日々・ひび・ひひっ!

五行歌(一呼吸で読める長さを一行とした五行の歌)に関する話題を中心とした、稲田準子(いなだっち)の日々のこと。

愛染蔵を思い出しながら。

2007年02月03日 | 着物の日々
さて、これも、おとといの、
母との着物談義のときのお話。

母は、こういう着物を、
化粧品を買ってもらっているお客さんにさそわれた
展示会に行っては、
ローンで購入するんだけれど
(その代わり、化粧品を売るのだけれど)。

愛染蔵は倒産したけど、そこは大丈夫なの?」
と、聞いてみた。

すると、愛染蔵のことがあって以来、
ひとつでも、ローン返済が残っているお客さんには、
着物類の購入(ローン)は求めない、というルールが決まったのだそうだ。

が、縁が切れることを恐れ、展示会には誘ってくるらしいが。

「ってことは、この紬で、ローンは完済したんでしょ?
また、言い寄ってくるんじゃないの?
もう、私のは、いいからね」

と聞いたら、

「あら、もう一着あるよ。ローンを払っている途中のが」
「自分の?」
「ううん。準子(ここでは仮名)ちゃんの」

と、答える。へ?

おとどしの秋に私の体のサイズ聞いてきたの、
この紬じゃなかったの?」

と、聞いてみると、

「あのとき、二着頼んでん。
もう仕上がってるけど、今日持ってこなかっただけで。
だから、購入は今は勧められてないよ。
展示会は行ってるけど。
この前はねぇ、お肉もらった」

と、楽しげに言われた。

ここが、相容れないんだよなぁ。
ある意味、すばらしいが。
いや、やっぱ、怖いなぁ……。

そうかぁ。
まだ私は、
あと一着、着物をもらえるのかぁ。

嬉しくないことはないが、本当にいいんだろうか。

もう、最後にしておいて欲しい。
仕事のハリになるとは言うが、もう年なんだから。

     ★

そういえば、母は、
私が20歳の時、
愛染蔵がタダで浴衣を作ってくれるっていうから、
作らせて、
自社ビルでの展示会のようなのにも、
誘われて、
行くだけ行ったけど、
結局、購入しなかったという経験をお持ちだ。

化粧品での売買ともだち(?)とは違い、
たった一人で、
自社ビルの上から下へ向かって、
いろんなものを見せられて、
(フロアが下になるほど、商品が安価になっていくんだって)
ローンを組ませようと必死な、
若い営業さんを断り続けるのは、
かなり苦痛だったそうだ。

浴衣をタダでもらうために、
その苦痛に耐えたのかと思うと、
子どもの役割しかやっていない私には、
理解しがたい親心。

しかも、その浴衣、
私が選んだ柄ではなくて、
母が選んだ柄だったのでそんなに着なかった。

(※愛染蔵側から、
「人気の柄だったので、注文した頃には、反物がなくなった」、
とか言われたらしいが、
母は私が選んだ浴衣の柄を、
「そんな柄は、今しか着れない。もっとオーソドックスなのにしようよ」と、
言ってたし、
結局、母がオススメしていた柄で出来上がってたので、びっくりした思い出がある
「本当に愛染蔵側から言われたの?」とかなり怪しんだものだ)

いや、親心だけじゃ、ないだろう。
私を通して、実現したい欲望があるはずだ。

時々、重く、息苦しく感じられるが、
時々、ずるくなって、利用するときもあるので、
今やあまり、反発はしなくなったけど。

     ★

昨日、
駅で待ち合わせて、
阪神百貨店へ行くとき、
母は駅の近くの仕事場から現れた。

これから、
娘と着物の小物を買いに行くと、
仕事仲間に言ったら、
「あんたも、着物来たらええやん。
自分のも大概買っているんだから」と、
言われたそうだ。

「あたしも、同意見だよ」と、
電車の中で母に言った。

「着付け習ったけど、もう忘れたからなぁ」
なんて苦笑いして、曖昧に答えてたけど、
いざ、自分が目立つようなことをしようとすると、
二律背反な、
なんとも言えない気持ちが生じて萎縮する
母の性格を私は知っている。

うーん……、と私はうなりつつ、
今回の小物は、断りまくって、自腹で(初めて・笑)買った。

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