日々・ひび・ひひっ!

五行歌(一呼吸で読める長さを一行とした五行の歌)に関する話題を中心とした、稲田準子(いなだっち)の日々のこと。

自分の未来を黒く塗りつぶす。

2009年09月23日 | お仕事な日々
奈良の宅配牛乳の人のこと。
シルバーウィーク5連休のうちの、
3日間、ご一緒しました。

去年の7月に、一緒に仕事をして以来。

その時、「あぁ~だめかも。この人と仕事をするのは~」
と、思っていた理由を、
セリフ調に、簡単に書いてみると、

「派遣の仕事の何処が楽しいの?
やりがいは何処にあるの?
しがらみがないのは、そんなにいいの?
自分の都合を主体に仕事を入れることが出来るから?

それやったら、お客さんを捕まえたウチ(宅配牛乳)のほうが、
ある意味時間があるで。
(どうしてなのか、聞いたけど忘れた……)

目の前で、試食をしていって、実際に買って行くお客さんは、
どんだけいる?
その場で買ってくれなくてもいいってか?
次につながってたらいいってか?
でもな、
試食をして、次回、その商品を覚えていて、
買ってくれるお客さんなんて、ほとんどおれへんよ」

ほぼ、一緒にいた約6時間の中で、
ちょこちょこ交わした会話の凝縮したのが、これ。

直球でした。

まぁ、この人の話してくる内容だけが、
私をうんざりさせたわけではなく、
伏線というものが、あるにはあったんだけど。

     ★

丁度この時、
この人と仕事をした2日前の仕事先の店長さんに、
仕事終わりに、

「僕の出勤が遅かったんで、言いそびれててんけどな、
前の試食販売で、
『勧め方がしつこい』って、お客さんからクレームがきてたんよ。
うちのところのお客さん、
勧めても全然食べへんかったやろ。
あの時の影響や。

いてほしくなかってん。はっきり言うて。
試食品を出すだけ出したら、無人にしてほしかってん。

君が一生懸命頑張らなくても、
うち(店)が、商品を発注した段階で、
メーカーは儲けになってるねんから、
その場で買わせよう、買わせようとしなくったって、ええねん。

とにかく食べてもらって、
次回につながってればええねんから。

君が勧めたら、お客さん、食べへんやろ。
それが一番、うちとしては、困るねん」

……なんていうんでしょうか。

合わせ技で、
この仕事の存在を否定されているような、心持にさせられて。

前の仕事先で、こんな風に言われていたという前提もあって、
奈良の宅配牛乳のおじさんと仕事をするのが、
気持ち的に嫌だったというのは、あったんで
この人だけを嫌うのは、ちょっと違うぞっていうのは、
自分の心の奥底で、ゆらゆらと揺れているのは、
自覚していたんだけど。

この、無人を望む店長がいるお店に関しては、
行かないようにしているが
(っていうか、依頼もそれ以来見たことないし)、

避けきれなかった、奈良の宅配牛乳。

     ★

で、今回一緒に仕事して。

結論から言うと、
自分が思っていたほど、
嫌な気持ちで、仕事をしなくてすんだ。

大概そういうもんだ。
自分の想像が、自分の未来を黒く塗りつぶしているもんだ。

わかってても、
黒く塗りつぶすんだけど。性格なんで。

ありがたいことに、
去年と比べて、奈良の宅配牛乳のおじさんは、
今回、睡眠不足で、疲れていた。

不況というのもあるのだろう。

配達などは、バイトさんを募集して、
人を使うようになり、
その空いた時間で、
今まで以上に勧誘をはじめ、いろんな展開をしているようで、
寝る暇がないようで、慢性的に疲れているようだった。

つまり、お客さんがいないときは、
ペラペラとあまり私と会話せず、
無口で、体力を温存するように、
ボーっとしてくれていたから。

それに加えて、
去年の郵便局前を借りてしていたときより、
骨の強度を測りにくるお客さんが多く(場所がスポーツジム内だしね)、
私語を交わす暇が、そんなになかったから、
お互いの、
刺し違えるような濃い会話をしなくて済んだから。

に、加えて。

グジグジいうのは、まぁブログだけで(笑)、
実際には、気持ちよく仕事をするために、
「学ぶしか、道がねぇ」と諦める(?)ので、
骨の強度を測る機械の、
仕組みや構造や、理屈などの質問をぼんぼんして、

「あぁ、それで、私が測ると、骨がヤワな数値が出るのか」

と、よくわかったので、
次からは、今ほどこの仕事を嫌うこともなくなるという、
収穫があったから。

そして、研修を開くより、
場数を踏むしか、正確に骨の強度を測れる技術は向上しないと、
つくづく理解したから。

だからと言って。

根本的に仕事好きではないという性分が、
治るはずもなく。

「ちょっとでも、仕事内容を知っている人と、
仕事がしたいんで、
ケータイ番号を教えてといてくれへんか?
事前に君の都合を聞いてから、派遣会社に指名を入れて、
依頼するから」

と、言われたって、教えないし。

「うち、こういうイベント的なことだけじゃなく、
テレアポでも勧誘してるんや。
君の暇なときでいいから、テレアポの仕事もしてくれへん?」

と、言われたって、断るし。

話をすれば、
この宅配おじさんの、
直球な話の裏打ちには、
苦労や、生き方のポリシーなどが、
私と違って、しっかりしているというのもわかる。

そういう人を「ヤダヤダ」とドンビキするのは、
そこまでが、
人を受容する、
自分の器の小ささなのだろう、感じ、
多少、情けなくもなる。

が、錯覚してもいけないとも、思うのだ。

認めながらも、その人のものさしで、
自分を測って、意固地になるのは、何かが違う。

人の素晴らしさを認めたり、納得しても、
取り込まれるなという、懐疑心は、失いたくない。

     ★

10月も1日だけ、
兵庫県の方での宅配牛乳の勧誘の仕事をした。

私はまだ、
「あぁごめんなさーい!!正確に測れていないと思いまーす!」
という気持ちを引きずりながら、骨の強度の測定をしていた。

途中、
私の言う事に、耳を傾けたり、
現実、この仕事のやり手が少なくて困り果てた、
派遣会社の人が、
「この宅配牛乳の仕事とは、具体的にどういう仕事なのか」、
と、
外回り担当の人が、見学にやってきて、
メモを取ったり、写真を撮ったりしていた。

悲観的な見方も、
人に話せば、
建設的な方向へ役立つこともある。

自分の未来を黒く塗りつぶして、
文句を言った甲斐があった。

いろいろ難しいこともあるだろうけど、
少しでも、汲み取っていただければ、と願った。

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