夕方、大阪から明石へ変える時間帯も、ラッシュアワーの時間帯だった。
それに加えて、なんと、またまた……JR遅れに遅れていた。
新快速に乗ったのに、普通電車と同じように、
明石まで、一時間以上かかってしまった。
人にもみくちゃにされながら、ずっと立ち通し。
初めて、電車内の汚そうなトイレにも、
たまらなくなって入ったりした。
駅に着くなり、慌しく外食してから、
家に帰り、
夫のごはんを作って、
バタンキューで、そのまま寝てしまう。
★
次に起きた時は、
日付変更線を越えた30日の午前1時半。
抜き足差し足で帰ってきた、夫の気配でだった。
帰ってくるなり、
「渇を入れてもらってきたわ」という。
今日は夫も、
会議で、大阪の本社に行ってたらしい。
そんで、会議が終わってから、
そこで、
管理職を辞退したいと申し出たらしい。
それで、中央の幹部の人たち数人の前で、
自分がどれだけ仕事を失敗してきたかしゃべって、
いかに、能力がないかをアピールしたらしい。
するとそこの人たちに、
「まだ、二ヶ月やないか」と、
私と同じことを言われたらしい。
そして、
「お前は、今、それらを、
自分の過失として、全部しゃべっている。
全然、他人のせいにしていないな。
コトの発端は、現場の奴らの失敗やろうが。
平和ボケしてるんちゃうか」
と言われたらしい。
それから、
私たちの引越代金のことに関して、
私から会社に問い合わせを入れたことが、
すべての幹部に知れ渡っていたらしく、
「奥さんは、大丈夫か?二ヶ月も、お金が入ってないって、
ようがまんしはったなぁ。
うちの会社のシステムでは、
本来、立替ではなくて、
経理から不動産会社に直接入金なのに、
そんなルール違反なことをさせていたのも、把握できてなかったし。
前々から、よく言われていたが、
うちの経理のシステムの末端が、いかに改善が必要か、
ようわかったわ。
お前は、まず、自分の家のことの管理をちゃんとしろ。
かわいそうやないか」
と、怒られたらしい。
それを聞いて、
私の中にも、ぐっとくるものがあった。
単純に言うと、
「わかってくれる人がいた」という気持ちだ。
夫自身も、狭くなっていた視野が、
ぐっと広がったような感覚があったようだった。
★
話を聞いていると、
ある程度私と同じことを、
幹部の人達は言っているなと思った。
が、こういうことは、
「誰がそれを言ったか」ということが、
大事なんだよな。
私が言うと、世間の一般的な話になり、
この場合は、
会社の人が言うと、そうではなくなるのだ。
リアル感というか、信憑性というか、
何か、別の色合いを帯びていく。
夫も、よく、弱音を吐いてくれた。
それでいい。それでいいのだ。
かっこわるくも、なんでもない。
無理に頑張らずに、
能力のなさをさらしてしまえるのは、
時には立派な勇気だ。
夫の胸には、
新しい風が、吹いたようだった。
もう少し、頑張る、と言った。
★
音を小さくして、TVをつけると、
あっちこっちで、
阪神タイガースの優勝が報道されていた。
(関西だけだと思うけど)
「明日も試合なのに、大変だねぇ」
と言いながらも、
あっちこっちのチャンネルを変えながら、
何かに満ちた人々の顔を追いかける。
「明日から、っていうか、今日からセールが始まるわ」
と、私が言うと、
「明日休みやから、行こか」と、夫が言う。
「おー、いいタイミングやないけ!
……あっ!ひょっとして、ボーナス入ったんじゃないの?」
ふと、私が気がついた。
そう。夫の会社は、年に三回ボーナスがある。
まぁ、ボーナスというほどの金額じゃなくて、
「寸志?」ってぐらいのビビたるものだけど。
それでも、現場の頃と比べれば、
ちょっと大目のはずである。
「そうやわ!そうやわ!今日大阪やったから、
明細もらえなかったけど、30日には入ってるわ!!」
タイガースの選手達に、
負けず劣らず、
私たちも、
ハイテンションな真夜中となったのでした。あぁ、気持ちがいいぜ!
それに加えて、なんと、またまた……JR遅れに遅れていた。
新快速に乗ったのに、普通電車と同じように、
明石まで、一時間以上かかってしまった。
人にもみくちゃにされながら、ずっと立ち通し。
初めて、電車内の汚そうなトイレにも、
たまらなくなって入ったりした。
駅に着くなり、慌しく外食してから、
家に帰り、
夫のごはんを作って、
バタンキューで、そのまま寝てしまう。
★
次に起きた時は、
日付変更線を越えた30日の午前1時半。
抜き足差し足で帰ってきた、夫の気配でだった。
帰ってくるなり、
「渇を入れてもらってきたわ」という。
今日は夫も、
会議で、大阪の本社に行ってたらしい。
そんで、会議が終わってから、
そこで、
管理職を辞退したいと申し出たらしい。
それで、中央の幹部の人たち数人の前で、
自分がどれだけ仕事を失敗してきたかしゃべって、
いかに、能力がないかをアピールしたらしい。
するとそこの人たちに、
「まだ、二ヶ月やないか」と、
私と同じことを言われたらしい。
そして、
「お前は、今、それらを、
自分の過失として、全部しゃべっている。
全然、他人のせいにしていないな。
コトの発端は、現場の奴らの失敗やろうが。
平和ボケしてるんちゃうか」
と言われたらしい。
それから、
私たちの引越代金のことに関して、
私から会社に問い合わせを入れたことが、
すべての幹部に知れ渡っていたらしく、
「奥さんは、大丈夫か?二ヶ月も、お金が入ってないって、
ようがまんしはったなぁ。
うちの会社のシステムでは、
本来、立替ではなくて、
経理から不動産会社に直接入金なのに、
そんなルール違反なことをさせていたのも、把握できてなかったし。
前々から、よく言われていたが、
うちの経理のシステムの末端が、いかに改善が必要か、
ようわかったわ。
お前は、まず、自分の家のことの管理をちゃんとしろ。
かわいそうやないか」
と、怒られたらしい。
それを聞いて、
私の中にも、ぐっとくるものがあった。
単純に言うと、
「わかってくれる人がいた」という気持ちだ。
夫自身も、狭くなっていた視野が、
ぐっと広がったような感覚があったようだった。
★
話を聞いていると、
ある程度私と同じことを、
幹部の人達は言っているなと思った。
が、こういうことは、
「誰がそれを言ったか」ということが、
大事なんだよな。
私が言うと、世間の一般的な話になり、
この場合は、
会社の人が言うと、そうではなくなるのだ。
リアル感というか、信憑性というか、
何か、別の色合いを帯びていく。
夫も、よく、弱音を吐いてくれた。
それでいい。それでいいのだ。
かっこわるくも、なんでもない。
無理に頑張らずに、
能力のなさをさらしてしまえるのは、
時には立派な勇気だ。
夫の胸には、
新しい風が、吹いたようだった。
もう少し、頑張る、と言った。
★
音を小さくして、TVをつけると、
あっちこっちで、
阪神タイガースの優勝が報道されていた。
(関西だけだと思うけど)
「明日も試合なのに、大変だねぇ」
と言いながらも、
あっちこっちのチャンネルを変えながら、
何かに満ちた人々の顔を追いかける。
「明日から、っていうか、今日からセールが始まるわ」
と、私が言うと、
「明日休みやから、行こか」と、夫が言う。
「おー、いいタイミングやないけ!
……あっ!ひょっとして、ボーナス入ったんじゃないの?」
ふと、私が気がついた。
そう。夫の会社は、年に三回ボーナスがある。
まぁ、ボーナスというほどの金額じゃなくて、
「寸志?」ってぐらいのビビたるものだけど。
それでも、現場の頃と比べれば、
ちょっと大目のはずである。
「そうやわ!そうやわ!今日大阪やったから、
明細もらえなかったけど、30日には入ってるわ!!」
タイガースの選手達に、
負けず劣らず、
私たちも、
ハイテンションな真夜中となったのでした。あぁ、気持ちがいいぜ!
そして感動さえしています。<大げさ?いやいや…。
一つの短編をよみおえた感じ。
なんだろな。
都度、ちゃんと間合いを測りながら、
ちゃんと言葉にして相手に意見や気持ちを伝えている感じがしてね、
なんて素敵な間柄だろうと思うの。
そしてわが身を振り返れば、反省したりしている。
私は、たとえば夫というひとに対して、
こんなにちゃんと言葉にして伝えているだろうか、と。
ぶっちゃけ、してないんだけどね。(笑)
>が、こういうことは、
>「誰がそれを言ったか」ということが、
>大事なんだよな。
たぶん、こういうことばかり考えちゃって、
私はよくことばを飲み込んでいるんだ。
「私が言うべきじゃない」って「べき」に拘って、
じぶんの気持ちを時にころしちゃってね。
カラダによくないわぁ。
って何をここでぶちまけているのだ?!(笑)
感動した反動でつらつらと…。
失礼しました!!
ありがとうございました。かな、やっぱり(笑)
こういうオチがつくとは、
自分でも思っていませんでしたので、
スカッとできてよかったです。
>なんて素敵な間柄だろうと思うの。
素敵な間柄……(照)
>「私が言うべきじゃない」って「べき」に拘って、
>じぶんの気持ちを時にころしちゃってね。
逆に、私はころせないのですよ。相手の為に。
せめて、自分だけでも生きようとして、
ぶち負かします(笑)
押さえられないのも、考えものです(しみじみ)。
痛いところとつくと、
誰だって、反発心を起こします。
そういう反撃を受けないと、相手を思い測ることが、
出来なかったりします。
自分の気持ちをころせる純ちんが、
ちょっとうらやましい気もします。
でも、
>カラダによくないわぁ。
っていうのは、よくないわぁ(笑)
★
稲本さんが、「ドラゴンボール」の古本の
エピソードを書いてくださったときも、
何か、こう……、
変な言い方ですが、嬉しかったのですが、
これからも、自分のことにも、
何か引っ掛かりがあるようでしたら、
遠慮なくぶちまかしてください。
もちろん、他のみなさまもね。