日々・ひび・ひひっ!

五行歌(一呼吸で読める長さを一行とした五行の歌)に関する話題を中心とした、稲田準子(いなだっち)の日々のこと。

真の元凶を思い出す①

2008年04月12日 | お仕事な日々
あそこのスーパーで仕事をしたのは、
過去2回あった。

1回目は、パンの試食販売で、
2回目は、パンの品出し・陳列で。

2回とも、マネキン業に復帰して、
まだ回数をこなしていない時期にした仕事だった。

1回目のパンの試食は、
間違えて食パンをコゲコゲにしてしまい、
焦げ臭い匂いをスーパー内に漂わせたりした。

そのことを申し訳なく思い、
そんなに日を空けず、もう一度、
そこでの仕事を引き受けて。

だが、2回目の仕事は、
その時が初めての
品出し・陳列の仕事で、
失敗ばかりが多くって、
決して名誉挽回とはいかなかった内容で。

その失敗のどれもこれもを、
「まだこの仕事に戻って、日が浅いしな」とか、
「品出しの仕事はこれが初めてなんだから、
先方さんに、申し訳なかったな」
ってところで気持ちをオトして。

だがしかし。経験値が上がっていくと。

あっちこっちのスーパーで、
品出し・陳列の仕事し、要領がわかってくると、
ふつふつと、
「あれは、自分の不慣れさのせいばかりではなかった!」というのが、
わかり、
「あそこのスーパーでの品出しは、避けよう!」と、
いつしか思うようになっていた。

その「不慣れさばかりではない」と言える根拠は、
あそこは、他と比べ、
限界を超えるほどの、
品出ししなければならない品物の量があり、
そして、スーパーの建物のつくり
(狭いだとか、在庫は3Fにあって、エレベーターを
使わなければならないとか)に対する
強い印象の部分からきていた。

その記憶を証明するように、

同じ系列ではあっても違うスーパーで、
あるパートさんと親しくなった時、
「え?○○店でもしたことあるの?
あそこはね、うちのチェーンの中でも、
1、2を争うほど、忙しいところよ~」
と教えてもらったことがあったから。

なのでこの前の、
3月のある日の水曜日の朝に、
「急に申し訳ないんですけど……」
と、
もう二度と行かないと決めた
あそこのスーパーの名を聞いたとき、
最初に脳裏によぎったのは、
その膨大に積み上げられたパン箱の量と、
なかなか来ないエレベーターにイライラした時の感じだった。

     ★

その水曜日の朝は、ゆっくりと起きていて、
電話を貰った朝9:00前後ですら、
まだパジャマ姿で、
TVなんてつけた直後だった。

派遣元の契約社員のY本君に、
「今日は開いていませんか?」と、
急に聞かれた時は、
「え?いきなり今日ですか!?今からですか?」と驚いたものの、
『ええところやったら、仕事しまっせ~』ぐらいの、
色気づいた気持ちは持っていた。

だが、そのお店の名を聞いた瞬間、気持ちは萎えた。

色気づいていた声が、一気にネバネバとした、
拒絶反応の声色に変わる。

Y本君は、かなり粘って、説得してくる。
あぁ、弱い。弱いからやめてくれ~。

「そもそもね、前日ならともかく、
なんでこんな朝になって、ふってくるんですか?
……ひょっとして、チェンジを言われたんですか?」

苦し紛れに聞いてみる。

「まぁ、そんなところです……」

あんまり触れて欲しくなさそうな口調のY本君。

チェンジというのは、
派遣されたマネキンさんが、
お店の人、または駆けつけていたメーカーさんに、
何らかの理由で嫌われて(?)、
「他の人と交代してください」と、要求されることだ。

どうやらそれが起きたようで。

大体、私は、水曜日は、
お給料を取りに行って、
先の仕事を決めたり、
次の仕事のインストを受けたりするようにしている。

そんなことは、Y本君が、一番知っていることだ。

そのY本君が、私に電話してきているということは、
ある程度の経験値のある人に頼まなければならないこととはいえ、
(なんせ、めったにない、当日チェンジやからねぇ……)
ことごとく、いろんな人に断られてきたんだってことだと、
大よその検討はつく。

やはり、ベテランさんでも、
あそこのスーパーでの仕事は、
決していいものではないんだろうなぁ……。

だからこそ、最後の最後は、心を鬼にすることが出来た。

「すいません……。ぶっちゃけ、全然朝の身支度すら出来てないんですよ。
そやから、今から準備したって、かなり遅く行くことになります。
あんまり遅くなっても、先方さんに悪いでしょ?
お願いですから、他をあたってください」

ってことで、押し通し、Y本君にはあきらめてもらった。

ほっ……と同時に、微かな罪悪感。

     ★

午後になって、
お給料を取りに行って、Y本君に、
「朝はごめんなさい」と謝った。

Y本君から、結局、
派遣元の女性の社員さんが行ったということを、聞いた。

マネキンさんは、誰も行かなかったんだ……。

「あそこのスーパーって、行ったことありますか?
どんなところですか?」と、Y本君に聞かれ、
いろいろと話す。

「おそらく、普通の顔して引き受ける人は、
品出しの仕事を数回、他のスーパーでしたことがあって、
まだあそこのスーパーでやったことがない人だけだと思いますよ。
多分、『1回したら、もうええわ』って気持ちにさせるスーパーです」

なんて答えたりして。

そのくらい熟知してたのになぁ~と、
その数日後、私は結局、後悔することになる。

仕事がなく、家でダラダラとしていたら、
社員であるK林さんから、電話を貰って、

「あそこのスーパー、絶対行ってちょーだい!!」

と、ものすごい強さで説得され、おれてしまったからだ。

派遣元は派遣元で、
チェンジがあった直後の仕事なだけに、
人選にナーバスだったのだろう。
次の失敗は許されない、とでもいうような。

心を鬼にして、モノゴトを貫いた後って、
例えそれが、後悔しないものだったとしても、
反動って、きたりしませんか?

私はきます。それも、数秒後。
そして、そのほろ苦さを忘れるのにも、
時間がかかるタイプで。

反動の余韻が残っている時に、突かれちゃったという感じで、
引き受けてしまった。

いや、もうひとつ原因はあるな。

品出しの仕事は、お客さんにあまり話しかけなくて済むし、
どこも大概、忙しいので、時間があっという間に過ぎるから、
からだは痛くなるけど、決して嫌いな仕事ではないし、
要領を覚えて、
ある程度自信もあったりするもんだから、
あそこのスーパーの大量のパンの品出しを、
今の私は、どれだけこなすことが出来るんだろうという好奇心が、
決してなかったとはいえない。

また、時間も、16:30あがりだし、
2名での作業だということも、
心を鬼にしきれなかった原因でもある。

そして、引き受けたとたん、その反動で、
憂鬱で暗ーい気分で、数日間を過ごしたんだけど
(ホント、右へ左へと、心は揺れるよなぁ~)。

いよいよ、今日、その、あそこのスーパーへ出陣した。

ホント、気合を入れて、
時給とは関係なく早めに行って。

だがその気合は、パン担当のパートさんを見るなり、
ナーバスさに切り替わった。

すっかり忘れていた記憶が、一気に甦った。

仕事の量や、建物ではなく、
一番のここでの仕事の嫌な原因は、
このパートさん自身だったことが、
ムカムカとした感情と共に思い出されてきたからだ。

その思いは、

「じゃ、品出しして。
○○のパン箱あるでしょ?あの分全部。
置き場所?テキトーでいいよ。値札とか気にしなくていいから。
後で、移動させたらいいんだから。
あぁ、△△シリーズのパンだけは、多めに場所を使って、
目立つところにして」

という、
その鋭角な命令口調と、大雑把な指示を聞いているときから、
顔に滲み出ていたと思う。

この時点では、まだ相手には、
なんとか伝わらずに済んでたようだけど。

……ようやく、今日の出来事としての、
入り口を書き始めましたが、つづく。

(思い出したら、腹が立ってきて、
細かいところから書き始めちゃったよーん!!)

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