私の闇の奥

藤永茂訳コンラッド著『闇の奥』の解説から始まりました

 キューバは自力でコロナ・ワクチンを製造した

2021-04-15 15:54:21 | 日記・エッセイ・コラム

 キューバは自国内で自らの科学技術力でコロナ・ワクチンを製造して、それにSoberana02(ソベラナ02)という名前をつけ、3月には安全性テスト最終段階として首都ハバナを中心に大量のワクチン注射を行っています。キューバの総人口は一千百万、数ヶ月のうちに全国民のワクチン接種が済みそうな勢いです。ソベラナとは英語のsovereign にあたり、薬の場合には、特効のある、最善の、といった意味になります。

 メディアも盛んに取り上げるようになってきました。「日本海テレビ」の最新の記事をコピーさせて貰います:

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東京にあるキューバ大使館が14日、新型コロナウイルスに対応したキューバの国産ワクチンの開発状況について講演会を行い、3つのワクチンが最終段階の臨床試験に進んでいると説明しました。

講演会はオンライン上で開かれ、日本のメディアや国会議員、専門家など100人あまりが参加しました。

■国産ワクチン3種が「第3相」
講演した駐日キューバ大使館のミゲル・アンヘル・ラミレス大使は、キューバで新型コロナウイルスに対応した国産ワクチンが現在5種類開発されていると説明し、うち3つのワクチンが最終段階の臨床試験に入っているとして、開発が順調に進んでいると強調しました。

このうち国内の研究所で開発中のワクチン「ソベラナ02」では臨床試験で90%の有効性が確認されたとしています。

■キューバ 高い医療水準
キューバは1959年の革命以降、医療制度の拡充に力を入れる政策が進められ、中南米諸国のなかで高い医療水準にあるとされています。また、予防医療に積極的に取り組みB型肝炎や肺がんワクチンを自国で開発するなど国産ワクチンの開発にも力を入れてきました。

新型ウイルスの感染が拡大する中、アメリカによる経済制裁で、人工呼吸器の輸入が制限されるなど、医療の面でも厳しい状況に置かれていますが、自力で感染拡大防止に努め、新型ウイルスによる犠牲者は比較的低い水準に抑えられています。

■国際社会と協力
キューバの新型ウイルスワクチンについてはアルゼンチンやメキシコなど中南米諸国のほか、インドやパキスタン、アフリカ連合が購入を希望しているとしています。ワクチン開発の臨床試験は外国とも協力して行うということです。

■年内には接種を完了
今後、6月にもワクチンの国内承認をめざし、8月には60歳以上の高齢者全員を含む700万人に接種を行い、年末までには国民全員、1100万人あまりに接種を終わらせたいとしています。

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「週刊東洋経済」の記事:

https://toyokeizai.net/articles/-/419257

もご覧下さい。

NBC News などにも長い記事が出ています:

https://www.nbcnews.com/news/latino/cuba-says-betting-safe-covid-vaccine-rcna643

詳しくて読みやすい記事としては

https://blogs.lse.ac.uk/latamcaribbean/2021/03/31/cubas-five-covid-19-vaccines-the-full-story-on-soberana-01-02-plus-abdala-and-mambisa/

があります。はじめの部分を抄訳します。

「コロナ禍の発生に対するキューバの対処は迅速で、2020年間、1千120万の総人口に対して、感染者12225、死者146に止まったが、2020年11月に空港をオープンしたら、感染者数が急増して、2021年1月だけで前年度全体の数字を超えてしまったが、それでも、2021年3月24日までの感染者は7万人以下、死者数408に止まった。この数値は世界で最低の部分に属する。

 この時点までに、キューバは2万8千人の医療要員を世界の66の国に派遣して、コロナ感染者の治療にあたっている。国内では、2021年3月に国内で生産された二つのコロナ・ワクチンの最終テストの段階に達し、あと三つのワクチンもそれに続いている。この成果は、過去60年間もキューバが米国の貿易封鎖に痛めつけられ、しかも2017年にはさらに過酷な締め付けが始まったことを考えると、特筆に値する。」

  この後、この記事では、キューバでのワクチン開発の有様が具体的に解説されています。注射ではなく、鼻に注入するタイプのワクチンも開発されています。その名前の出所について、次のように解説してあります:

「The other vaccines, Abdala and Mambisa (an intranasal, needle-free vaccine), are produced by the Centre for Genetic Engineering and Biotechnology (CIGB). Abdala is named for a poem by the national hero José Martí, and Mambisa is named for soldiers who fought against Spanish rule in the mid- to late 19th century. These vaccines insert genetic information into a less evolved, unicellular microorganism (the yeast Pichia Pastoris). They build on the long experience and impressive record of the CIGB, whose hepatitis B vaccines have been in use in Cuba for 25 years. 」

 キューバのワクチンの命名については、亡くなったフィデル・カストロが、自分の死後、何事につけても、その名前を使うことがないようにと遺言したから、ワクチンの名前にも使うことが出来ないのだという話を、別の記事で読みました。

 キューバの自力によるワクチン開発に関しては、以前からもかなりの数の報告がありました。以下に、幾つか挙げておきます:

https://libya360.wordpress.com/2021/03/01/soberana-02-could-cubas-covid-vaccine-break-big-pharmas-grip-on-production/

https://www.counterpunch.org/2021/03/15/cuba-working-on-a-peoples-vaccine-the-us-and-the-world-should-get-behind-it/

https://libya360.wordpress.com/2021/03/17/thirty-five-covid-19-landmarks-in-cuba/

https://www.counterpunch.org/2021/03/30/cuba-libre-to-be-covid-libre-five-vaccines-and-counting/

 半世紀以上もの間、しかも最近さらに格段に強化された米国の貿易金融封鎖に苦しみながらも、カリブ海の小国キューバが自力でコロナ・ワクチンを製造して全国民の健康を守り、その上、世界の貧困国家にワクチンを低価格で提供しようとしているという、瞠目すべきmagnificent feat は一体どうして可能だったのでしょうか? これは一国の科学技術政策はどうあるべきか、自然科学者、技術者は人間社会の一員として如何に身を処すべきかに就いての重要な問いかけとして受け取らなければなりません。

 キューバの場合には、故フィデル・カストロの先見の明と努力に負うところが大きかったようです。次の記事はいささかカストロ礼賛過剰の気味はありますが、一読に値します。結語の部分をコピーしてご覧に入れます:

「Because he himself wanted it to be so, none of the Cuban vaccines will bear Fidel’s name, but all of them will bear his humanitarian spirit and his vocation to make a revolution for the excluded of the earth, for those who have no right to anything, not even a vaccine against the pandemic.

When all Cubans and millions of men and women in different parts of the planet are immunized with Cuban vaccines, they should know that this has been possible because that maker of revolutions, that one who overcame death because “to die for the homeland is to live”, the one who made a small Caribbean island become a giant exporter of life and health, dreamed it, thought it and did it.」

https://libya360.wordpress.com/2021/04/05/fidel-father-and-inspiration-behind-cubas-scientific-system/

 

藤永茂(2021年4月15日)

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1 コメント

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日本はアメリカ忖度でコロナワクチン止める! (ローレライ)
2021-05-27 15:24:51
日本はアメリカ忖度で日本製コロナワクチンは辞めた。

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