日々・ひび・ひひっ!

五行歌(一呼吸で読める長さを一行とした五行の歌)に関する話題を中心とした、稲田準子(いなだっち)の日々のこと。

エレベーターとは密室であり、密室でなく。

2007年12月09日 | 夫との日々
私が歌会に行ったり、
めったにないが、日曜日に仕事に行っているとき、
夫は大概、家でレンタルビデオを見ている。

そして、
大概新作もので、その日中に返却しなければならないものを借りている。

で、
歌会や仕事から帰ってきた私と一緒に、
レンタルビデオ屋へ行きたがる。

「まぁいいか。コミュニケーションは大切だ」
と、思えるときもあれば、
「えぇ~、君の晩御飯の後片付けやお風呂、
何よりも疲れているし、ひとりで行けよ。子どもじゃあるまいし」
と、思うときもある。

この時は、仕事で疲れてたし、
やることが山積みだったので行きたくなかった。

晩御飯の洗い物をお水につけて、
イヤイヤな感じをアリアリと出しながら、
出かける準備をする。

     ★

夫の今日のビデオは、ナルミ ルコさん(漢字知らない……)の、
『君にしか聞こえない(聴こえない……どっちなんだろう……)』
という映画だった。

今年見たビデオ(映画も含む)の中で、
ベスト3に入る感動モノだったという。

「話聞いてくれる?話聞いてくれる?」
あらすじをしゃべりたくてたまらないという雰囲気の夫。

『帰ったら先にお風呂入ろうかなぁ。
もう、洗い物は明日にしようかなぁ。
あぁ、でも明日も仕事で、朝、慌しいし……』
夫のテンションと完全にズレている内心の私。

9Fにエレベーターが到着した。乗り込む。

「いいよ。しゃべって」と、興味なく夫に言う。

「……なんか、もうちょっとテンションあげて聞こうとしてよ」
と、文句を言う夫。

「それは君の話術しだいだ」と、答える私。

それならば、という感じで、夫は話し始めた。
私はまじめに聞いているつもりだった。

が、どこか上の空だったらしい。

途中から夫は、
「もう準子ちゃん(ここでは仮名)つまんない」
とふてくされ、話を中断した。

「そんなことないよ」と、言った後だった。
夫は私に背を向けて、

     プーッッ……

と、おならをしたのだ。

最近夫は、
一体なんの修業をしたのか、
自分のタイミングで、
おならをするようになったのだが、
どうやら私に対する抗議のつもりで、
この密室のエレベーターで、
おならをしたようで。

しかも、彼のおならは、強烈に臭い!!

私は、
「ちょっと、なにすんねん!
何も密室の狭いエレベーターですることないやん!!」

と、鼻を押さえながら、怒鳴る。

「ふーんだ!!」と悪びれもなく開き直る夫。

私は「永遠の妊婦」状態の夫のお腹を、
サンドバックみたいに右手のこぶしで殴る。

そうこうしている間にも、エレベーターは、
3,2,1と下っているわけで。

まだ、ナマなニオイが漂う中、
エレベーターは1Fに降り立った。

そしてふたりで顔面蒼白。

1Fには、お父さん、お母さん、子ども、おばあちゃん
といった家族構成であろう4人が、
何か意味ありげな目線を向けて立っていた。

玄関ホールの1Fのエレベーターの斜め上には、
エレベーター内部が見えるように、
モニターがある。

つまり、
夫が私に背を向けて、お尻を突き出して、
おならをするポーズも、
夫のお腹をサンドバックのように殴る
私の姿も、
一部始終見ていたご様子で。

夜遅かったので、油断した。

ヘタをすると、
モニターは声を拾えないものの、
「なんでやねん!」とか大きい声で言ってたので、
もしかしたら聞こえていたかもしれない……確かめられないけれど……。

「こんばんわ……」「こんばんわ……」
と、ぎこちない会釈をして、
エレベーターを交代する。

しかもそのエレベーターには、
まだ、夫の放った異臭の余韻が……。

私と夫は、とにかく俯いたまま、
玄関ホール脇にある、
駐車場に続くドアを開けた。

重いドアの音が響くので、
後ろ手でそっと閉じたとたん、
夫は、

「逃げろ!」

と言って、そそくさと車のところまで走り出した。

今更逃げたって……、なんだけれど、
私も心情的に逃げたくなって、
夫の後ろに続いて走りだした。

あぁ~恥ずかしかった。

走り終えた先には、駐車場。
自家用車があると思っていたら、
夫の社用車があった。

そんな話はまた改めて。

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