玉洪熙官/少林英雄/方世玉與洪熙官』

2009-07-22 22:50:24 | カンフー映画:珍作
少林英雄之方世玉洪熙官/少林英雄/方世玉與洪熙官
Shaolin Avengers/Kung Fu Kid/Shaolin Heroes
製作:1994年

●皆さんお久しぶりです。今回の集中豪雨で山口県はエラい目に遭い、私自身も大雨の凄さと恐ろしさを深く思い知りました。各地でも被害が出ていますが、私の方でもちょっとゴタゴタしていたので更新が停滞していました。今回から更新を再開していきたいと思いますが、メールやコメント等の返答に関しましては後日以降となることをご了承下さい。

 さて、気を取り直して本日のレビューです。
少し前に『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/天地激震』という功夫片を紹介する機会があったが、この作品は同じスタッフが再び結集して作った姉妹編である。
先の『天地激震』は当時流行していた黄飛鴻系列の作品で、錢嘉樂(チン・ガーロッ)が黄飛鴻を演じていた。しかし実際の作品はそれほど面白いものでは無く、単なる便乗作品に終わっていた。一方、本作はタイトルにもあるとおり方世玉と洪熙官を扱った作品だ。この題名だと張徹の『嵐を呼ぶドラゴン』を彷彿とさせるが、特にリメイク作品というわけではないらしい。
 物語は少林寺が焼き討ちされ、各地に逃げ延びた少林派と少林叛徒・高進忠の対決を描くという、この手の作品としては非常にオーソドックスな内容だ。ここに方世玉が巻き起こすドタバタが挟まれる(というか、作中の大半は方世玉パートばっかり)のだが、やはり今回も二番煎じ感が漂っている。作中では方世玉を錢嘉樂が、洪熙官を林正英が、高進忠を孫國明がそれぞれ演じているが、当然の如く錢嘉樂は間の抜けたお坊ちゃんキャラで、このへんも李連杰方世玉の影響が見え隠れしている。
功夫アクションは武術指導を小侯と黎強權が担当しているため、質はそれなりに高い。だが『天地激震』でも見せたワイヤーインフレがここでも発生しており、役者たちは浮ついた闘いを強いられている。しかも錢嘉樂と林正英と孫國明以外のキャストにスタントダブルが非常に目立ち、作品全体のフワフワ感が更に増しているのだ。
 以前、『天地激震』のレビューで「せめて地に足を着けたバトルに徹してくれたら」という感想を書いたが、『天地激震』で犯した失敗は本作でも改善されないまま放置されている。ラストの錢嘉樂VS孫國明もクルクル飛び回るだけの殺陣で、孫國明が唐突に『天地大乱』の布槍を使い出したのには萎えました(もちろん穀物も降ってきます)。
ストーリーにも未整理な部分が多く、片っ端から不要になった登場人物を殺していく陰惨な展開はどうにかしてもらいたかったし、ギャグとシリアスのバランスにも不釣合いな箇所が目に付く。監督の李超は協利電影で『識英雄重英雄』という傑作を作り、『古惑仔』シリーズを引き受けた人物だが、本作と『天地激震』の体たらくは一体どうした事なのだろうか?いかに便乗作品とはいえ、詰めの甘さが気になる微妙な作品。いくらなんでもこれはちょっと…。

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