功夫電影専科

功夫映画や海外のマーシャルアーツ映画などの感想を徒然と… (当blogはリンクフリーです)

『新・ピィナッツ』

2010-10-11 23:27:32 | 日本映画とVシネマ
「新・ピィナッツ」
製作:1997年

●昔から功夫片や格闘映画では、たびたび夢の対決というイベントが組まれてきました。普段顔を合わせない者同士が拳を交える姿は、ファンにとってはマンネリを打破する嬉しいサプライズであり、製作側にとっては作品に大きな価値を与えられる便利な手段でもありました。
香港では夢の対決そのものをメインに映画製作を行った会社もあるほどですが、ハリウッドでは制約があるのか実現しづらい傾向にあります。では、我が日本の夢の対決事情はどうなっているのでしょうか?
 和製格闘映画といえば、まず思い浮かぶのがJACの空手映画ですが、意外にもJAC作品での夢の対決は皆無と言っていいほど少ないのです(仲間うちの対戦が多かったため)。
90年代以降はVシネを舞台に様々な対戦カードが実現しており、代表的なところでは『覇拳』の塩谷庄吾VS慮恵光、『ザ・格闘王』のケイン・コスギVS倉田保昭、『ボディガード牙』の大和武士VS松田優、『拳鬼』の阿部寛VS石橋雅史などが挙げられます。

 実を言うと、Vシネ業界における格闘スター同士の共演は珍しい事では無いのです。そもそも製作本数自体が多いので、共演だけに限定しても相当数に上ります。そんな夢の対決が比較的実現しやすい環境にあるVシネ作品から、今回は清水宏次朗と岸本祐二のW格闘スター(新旧BE-BOPコンビ!)が共演した作品を紹介してみましょう。
本作は竹内力主演作『ピィナッツ/落華星』の続編ですが、特にこれといって関連性の無い?アクションVシネです。ストーリーは清水&岸本の凄腕ヒットマンコンビが10年ぶりに日本へ帰国し、かつて仕事を手伝ったことのある極道幹部・石橋保から警護を依頼され、巨悪と闘っていくというもの。
主役の2人はそれぞれ担当するエピソードがあり、清水は「石橋と彼の為に夢を失った女・大竹一重の関係」を、岸本は「中国から連れてこられた女の妹を助ける&新人歌手との恋模様」を受け持っています。

 色々な出来事が交錯するハードボイルドな群像劇…といった感じの物語ですが、正直言って作品そのものはそれほど面白くはありません。というのも、繰り広げられるエピソードのほとんどが月並みな内容で、全てにおいて凡庸な出来に終始しているのです。
この思い切りに欠ける演出は、同じ佐々木正人の監督作『新書ワル 復活篇』と非常によく似ており、アクセントの利いた山場が無い点も一緒。本作ならではといえる要素も無く、既視感がバリバリの状態になっています。
 また、清水VS岸本の対決は味方同士なので当然あるはずもなく、今回の夢の対決はもちろんお預け。格闘アクションは例によって「暗いシーンばかりで役者が見づらい」という極悪パターンで、殺陣のレベルもそこそこ止まりでした。
ちなみにプロレスラーの安生洋二・高山善廣・山本健一らゴールデンカップスが敵の刺客として出演しているのですが、動きが遅いので宝の持ち腐れに終わっています。強いて言えば、清水VS敵幹部のタイマン勝負だけは唯一面白かったと言えるかもしれません。
 良い素材が揃っていながら、各々の個性を上手く引き出せなかったために寸詰まりとなってしまった惜しい作品。最近はストーリーを複雑化させた映画が目立ちますが、シンプルなストーリーでも演出次第でこうなってしまうとは…映画とは本当に難しいものです。
ところで本作には続編もありますが、こちらでは夢の対決が実現しているのか否か?気になるところなんですが、本作を見た後では期待して良いものかどうか…(汗

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
芸能界研究会(名前検討中 (村石太レディ&ビーバップ)
2011-10-03 21:20:00
こちらのⅤシネマ まだ 見ていません
Ⅴシネマ同好会(名前検討中
第1回ミスター日本グランプリ 準優勝の岸本さん ハカイダー好きです。助さん役 頑張ってください。Vシネマも好きです。
清水宏次郎さんの ベストアルバム 持っています。音楽同好会(名前検討中
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返信(2) (龍争こ門)
2011-10-06 01:53:37
村石太レディ&ビーバップさんこんばんは、初めまして。

 岸本祐二は他にも色々な作品に出演していますね。『ビーバップ』以外で格闘アクションを見せる作品が少ないですが、当ブログでも出来るだけ彼の足跡を追っていきたいと思っています。
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