夫・独身説

休日出勤をして、夫が帰ってきたのは、午後９時をまわったところだった。

「なんかな。会社で独身説がでてるねん。おれ」

なんで？

「今日もな。支店長に、
『おまえな。毎日２時３時に家に帰ってるやろ。
今日は今日で休日出勤してるし。
奥さん、心配するんとちゃうか？』って言われてん」

（そうや。心配してるねんで）ほうほう。

「ほんでな、俺はな、
『いや、彼女はボクの事をわかってますから』って、
いうてんやんか」

（いや、わかってないんですけど……）へぇ～。

「そしたら支店長がな。
『この前も、引越費用の請求の時のように、
奥さん、会社に電話してきてんで』って、
明らかにカマかけたこと言うからな（笑）
『いや、それは絶対ないですから』って、
ソッコウで、言い返してんやんか（笑）」

（電話しようと思ったことはあるんでっせ～）まぁそうやな。したことないけど。

「そしたらな、
『おまえ、なんでそんな断言できるねん！
本当は結婚してるっていうのは、嘘やろ。絶対してないわ！』
って、言われてな。クックック」

（楽しそうやなぁ～）うんうん。

「『ちゃんと結婚してますよ！
だって、おにぎりとか、
持ってきてるじゃないですか！
これ、ボクが作ってると思えます？
そういうとこ、想像出来ます？』
って言うてん！」

（そりゃよかったね～）はいはい。

妻の心夫しらず。

ま、笑いながら話せることがあるのなら、
これはこれでほっとしてるが。