日々・ひび・ひひっ!

五行歌(一呼吸で読める長さを一行とした五行の歌)に関する話題を中心とした、稲田準子(いなだっち)の日々のこと。

松山あっちこっちめぐり③

2007年08月10日 | 五行歌な日々
帰路。が、またしても目の前で、
チン電は出て行った。

諦めて、
駅構内のおみやげ物屋さんへ入っていった。
でも、
ビジネスホテルのバスタオルが、
もともと重いのに加えて、
ふたつの温泉の水を含んでて(笑)、
もうこれ以上荷物を持ちたくないという気分にさせる。

冷やかしの気持ちで、
あれこれ物色していると、
お腹が、お土産のお菓子の詰め合わせとかに、
反応して、
「グ~~」っとなる。

く、食いてぇ~。なんか、食いてぇ~。

が、松山市駅に行けば、
なんかうまいもんが食えるはず!
それまで、下手な食べ物は食べたくない!

そんな気持ちに折り合いをつけて、
購入したのが『坊ちゃんアイスキャンディー』。
はやりのマンゴー味だよ、いひひひ~。

と、ちょっと弾んだ気持ちになって、
ホームで食べようと、駅の中に入ったら、
電車がすでに到着していた。

うげっ!さっき出たばっかりちゃうの!?

と、走って慌てて飛び乗った。
ほどなく、電車、出発。

「ひゃ~危なかった~!これで乗り遅れたら、
ちょっと情けなさ過ぎるよなぁ~!」

と、安堵して、
人の目を気にせず、
『坊ちゃんキャンディー』の封を切る。

いっただきま~す!と、かぷり。
冷たさが、口の中に広がる。

広がると同時に、ある疑惑も、広がる。

咄嗟に乗った時に、
パッと見て、あまり意識しなかったことが、
疑惑となって広がった。

この電車の額(?)の辺りに『JR松山駅』って、
書いてなかったっけ……?

     ★

おそらく、『JR松山駅』へ行くのなら、
松山市駅は通らない。
私は、家で印刷してきていた、地図を見直す。

……やっぱり。

ポジティブに考えて、
JR松山駅まで帰るとして。

それならば、
ホテルに近いことは近いけど、
JR松山駅って、食べるとこあったっけ……?
いや、なかったとしても、
どっかにコンビニを探して、
そこでお弁当でも買って、
ホテルの部屋で食べてしまうか……?
あ、でも、通り道にコンビニなかったぞ。
……また、探すのか?えぇ~!?

夜に道を間違えて、女ひとりがふらふらしてると、
よくないことが起こるんじゃないかなぁ~
(↑いや、もう十分、ふらふらしてるけどね……)。

アイスキャンディーをサクサク食べながら、
心は全く穏やかでない。

「えぇい!!初志貫徹でぃ!
ひとつ手前の分岐点の駅で降りて、
松山市駅まで、歩いてやろうじゃないのさ!!」

と、またまた、
『ひと駅ぐらい、なによ!』根性が頭をもたげた。

アイスキャンディーの棒は、
何故かナナメに刺さっていた。

長い棒は、
真っ直ぐなのにナナメの角っこのほうを向いていて、
食べにくく、
まん中の棒にくっついているアイスの部分は、
食べてるうちに、
あやうく落っことしそうになったりした。

わざとなのか。たまたまなのか。

夏目漱石の『坊ちゃん』って、
真っ直ぐなのにナナメを行く性格だったっけ……?
そうだったような気もしてきたけど……。

ナナメに刺さっているからこそ『坊ちゃんアイスキャンディー』??

松山市駅に決めたとたん、
心の焦点は、アイスキャンディーの棒にスライドしていく。

ふと、たまたま偶然のことを、
難しく考えていく。

こういう頭の回転の仕方が、単純なことを見失わせる。

アイスの部分をすべて食べ終えて、
角度のなくなった、
ただの真っ直ぐな長い棒になったキャンディー棒に、
いつしか、坊ちゃんではなく、自分を見ていた。

     ★

ひとつ手前の駅から、
松山市駅を目指して歩く。
さすがにもう、暗くったって、道は迷わない(笑)

線路沿いに確実に、松山市駅へ近づいていく。

信号のところで止まった。
ふと、近くにあった標識を見た。

『松山コミュニティーセンター』と書いてあって、
矢印がさされてある。

松山コミュニティーセンターとは、
私が宿泊しているホテルの斜め前だった。

つまり、私が地図で見て、
「真っ直ぐ行けばチン電に突き当たって、
ちょっと曲がれば松山市駅」という道は、
この目の前の道だったのか!!と気づく。

ちょっと、涙ぐみそうになるほど、感動した。
やっぱり、道はあったんだ!!(そりゃそうだ……)

その時、「女の夜道歩きは危険」というのは、
頭の中から消え去った。

リベンジ。

この道を歩いて帰るぞ!!
そうしなければ、この道が、寂しがるぞ!!
(なんか、こんな五行歌あったなぁ……)

その前に、腹ごしらえだ!

信号が変わって、
私は、「また戻ってくるからな!待ってろよ!」と、
つぶやきながら、
あとで歩く一本道を横切った。

ヘロヘロとしていた気持ちが、しゃんとする。

一路、松山市駅の地下街へ!!

     ★

……松山市駅の地下街は、
ガレージがいっぱい締まっていた。
時間は8:30前後。

えぇ~!!もう締まっちゃうの~!!早すぎ~!!

選り好みをしてはいけないと思いつつも、
最初に見つけたラーメン屋さんは、
嫌だと思った。
なんとなく、ラーメンの気分じゃない。

あ、ここは……と思った洋食屋さんは、
ガレージこそ閉まっていなかったが、
すでに閉店して、レジの精算をする音がした。

三軒目にして、ようやく、とんかつ屋さんを見つけた。

中に入ると、男性がひとりだけ、
スポーツ新聞を読んでオーダーを待っていた。

メニューも見ずに、店頭に紹介されていた、
とんかつ定食を頼む。

長々と待って、ようやく来た頃に、
男性は食べ終えて、清算をして、立ち去った。

女ひとり、色気とは程遠く、とんかつをがっつく。
店の人たちが、厨房を片付け始めているのを見ながら。
時計を見ると8:50……ここも、9:00には閉店かよ。

別に食べてる間は、
追い立てられることはないだろうが、
妙に気を使って、急いで食べた。

レジで清算して、エネルギー充填完了。

さ、1㌔でも2㌔でもドンと来い。
見つけた道は、必ず歩く!

     ★

本当に、なんでもないことだけど。

その道を曲がることなく、
真っ直ぐ歩いただけで、ホテルについた。

妙な幸福感だった。

この道を見つけて、歩くために、
様々なところを目指したり、
様々なところで迷ったり、
様々なところで慌てたりした。

そういうものが、
この道を真っ直ぐ歩くだけで、
面白くて仕方ないものになっていく。

時間はかかったけれど、
誰かをイライラさせることなく、
自分でちゃんと完結させれた。

だから、ひとりで知らないところを歩くのは、好きなのだ。

ホテルはボロくて、
見つけたとき、ホテル○○○○となっているはずの電飾は、
「ホテ」だけしか、灯っていなかったけど、
私には「歩で」という言葉を連想させられて、
くすくす笑わせてもらった。

部屋に着いて、TVをつけたらちょうど10:00。

「明日は歌会だ!!
今日の疲れを持ち越して望むのは失礼。
さっさと寝ようぜ!エイエイオー!!」

のイキオイで、すぐTVを消して、寝床についた。

しかし、そんなイキオイがあって、
安眠の世界へいざなわれる訳がなく(笑)

寝たり起きたりしながら、
『五行歌』で、愛媛だとわかる人の作品を、
探し出しては読んでいた。

朝四時起きで、夜はそんなテンションで。
翌日の松山歌会はどうなったのでしょう。

そんな話は、また後日。

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