日々・ひび・ひひっ!

五行歌(一呼吸で読める長さを一行とした五行の歌)に関する話題を中心とした、稲田準子(いなだっち)の日々のこと。

トイレに「ドンっっ!!」

2007年02月26日 | その他の日々
チェックアウトが11:00だったので、
ギリギリまでいて身支度をした。

新幹線は、14:56(ぐらいだったと思う)。

さて、どこへ行こうか。
と、さまよい歩けば、コーヒーショップ。

入るべ。入るべ。

     ★

スケジュール帳などをめくって、
仕事の予定や、簡単な日記を書き込んでいたら、
なにやらトイレに行きたくなった。

あぁ、何故に着物を着る前じゃないの……。
と、自分のからだに言っても仕方なく。

トイレに行く。

そこには、
「女性専用」「男女兼用」の
ふたつのトイレがあった。

そのうち、
「女性専用」の前には、女性が立っていた。

並ぼうとしたが、
道中着を着たまんまであることに気がついて、
一旦、1Fの自分の席に戻って、
道中着を脱いでから、再び2Fにあるトイレへ向かう。

すると、先ほどいた女性はいなくなり、
「男女兼用」のところから、男性が出てきた。

あなたが女性なら、

①男性が来た時、待たせるかもしれないから、「女性専用」で待つ。
②パッパとコトを済ませりゃいいんじゃい!「男女兼用」に入る。

の、どちらを選びますか?

     ★

私はね、②だったんですね。

お腹のドンドコ具合も、少し高鳴りが激しくなり始めましたし、
「『男性専用』になってないんだから、早いモン勝ちっしょ!」
という思いがあったので。

ところがね、着物なんでございますがな。

どれだけ焦っても、丁寧にしなければならないところは、
丁寧にするしかないんでございますがな。

また、トイレ空間は縦長で、広かった。
着物を着ている者にとっては、ありがたいスペースだった。

いろんな条件が重なって、
もしかしたら、
私は時間を優雅に使っていたのかもしれない。

優雅に順序だてて、
洋式に座っているときだった。

「ガチャガチャガチャ!!」

と、
ドアノブを回そうとして、回らない音がした。

びっくり&脅威。

     ★

優雅だった時間は、崩壊したが、
順序だてて丁寧にするしかない動作を、
崩壊させるわけにも行かず。

とにかく、着物を直していく。

うんしょ。うんしょ。うんしょ。うんしょ。

そして、
「さ、手を洗わなければ」と思ったときだった。
また、

「ガチャガチャガチャ!!」

と、回し損ねるドアノブの音が。

一番最初に音がしたときは、
縦長のトイレの空間だったので、
洋式に座っていては、
内側からノックをし返す距離になかった。

がしかし、今は自由に動ける身。

「入ってますよ」の合図として、
内側から軽くノックをし返して、
洗面所のところへ向かおうとした。

すると、

「ドンっっ!!」

と、ドアを大きく殴るか、蹴るかした、
怒りのこもった音がした。

私は少し、身震いがした。

怖いですよ~!
小さな部屋のドアを、大きく叩くか蹴るかされたら、
心理的に、圧迫されますよ~!

とにかく、早く出なければ。
私に全く非がないとも言い切れないのだ。

あわてるな。あわてるな。相手の出方を見なければ。

ところが。

     ★

ドアを開けたところには、誰もいなかった。
「女性専用」のところにも、どこにも。

ただ見えたのは、トイレと、喫茶室を区切った、
衝立の壁。

①蹴るだけ蹴って、お店を出たのか。
②一旦席に戻って、どこかで見ているのか。
③はたまた、相手は女性で、「女性専用」が開いたので入ったのか。

私は、②とみなした。

この衝立から出ると、どこかで視線が注がれるかもしれない、
と、仮定し、
開き直って、

「ま、男女兼用のおトイレでしたので、仕方ないでしょ?
着物着ているし、申し訳なくってよ!」

という気構えで、
背筋を伸ばして、ツンとして、1Fの席に戻っていった。

座って、しばらくしてから、
「あー怖かったー!!」と深いため息をついて、
待っていた人に対して、
少し申し訳ない気持ちで思いを馳せた。

ラージサイズで注文していたコーヒーは、
冷めていたけれど、まだ残っていて。

持ってきていた、文庫本を読み始める。

すると、クールダウンしてきたのだろう。
あの「ガチャガチャガチャ!!」という音が、
頭の中で甦った。

ガチャガチャガチャ、ガチャガチャガチャ……。

ん?なんで「ガチャガチャガチャ」なんだ?
と、ふと思った。

普通、
エチケットで考えると、
いきなりドアノブはないよな。

ドアノック、一度もされてないよな。

その瞬間、ほんの少しあった、申し訳ない気持ちが蒸発した。

ドアノックもなく、いきなりドアノブ。
そして、ドア殴り(か、蹴り)。

キレるの、はや!!

不意に、行きの新幹線で、名古屋を出たあたりのアナウンスで、

「お客様にお願いいたします。
座席には、かばんを置かず、譲り合っておかけください」

と言っていたのを思い出した。

「え~!!そんなことを公共のアナウンスで言わないと、
かばんを置いて、席を譲らないお客がいるっていうの!!」

と驚いたことを思い出した。

どうやら、私の無意識は、
このふたつに、ある共通点を見出したようで。

コーヒーショップを出ると、昨日と同じ冷たい強風。

心の中にまで、寒々と吹き荒んだ。

最新の画像もっと見る