日々・ひび・ひひっ!

五行歌(一呼吸で読める長さを一行とした五行の歌)に関する話題を中心とした、稲田準子(いなだっち)の日々のこと。

AQ歌会にお話を戻して。

2006年02月21日 | 五行歌な日々
19日(土)のAQ歌会のお話に戻ります。

全体的に思ったのは、
意外に長い歌が、多かった。

人それぞれの見解があるが、
私は歌の良し悪しと、
歌の長さは関係ないと思っている。

が、歌会においては、
意味を理解するのに、
読み込みを要するのは長い歌のほうで、

読み手の真面目さ真剣さが問われるのは、
長い歌のほうのような気がしている。

一見・一読では頭に入ってきにくいから。

ただそのかわり、
しっかり読み込むと、
短い歌より、個性的で、味があって、
ゆったりできたりする。

そして、今回の歌会のように、
長い歌が多いと、
短い歌までも、短いだけで、
個性的に思えてくる、
相乗効果もあったりして。

というわけで、今回のAQ歌会の歌は、
18首あったものの、
どの歌も多彩なもののように思えた。

     ★

私が一番好きだった歌は、
一番に載っていた、
宮川蓮さんの歌。確か三位だったと思う。


       紅葉閉じ込め
       凍る水面
       割れば
       金色の秋の光を
       放つだろう


今読み直して、
「あれ?『水面』は『すいめん?』『みなも?』どっちだったっけ?
『金色』は『きんいろ?』『こんじき?』どっちだったっけ?」
と思った。

でもこれは、ルビを打ってなくって、
正解かもしれない。

なんとなく、その時その時の気持ちで、
読みたいように読む、ということを許してくれているのかな?、と、
思ったりして。

何よりも、
こういう細かいところで、
左右されない美しさが、
この歌の中には閉じ込められている気がする。

おそらく、この景色を見た作者が、
写真を撮ったとして、
私に見せてくれたとしても、
この五行歌ほど、
美しく見ることはできなかっただろう。

瑣末な具体的なものは、
この作者と
何一つ共有していないと思うけれども、
そこに見た
作者が感じ取った美しさは、
共有したような気がした。

他の方々のコメントを聞いても、
他の方々とも共有していたと思う。

見せていただいたことに、深く感謝する。

     ★

ただ私は、
さらに独走態勢な世界まで行って
独特な世界まで見ちゃった(笑)

「こういう景色って見たことないなぁ」と
思ったとたん、
「本当に見たことない?」
と、自問自答したら、
「……あ、あるかもしれない。居酒屋で……」
と、答えてしまった。

TV番組のドラマかなんなのか、
わからないけれど、

透明な氷の中に、
赤い紅葉が入ってて、
それが綺麗にライトアップされているような
ディスプレイが、
おしゃれな居酒屋(バー?)に、
あったような記憶を、
眠ってた子を起こすように、
掘り起こしてしまった。

なんじゃこの、
第一印象とは全くかけ離れた、
人工的景色は(笑)

     ★

で、さらに、そこまでで留まらない。

そのディスプレイの紅葉はどこから来たのか、
知っているぞと思ってしまう。

居酒屋さんなどの、
食べ物などの飾りに添えられる、
染まっている紅葉や、
染まりかけの紅葉、
青葉の紅葉などは、
徳島(?……四国であることは間違いない)のある地域が、出荷している。

確か、
全国の7割は締めているんじゃなかったかな。

村おこしにもなり、
お年寄りに
からだの負担が少ない労働ということで、
朝のTVのレポートで、
紹介されているのを見たことがあるのだ。

そう思うと、
この水面に閉じ込められた紅葉が、
徳島のおばあちゃんが、
働くのを楽しんでいる、
しわしわの手のような気がして、
しかもそれが、キラキラと、金色に
輝いているような気がして。

多分、居酒屋さんのディスプレイだと、
思ったとたん、
「えらい人工的やなぁ」と自分に呆れたとたん、
ぬくもりのあるものに見たくて、
自動的に知識を総動員して、
徳島のおばあちゃんを見つけたのだと思うんだけど(笑)

結果、歌とはかけはなれたところに、行ってしまった。

ふと、我に返ると、
「ここはどこ?私は誰?」的気分(笑)

自分で自分が面白かった。
ただそれが、作者を不快にさせなかったことを祈るが。

     ★

でも、今まで、
私にとって、「徳島のおばあちゃん」のことは、
たまたま知ってた知識だった。

それが、もの(歌)を理解するために結びついて、
知性となった。

知性になるということは、
私の血や肉となるということ。
ただの記憶ではなく、感受性の源となるということ。

そういうきっかけを下さったという点においても、
私はこの歌を読めたことを、深く感謝していたりする。

と、いう訳で、
多少とんちんかんな解釈をしたら、
自分を笑っちゃいましょうというお話でした(ちがうちがう)。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
いらっしゃいませ(^-^) (いなだっち)
2006-03-01 07:51:47
いえいえ、こちらこそ、

ありがとうございました。



そうですね。

歌会は、

気持ちいいコミュニケーションに、

包まれるから、

やめられないですよね。



またいつか、お会いしましょう
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ありがとうございます♪ ()
2006-02-28 22:51:58
 こんにちは~。

AQ掲示板からおじゃましました。

こんなにあたたかい言葉で、歌を紹介していただいて

とても嬉しいです。本当にありがとうございます。



 あの時、徳島のおばあちゃんのお話を聞きながら、私もおばあちゃんの手をつつむ金色の光を見た気がしたんですよ。

 なので、不快になるなんてとんでもなくて、

私もその連想を楽しませていただきました。



 まだ歌会参加暦の短い私は、他の方たちのお歌から

いただく感動を思うように表現できず、もどかしい思いをしています。

 毎回、皆さんのコメントにたくさんのプレゼントをいただいているので、私もこの喜びを人におくれるようになりたいです~。



 これからもよろしくお願いします(^^)/





 

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