
あすの会幹事 林良平氏
夜中の1時、枕元のポケットラジオのスイッチを入れたら、NHKラジオ深夜便「人権インタビュー」最終回の放送をしていた。インタビューの相手はあすの会(全国犯罪被害者の会)幹事林良平さん。
大阪西成の医療センターで看護師として働いていた林さんの奥さんが、平成7年阪神大震災の8日後の1月25日、仕事帰りの横断歩道で、見知らぬ男にいきなり出刃包丁で腰背部を根元まで突き刺され、重度障害者となり、家でほとんど寝たきりの状態という。
今年、時効直後に別件で逮捕された男の指紋が、林さんの奥さんの事件の指紋と一致し、犯行を自供したとのことであるが、刑事裁判を受けさせることの出来ない無念さがインタビューの声に滲み出ていた。林さんは、犯罪被害者の立場から、仲間とともに時効廃止の運動を展開、今年4月成立した時効廃止を盛り込んだ刑事訴訟法改正に、多大なご尽力をされたのである。
林さんには事件当時、小学校1年と幼稚園年長組の男の子二人いたとのことで、突然の悲劇に親戚を含めパニック状態になった。それから15年余り、重度障害の妻と小さな子供二人を抱えての過酷な生活ぶり、誰も負担してくれない治療費のことなど、聞いていて堪らない気持ちになってしまった。同じ男の子二人を抱え、妻を早くに亡くした私の苦労などは比較にならないほど大変だと思う。
毎日のように伝えられる犯罪。犯人のことばかりが報道されて犯罪被害者の家族のことはあまり知られていない。犯罪被害給付制度などの支援制度があるものの、精神的、経済的負担は計り知れない。被害者家族には、精神的、肉体的な苦しみ悲しみが死ぬまで続くのである。
林さんは犯罪防止のための教育の必要性も熱心に説いている。今の日本の教育は、他人を押し退けてでも勝ち抜くことに懸命で、こころの教育には程遠い。家族を他人を思いやる子育てを、親と先生が協働してやっていくしかない。かくいう私は、子育てをおふくろに任せっぱなしで、子育てしたという意識は薄いが、二人の息子も中年の家族持ちとなり、子育ての真っ最中である。こころの教育の大切さを実践しているようでありがたいと思っている。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます