日々・ひび・ひひっ!

五行歌(一呼吸で読める長さを一行とした五行の歌)に関する話題を中心とした、稲田準子(いなだっち)の日々のこと。

『脂肪0(ゼロ)』の『仕事0(ゼロ)』・後編

2009年08月19日 | お仕事な日々
8月19・20日の仕事先。
ヨーグルト売り場に『脂肪0』は、
そこそこあった。
だから疑わなかった。試食の仕事があることを。

     ★

準備をし始めると、ひとりのご婦人現れて。
『脂肪0』を買うか、通常のプレーンを買うか、
迷っていた。

ゴミ箱に、ビニール袋をかぶせる手を止めて、
「食べてみてから、お決めになられては?」
と、売り場の『脂肪0』を開けて、
試食用カップについで、ご婦人に手渡した。

酸味、そんなに気にならないとのこと。お買上~。
まぁ、幸先がよろしいのことアルヨ。

気持ちいい滑り出しで、本格的に声を出し始めると、
担当者がやってきた。

「あれ?今日の試食、それちゃうで」……なんですと?

担当者は、
4Pのフルーツヨーグルトを指差して、
「これやで」と言う。……なんですと?

念の為、派遣会社に電話をさせて欲しいとお願いして、
バックに引っ込んで連絡を取ると、

「あぁ……、そういう連絡何件か入ってきてます。
お店の指示に従ってやってください」
とため息交じりで言われてしまう……なんですと?

またしても、『脂肪0』、売ること禁止。

そして、一口二口スプーンで掬った『脂肪0』を、
自宅に持って帰るハメに。

だから苦手なんだって。『脂肪0』。
またバナナラッシーだよ。
ミキサー洗うの、めんどくさいんだよ。

ある意味、縁がないんだけど、
ある意味、縁のある、『脂肪0』。何故だ?

     ★

その日の、お昼休憩の時に、
派遣会社から電話があって、

「稲田さん(ここでは仮名)、前日にお店に電話を入れて、
事前確認しました?」

なんて、聞かれる。
してません。ええ、していませんとも。

最近、朝、仕事先へ行くと、
聞いていた商品と違う商品を売れと言われるトラブルが、
多発しているらしい。

メーカーの本社が、試食販売品のスケジュールを、
派遣会社に連絡する訳だが、
メーカー側と店側で、何か行き違うのか、
そこで相違が生じるらしく、
で、実際に発注を請け負うのは
その店のある、地域のメーカーの営業所なわけで、
店側の発注どおりのほうの商品を、
試食販売品だからと大量に卸していくらしく。

で、こういうトラブルの場合、
派遣会社は、
その店を担当するメーカーの営業所(本社ではないところに注目)の担当者に、
確認の電話をするのだが、
曖昧な返事をされて
(営業所にしてみれば、
店に言われたとおりの商品の数量を卸しているだけだから、
事情がよくわからない感じになるらしい。
メーカー本社からの連絡ってないんだろうか?)、
軽いたらい回し状態になるらしい。

メーカー本社と営業所。そしてスーパー(きっとそこにも本社と店と)。
意思疎通の崩れたトライアングル。

崩れたトライアングルの崖っぷちにいる、派遣会社は、
非常に困っているらしく。

なので、最近、派遣会社は防止策として、
崖っぷちのまさに末端にいるマネキンに、
「試食品の確認を前日にお店に電話を入れて確認するように」
と、お達しを出して、通告していたけど。

確かにその連絡は、掲示板で確かめたけど。

長年マネキンをしていると、
たまたま、商品知識があるものの変更であれば、
多少の融通はきく(この話の前編のようにね)。

だが、それは、経験値のある人のみで、
こういう、ド短期バイトの代表格のマネキン業は、
初めて仕事に入って、これっきりという人のほうがむしろ多く、
タダでさえ何もかもが不安だらけなのに、商品が違うとなると、
もうパニくって、どうしようもなくなるのだ
(特に、生まれて初めてバイトします的女子高生とかは)。

なので、そういう、
初めてさん達のためだけのお達しだとばっかり思ってて、
私は無視してたんだけど。

なまじ、注意書きを読んでいたので、言い訳は出来ないけど、
「これからは、事前確認をしてください」と、
わざわざの電話で注意をされても、なんだか理不尽さを感じる。

だって、
これって、メーカーや店側の連絡システムが原因だよなぁ。
どうも、『風が吹けば桶やが儲かる』の逆バージョンな感じで、
とばっちりを受けているような気がする。

いや、派遣会社だってね、
朝から「売るモンが違う!」と、
あちこちのマネキンさんからパニックの
電話がかかってくるのも、大変だとは思うよ。

思うけど、どうも、
それを知っていてもなお、
「ええやん。行き当たりバッタリで。ええやん。出たとこ勝負で」
という気持ちが拭えない。

『なら、店の人に言われたとおり商品を変更して、
派遣会社に連絡をしなければいい』、っていう道を、
今アナタは想像したかもしれない(してへん、してへん)。

が、この仕事は報告書を書かなくっちゃいけないから、
お給料に精算するときに、チェックが入って、
「こちらが言っている商品とは違うのを何故売ってるの?」と、
問われてしまって、やっぱり注意される道が待ってるんだよなぁ。

あーこりゃこりゃ。困ったもんだ。

     ★

そんでまたね、この事前確認っつーのが、ヤなもんなのよ。

この日以降、仕事のメーカーが何処なのかを見てから、
「ここはヤバイかも?」と思えるような場合のみ、
お店が暇な時間帯を狙って、
事前確認の電話をするようにはなったけど。

まず、お客さんからの電話ではないと知ったとたんに、
お店の人の声のトーンが、低音になるのが怖いし
(そりゃめんどくさいだろう。店側としては)、

「え?試食販売……?いやぁ私わかりませんねん。
担当してますけど、パートですし……。
試食カップが届いているかって?……さぁどうでしょう……。
まぁでも来て下さい」

という、「電話かけても、意味ないじゃん」的会話で終わり、
真面目にやって、後悔が滲む波打ち際(波打ち際?)って感じになって。

多分、ほとぼりが冷めたら、
電話なんてしなくなるであろう自分が見え隠れ。

大丈夫。
例え『脂肪0』の仕事へ行って、
それを売ることがなくても、
誰も恨みませんし、怒りませんし(バナナラッシーはもう飽きたけど)。

そんな風に(どんな風に?)、
仕事の日々を8月後半は過ごしたのでございました。

そして、4度目の選択。

夏の終わりに、
また、『脂肪0』の仕事が舞い込んだ。

と、いう話は、つづく。

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