私の闇の奥

藤永茂訳コンラッド著『闇の奥』の解説から始まりました

アムネスティの偏向の原因を考える

2017-02-27 21:06:54 | 日記・エッセイ・コラム

アムネスティ・インターナショナルはもともと限界を抱えていた団体なのか、もとはまともだったが堕落していったのか、そこは議論があるかもしれません。いずれにせよ、かなりひどい実態になっていることは間違いありません。善意の支援者たちを失望させていることも確かでしょう。以下は、数十年にわたりアムネスティを支援してきたという1人の学者が、今回のセドナヤ刑務所報告書をうけて書かれた文章です。

Amnesty International on Syria – at it again!
https://timhayward.wordpress.com/2017/02/08/amnesty-international-on-syria-at-it-again/

「アムネスティの草の根の支援者たちが何よりも気にしなければならないことは、今回の報告書によってこの団体は何を成し遂げようとしているのか、ということだ。アレッポ包囲戦が収束し、国際社会によるより建設的な関与の可能性が出てきたところで、シリア政府を悪魔化する試みを再開する理由は何なのだろうか? 紛争当事者のいずれも一線を超えた行為に対しては責任を問われねばならないが、アムネスティが最も気に掛けるべきは人間存在であり、アムネスティが最も関心を置くべきは平和の達成に本来はあるはずだ。消えかかった紛争の燃えさしをかきたてるということではない」というメッセージは、本当にそのとおりだと感じました。「at it again!(性懲りもなくまたか!)」というタイトルには、救いがたい幻滅の響きもありますが、本文からは、長年支援してきたアムネスティに本来あるべき姿に戻ってほしいという願いも感じられます。

アムネスティはなぜ西側の侵略戦争の代弁者になったのか、この問題は難問ですが、いくつかの構造的な要因は挙げることができると思います。一つは資金面、もう一つは人事面です。

NGOはその名のとおり非政府組織、いかなる政府からも独立の立場にあり、それゆえに活動に公平性が担保されると考えられています。しかし、これは建前で、実際には多くのNGOに政府からの資金が流れているようです。アムネスティにも欧米各国からの資金が流れているという指摘があります。

http://www.ngo-monitor.org/ngos/amnesty_international/

「アムネスティは、人権調査活動のための資金を、いかなる政府や政党からも受け取ってはいないと主張しているが、実際には政府の資金を受け取っており、イギリス国際開発省、欧州委員会、オランダ政府、米国政府、ノルウェー政府などが含まれている」

Breaking Its own Rules: Amnesty's Researcher Bias and Govt Funding
http://www.ngo-monitor.org/reports/breaking_its_own_rules_amnesty_s_gov_t_funding_and_researcher_bias/

この記事によれば、イギリス国際開発省から入った2008年から4年間の助成金合計が3,149,000ポンド(この当時のレートをおよそ1ポンド150円とすると約4億7千万円)、2009年には250万ユーロ(およそ1ユーロ130円とすると約3億3千万円)を各国政府から受け取っています。

「アムネスティの自己正当化」という見出しの部分を以下にご紹介します。

「ほとんど知られていない文書だが、アムネスティは政府助成金の受け入れを容認している。2006年5月発行のアムネスティのニュースレターにはこうある。「人権教育プログラムは、アムネスティが通常行っている問題発生をうけての事後的な調査や運動、被害防止的・啓発的な人権活動とは異なるものです。このため、人権教育プログラムにおいては、アムネスティは各国政府とより協力的に活動し、教育活動に充てるための資金を政府から受けることも可能とします」と。そして、この立場を正当化するために「教育プログラムのために政府から資金を受けることは、アムネスティが政府に取り込まれるとか、公平性の原則をないがしろにするとかいうことを意味するものではありません」としつつ、「国内または世界の人権問題に関する理解を各国政府がより一層推進しようとしているかどうか、その熱意を測る」ための手段の一つとして、政府から資金を受け入れるのだと主張している。この部分は、アムネスティが自身のウェブサイトに掲載している「私たちは“人権調査のための”資金を政府に求めたり受け取ったりすることはしません(強調部分追加)」という言い回しが何を意味するものだったのかを示した。しかし、この注意を呼び掛けるべき但し書きが、アムネスティのPR文書からは抜け落ちているのだ。…」

ご参考までに、以下にこのアムネスティのニュースレターを添付します。

Human Rights Education Newsletter: Issue 15, May 2006
https://www.amnesty.org/en/documents/pol32/002/2006/en/

また、以下の二つの記事には、アムネスティへの資金提供者として世界的大富豪ジョージ・ソロス(George Soros)の名前があがっています。政府(政治権力)からの資金のみならず、大富豪(経済権力)からの資金提供も、公平な活動を歪めているようです。

“Human Rights” front groups (“Humanitarian Interventionalists”) warring on Syria
https://ingaza.wordpress.com/syria/human-rights-front-groups-humanitarian-interventionalists-warring-on-syria/

George Soros: Anti-Syria Campaign Impresario
http://21stcenturywire.com/2016/04/22/george-soros-anti-syria-campaign-impresario/

二つの記事を順にご紹介します(役職などは記事掲載当時のもの)。

「アムネスティ・インターナショナル:
アムネスティは各国政府と企業投資家の双方から資金を得ている。後者で最も悪名高いのは、金融犯罪で有罪判決を受けたジョージ・ソロスが率いるオープン・ソサエティ財団である。この財団は、ヒューマン・ライツ・ウォッチをはじめ無数の人権活動家たちに資金を提供している。アムネスティ米国支部事務局長のスザンヌ・ノッセル(Suzanne Nossel)は、米国国務省から直接引き抜かれてきた人物である。…アムネスティのウェブサイトには、米国が後押しして実現したイラン・シリア・リビア・コートジボワールなどに関する国連決議のためにノッセルが果たした役割が紹介されている。…ノッセルの役割は、剥き出しの軍事侵攻や国際的な企業投資家のヘゲモニーを、見せかけの“人権活動”で着飾らせることにほかならない。〔Amnesty International is US State Department Propagandaより〕」

「パートナーNGO
ソロス財団にとってこれまた非常に重要なパートナーシップの形態がさらにある。補助金を受ける者たちとの関係だ。これらの者との間でソロス財団は、自身の重要なアジェンダを遂行するうえでの同盟関係を、長年かけて培ってきたのだ。パートナーには次の者が含まれるが、これらに限られるものではない。国境なき医師団(Médecins Sans Frontières)、エイズ財団(AIDS Foundation East-West)、世界の医療団(Doctors of the World)、パートナーズ・イン・ヘルス(Partners in Health)。なぜこうした団体なのかというと、公衆衛生に深刻な危機が生じる事態では、人権の被害も付随することが多いからである。
(オープン・ソサエティ財団〔ソロス財団〕のパートナー・リストより)

アムネスティ・インターナショナル
さらに、ソロス財団から資金を受けているNGOの中で、シリアの虐殺はすべてアサド政権のせいだと悪魔化し、欧米の武力介入に世論が賛成するよう助力している団体がある。アムネスティ・インターナショナルである。2013年までアムネスティ米国支部事務局長を務めたスザンヌ・ノッセルは、米国国務省の国務次官補代理から移って来た人物だ。米国国務省はシリアに関してバイアスのない組織とは必ずしも言えないものだろう。
(New Eastern Outlook掲載のウィリアム・インドール〔William Engdahl〕氏の記事より)」

アムネスティを歪ませる要因の一つとして、政治権力や経済権力からの資金の流れという問題を見てきました。次に、もう一つの要因としての人事面の問題に移ります。

既に名前が出ましたが、スザンヌ・ノッセルについては以前に藤永先生が批判をされていました。

Add Women and Stir (3)
http://blog.goo.ne.jp/goo1818sigeru/e/f7000abf7d69629c4098ab2fa36e4edb

ネット上には以下のような記事もありました。

AN INTRODUCTION: Smart Power & The Human Rights Industrial Complex
http://21stcenturywire.com/2016/04/19/an-introduction-smart-power-the-human-rights-industrial-complex/

「コンセンサス形成のアウトソーシング
重要な国際問題について西側の人々の認識・世論を形成することは、主要大国が外交政策の目標を実現するうえで必須となる。NGOの政策方針の多くが西側諸国の外交政策とぴたりと一致しているという事実は驚くに当たらない。1990年のユーゴスラビア紛争では、人権団体はユーゴの分断を支持した。2014年のウクライナ、2016年のシリアとイエメンでは、彼らはレジームチェンジを支持した。いずれのケースでも彼らは、国連安保理の西側ブロックである米国・英国・フランスの外部広報機関として機能した。こうした共謀について団体の上層部は百も承知であり、彼らの最新アジェンダは、NGO・政府・メディアの間に存在する彼らにとってうまみのある回転扉(訳注:人材が相互に行き来することを指すたとえ)をとおして、確認・形成されていくものである。

人権擁護産業
20世紀に勃興した国際的革新運動の中では添え物程度に過ぎなかった存在が、21世紀に入ると雨後の筍のように増殖し、数十億ドルが動く、国際的な規模をもった、非政府組織へと発展した。そして、世界的な多国籍企業が、こうした団体に資金面で支援をしているのだ。この複雑な関係性の中で牽引役を務めているのが、アムネスティ・インターナショナル、ヒューマン・ライツ・ウォッチ、国際人権連盟(Worldwide Human Rights Movement: FIDH)である。彼らは、中央政府との直接的なつながりのほか、驚くことに軍産複合体の中枢との間でもつながりを充実・発展させてきた。「慈善団体」という表向きの顔に隠れて、こうした団体の多くは、政治的アジェンダを推進し、米国・NATOの戦争計画のためのPR機関としても効果的に機能する。こうした「人権擁護産業複合体」を前面に押し出し、その裏で地政学的アジェンダの形成に動いている重要な存在がある。西側ではホワイトハウスと国務省がその中心である。そして、そうした「政治」のさらに裏側においてこそ、実は本当の仕事がなされており、そこには無数のシンクタンクが存在している。彼らは、大学研究機関類似の支援機構として、政策立案、国家基本戦略その他の重要計画の展開などを担っている。この“シンクタンク業界”の中で名前を挙げることができるものとしては、外交問題評議会(Council on Foreign Relations: CFR)、戦略国際問題研究所(Center for Strategic and International Studies: CSIS)、ブルッキングス研究所(Brookings Institute)、ヘリテージ財団(Heritage Foundation)、アメリカン・エンタープライズ研究所(American Enterprise Institute :AEI)、外交政策イニシアチブ(Foreign Policy Initiative: FPI, アメリカ新世紀プロジェクト〔Project for the New American Century: PNAC〕の後継団体と見られている)などがある。こうしたシンクタンクや財団は、大部の政策論集や調査報告、戦略研究などをまとめあげ、様々な商業メディアをとおして、あるいは、ワシントンDCやニューヨークで開かれる式典・会合・イベントなどの場で配布するが、そうした能力から「政策製造所」とも呼ばれている。1990年代には、湾岸平和安全委員会(Committee for Peace and Security in the Gulf)のようないくつかのシンクタンクが、「イラク戦争開戦」といったある特定の対外政策目的の推進のために立ち上げられた。戦争のあるところその裏には間違いなくシンクタンクあり、ということだ。

人権活動家の就職用回転扉
米国国務省と西側の主要な人権団体との間に人事の回転扉が存在するということは周知の事実である。外交問題評議会(CFR)の政策文書からもそうした関係を知ることはできる。そこにはこう書かれている。「“曖昧な反対の意思”から“強い説得力のある構想”にまで前進させるために、進歩的な政策の立案者たちは、20世紀の米国の外交政策「リベラル国際主義」という力強い頼みの綱に依存すべきである。この政策は、安定的な自由民主国家からなる世界システムは戦争に向かう危険がより少ない、という前提に立つものである。…この理論(リベラル国際主義)は、自決・人権・自由貿易・法の支配・経済発展の推進や、独裁者や大量破壊兵器の締め出し・排除、といった広範な目標を達成していくために米国が積極的なリーダーシップを発揮すべきであるという論を展開していく」。シリア紛争の文脈においてこの文章を読むと、ワシントン(米国政権中枢)が実際どのように動くのかについての荒涼とした絵を示しているものと言える。これは、ワシントンの最も高名な人権活動家の1人であるスザンヌ・ノッセルが書いた文章だ。彼女は2012年に、米国国務省の国際機関担当国務次官補代理の地位から、アムネスティ・インターナショナル米国支部事務局長の地位にダイレクトに移籍した。国務省勤務の前は、ヒューマン・ライツ・ウォッチの最高執行責任者や、ウォール・ストリート・ジャーナル副社長(戦略・執行担当)、CFRの設立メンバーの一社マッキンゼー・アンド・カンパニーのコンサルタント(メディア、コミュニケーション担当)などを歴任した。ここに見られるのは、ワシントンの外交政策の中枢との間で確たる紐帯をそなえた強力な広報宣伝者の履歴である。しかも、リビアやシリアといった中東のいくつもの国々が、米国主導の国際的圧力への屈服・従属を強いられつつあるというときのものだ。ワシントンが好むようなナラティブを発信していくことは最優先事項であり、米国の対外方針を第一級のNGOアムネスティをとおして国際的に発信していくうえで、ノッセルはきわめて重要な存在だったことだろう。この頃、米国は若者向けの新たなキャンペーンを立ち上げ、地政学的意図をもったナラティブを売り込み始めた。そのナラティブとは「言い訳はもうたくさんだ。ロシアは二度にわたり国連安保理決議に拒否権を発動し、武器を供給し続け、暴力を悪化させている」というものだ。デジタル媒体や紙媒体をとおしたこのキャンペーンは、反ロシア・反シリアのPRを促進するための集会やイベントなどでも支持された。2012年のあるイベントでは、ネパールの若い生徒たちが「Russia: Stop Arms Transfer to Syria!(ロシアよ、シリアに武器を運ぶのをやめろ!)」と書かれたプラカードを掲げる姿が見られた。

https://themoscowtimes.com/static/uploads_new/publications/2016/7/1/e1626f52588a40bcb960c94e807d9b4b.jpg

米国国務省発の対外政策を鏡のように忠実に反映している事実を思えば、このキャッチーなスローガンがいかに人権擁護と関係が薄いものかということが容易にわかるだろう。地政学上の思惑から、ロシアとシリアを孤立させる試みであることが容易に見えてくるだろう。実際、アムネスティのナラティブは、事実とまったく逆なのだ。アムネスティは、シリアにおける暴力の継続と悪化の責任はすべてロシアにあると責め立てる。しかし、そのシリアは、代理戦争をしかけてきた米国主導の有志国連合に属するCIAやその他の国々の諜報機関に加えて、外国からの過激派テロリスト武装集団、違法に国境を越えて搬入される武器などであふれかえっているというのが事実なのだ」

スザンヌ・ノッセルが去った後の現在のアムネスティはどうかといいますと、根本的には何も変わっていないようです。アムネスティのサイトには主要構成員のキャリアが紹介されており、現事務局長のマーガレット・フアン(Margaret Huang)は米国議会スタッフ、上院外交委員会スタッフとして活動した過去がありました。メンバーの中には、上の批判記事に出てきたジョージ・ソロスの財団で活動していた者も見られます。

http://www.amnestyusa.org/about-us/who-we-are/board-of-directors

アムネスティを歪ませる「資金面」と「人事面」の問題をそれぞれ見てきましたが、次の記事はこの双方の問題が手短にまとまっているものです。手厳しいタイトルですが、これがアムネスティの真実なのかもしれません。ちなみに、私もこれは何だろうと気になったのですが、記事冒頭の奇抜な女性たちの写真は、「ロシアのプーチン大統領に目出し帽を送りつけよう」というアムネスティのキャンペーンとのことです。

Amnesty International is US State Department Propaganda
http://landdestroyer.blogspot.jp/2012/08/amnesty-international-is-us-state.html#_blank

桜井元   (2017年2月27日)
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3 コメント

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誤訳のお詫び (桜井元)
2017-03-07 00:17:55
藤永先生には、アムネスティの報告書をうけての拙文をご紹介くださり、改めまして厚く御礼を申し上げます。また、コメントをくださった読者の皆様もどうもありがとうございました。労が報われました。

ところで、上の拙文中にご紹介した「Breaking Its own Rules: Amnesty's Researcher Bias and Govt Funding」という記事を、その後、読み直してみたところ、間違って訳してしまった箇所に気づきました。アムネスティのニュースレターに関する部分です。

原文は以下のとおりです。

「In justifying this position, Amnesty claims, “Allowing government funding for educational programmes does not mean that AI is being co-opted or compromising its impartiality,” and that receiving funding is only a way to “recognize[s] the willingness of many governments to promote a greater understanding of human rights issues in their own country and around the world.”」

私は以下のように訳しました。

「そして、この立場を正当化するために「教育プログラムのために政府から資金を受けることは、アムネスティが政府に取り込まれるとか、公平性の原則をないがしろにするとかいうことを意味するものではありません」としつつ、「国内または世界の人権問題に関する理解を各国政府がより一層推進しようとしているかどうか、その熱意を測る」ための手段の一つとして、政府から資金を受け入れるのだと主張している。」

この文章の構造は入れ子構造になっていて、Amnesty claimsという主語・述語が長文全体の大きなくくりとしてあり、その中にAllowing government funding…does not meanという主語・述語が入り、その目的語(節)としてthat AI is being co-opted or…とand that receiving funding is…という二つが並列するという構造でした。私は勘違いして、and that receiving funding is…を内側の主語・述語の目的語(節)ではなく外側の主語・述語の目的語(節)として捉え訳してしまっていました。

要するに、アムネスティが政府の資金を受領してもよいと正当化するこの文章は、それを受領したとしても、「政府に取り込まれることや、公平性の原則をないがしろにすることを意味するものでもなく」、また、「国内外の人権問題への政府の熱意を測る単なる一手段を意味するものでもない」のだ、と主張しているわけです。政府資金を受領することにつき、前半のthat節で「マイナスの影響」を否定し、後半のthat節で「プラスの効果」を強調する、という内容でした。

ずいぶん前に、ブログをとおして藤永先生に「英文は気楽に読んでいるうちに慣れてくるものですよ」と激励・助言いただいてから、自分なりに読んで参りました。英文を読む頻度・密度が薄いので、まだまだの英語力、「辞書を引き引き」も相変わらずです。それでも、知りたい内容の英文記事を前にすると、どんなに長文でもストレスや抵抗感が無くなってきたことは確かです。今回のアムネスティの報告書も、こうして読むことができました。

拙い訳、誤訳、意訳のしすぎなどが見られることと思います。ただ、拙文全体の趣旨を損なうほどの「致命的誤訳」はなんとか免れているものと感じております。どうぞ皆様、お気づきの点がありましたら、ご教示ください。

先日、5歳児が英検2級に合格したという記事が新聞に出ておりました。上記の私の誤訳など、英語の達者な方でしたら、お子さんでも指摘できるレベルかもしれません。「汗顔の至り」です。

日米首脳会談で、安倍首相がトランプ大統領と握手をする際に、「look at them(記者の方を見て)」と言うべきところ「look at me(私を見て)」と言ってしまい、トランプが安倍を見つめ続けるというハプニングが起きました。安倍首相は「云々(うんぬん)」を「でんでん」と読んで顰蹙を買ってもいますが、英語でも日本語でも基礎的間違いをしてしまうと本当に「汗顔の至り」ですね。
誤訳ではありませんでした (桜井元)
2017-03-07 00:42:39
本当にお恥ずかしく、申し訳ないことです。先ほど「誤訳」をしてしまったと申しました部分ですが、実は誤訳ではなかったようです。

「Breaking Its own Rules: Amnesty's Researcher Bias and Govt Funding」の記事だけでなく、「NGOニュースレター」の該当箇所を念のためいまいちど読んでみましたが、私の当初の訳で間違いではありませんでした。ニュースレターの原文は以下のとおりです。

「Allowing government funding for educational programmes does not mean that AI is being co-opted or compromising its impartiality, but rather that it recognizes the willingness of many governments to promote a greater understanding of human rights issues in their own country and around the world.」

ニュースレターを引用した「Breaking Its own Rules: Amnesty's Researcher Bias and Govt Funding」の記事は以下のとおりです。

「In justifying this position, Amnesty claims, “Allowing government funding for educational programmes does not mean that AI is being co-opted or compromising its impartiality,” and that receiving funding is only a way to “recognize[s] the willingness of many governments to promote a greater understanding of human rights issues in their own country and around the world.”」

「but rather that」が「and that」となっており、ここで勘違いをしてしまったみたいです。

「恥の上塗り」とはこのことですね。お騒がせいたしました。
高校で習ったandとor (桜井元)
2017-03-07 01:07:37
先ほど、「but rather that」が「and that」となっており勘違いしてしまった、と申しましたが、これも英語力の弱い人間ならではの書き方でした。

「NGOニュースレター」の方の、「but rather that」が「does not mean」を承ける目的語(節)であることは一目瞭然です。

一方、「Breaking Its own Rules: Amnesty's Researcher Bias and Govt Funding」の記事の方ですが、「and that」は、入れ子構造の外側の「Amnesty claims」を承ける目的語(節)であり、入れ子構造の内側の「does not mean」を承けるものではないわけですね。もし後者だとすれば、andではなくor(nor)になるはずですから。

高校レベルの英語力の不足、お恥ずかしいかぎりです。高校の英文法の基礎がいかに大事だったか、いまになって身に沁みます。最近よく「文法よりコミュニケーションだ」と言われますが、今回の「誤訳か、誤訳でないか」の判断でも、文法の基礎は非常に重要なのだと実感しました。

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