初ホームシック

銀行を後にして、前の職場の女の子と一緒にランチをする前に、着付けの先生の自宅へ立ち寄ることにしていた。

その銀行から、
先生の家に行くまでの道のりは、
途中まで、
私が前の職場へ行くまでの道のりだった。

すると、途中で、
新しい手作りパン屋さんが出来ていたり、
夫と同姓同名の人が
院長になっている内科が、
開業していた。

たった二ヶ月だが、
私には急激な変化に思えた。

思わず、感傷的になり、
ホームシックらしき感情になった。

あぁ、もう私は、この町とは連動してないのだな、
そう思うと、
ここ最近の、
気の張った感じが、一気にゆるみ、
涙が出てきた。

戻りたいとか、もう戻れないのね、
とか、そういうものではなくて、
ただ、ゆるんだ。

　　　　　★

それでも、
ランチを一緒にした、
職場の女の子は、
ついこの間、「車上荒らし」に遭い、
ナビをとられた、というのを聞くと
（彼女とはご近所さんでもありました）、

やっぱり、
ここにずっといたら、
そんな犯罪めいたものに、
私もあっていただろうと
改めて思ったりもしたりして。

あらゆる意味で、この引っ越しは、
あるべくしてあったのだ。

……あれ？着付けの先生の話をするつもりだったのに。
気がつけば、また、職場の女の子を登場させちゃったりして（笑）

今度こそ、
着付けの先生とお会いしたときの話です。