日々・ひび・ひひっ!

五行歌(一呼吸で読める長さを一行とした五行の歌)に関する話題を中心とした、稲田準子(いなだっち)の日々のこと。

2007年4月の芦屋歌会

2007年04月15日 | 五行歌な日々
昨日の運動のせいか、
夜中の4時ごろに
口の中で、唾液があふれ出して、
空腹感を訴えてきた。
で、そのまま起きることに。

なのに、慌てて芦屋歌会に出かける(アホやわ・笑)。

夫に、駅まで車で送ってほしいと、
嘆願している最中に地震。

JRはダイヤが乱れ、5分遅刻した。

歌、お披露目。

     ★

       
       むき損ねた
       ゴツゴツのゆでたま
       武骨な
       松井選手の肌だと
       思えば



ゆで卵を、
きれいにむく方法を、
ご存知ですか?

私は、本を見ては、忘れます(笑)
そして、めんどくさがって、もう見ていません。

「たしか、冷やすといいんだよ」
ってことだけ覚えてて、
ゆでた後の玉子を、
水につけて、しばらくしてからむき始めます。

(これ、歌会のときに教えてもらったんですが、
時間を置くとダメなんですってね。知ってました?)

しばらくして剥き始めると、
殻と白身がくっついて、
ゆでたまの表面に、
クレーターを作ってしまい、
つるつるなのに、デコボコしている
かたちの悪い、ゆでたまごになってしまうのです。

その度に、「あっちゃ~……」と。

で、その「あっちゃ~……」を、
「いいさ。これも、松井選手の肌だと思えば」
という、妙な言い訳で納得させて、
頭を切り替えたことをふと詠ったのですが。

多分、初めてなんじゃないかな。固有名詞を入れた歌って。

読み手の方からは、

①五行目の「思えば」の余韻を、どうとらえればいいのか。
②「武骨な」は、「無骨な」のほうがいいのでは?
 あるいは必要?
③「ゆでたま」は「ゆでたまご」にしなかったのは何故?

と、主に質問されました。

は、
歌の説明にあったとおり、
自分に言い聞かせるような気持ちからでしたので、
余韻を具体的な言葉に無理に集約すれば、
六行目には「ま、いっか」ぐらいの言葉が来るのですが、
五行目に「思えば」だけがポンとあるので、
人に問いかけているように聞こえたのだそうです。

「思ったらどう?」ぐらいなニュアンスです(と、言っていたと思う)。

私の意ならば、五行目を「肌だと思えば」にしたほうが、
人には伝わったかも、ということでした。

自分で作っておいて、「多分……」という
曖昧さで言いますが(笑)、
おそらく私は、4行目と5行目が、ほぼ同じ長さになるのを、
嫌ったんだと思います。

同じ長さになって、落ち着く感じが。

そして、三行目の「武骨な」という長さと、
揃えるのを好んだんだと思います。

意味的な理由より、
表記のセンスというか、好みが、
勝ってこれに決定したんだと思います。

は、悩みました。
実は、私は、
松井選手のことを一般的な程度にしか知らないし、
どちらかといえば、イチロー選手のほうが好きです。
なので、
果たして、松井選手が「武骨」なのかどうか、
自信がありません(笑)

基本的に、私は、松井選手の「肌」だけが必要だったし(笑)

ですから、松井選手に対して、
どのくらいの知識や興味があるのかで、
「武骨でいい」「無骨のほうが合っている」
「いや、武骨な人じゃないから、いらないよ」
になるかも……と思いました。

それでも、私の薄っぺらいイメージでは、
松井選手は「武骨」なんですね。

今のところは。今の気持ちは。

知識が変わると「違ってたな」と振り返る可能性はありますが、
瞬時の気持ちを歌った歌なので、いじることはないと思います。

あと、多分リズムや音の整理のためでもありました。
二行目の「ゴツゴツ」の「ゴツ」にひっかけたんですね。
武骨をなしにして、「ゆでたま」を三行目に置き換えることも、
試みましたが、
上手くいえないんですが、
「急ぎすぎる」スピードになったのでやめました。

飛び石を置くような気持ちで「武骨な」。

も、②と似た理由です。
と、いっても、
一番の理由は、
私が普段、「ゆでたまご」を「ゆでたま」と、
話し言葉で使っているから、自然に、というのが一番です。

私にとって、
「ゆでたま」は話し言葉で
「ゆでたまご」は書き言葉に相当します。

人にお披露目をするという舞台で、
カジュアルを着せるか、フォーマルを着せるか、
という選択で、
普段どおりのファッションで、にしたんですね。

あと、二行目が「ゴツゴツ」の「ゴ」から始まって、
ゆでたまごの「ご」で終わる、という、
その濁りを嫌いました。

人によっては、「それでも略すなよ!」って人もいるかもしれませんが、
「ゆでたまご」と言うより「ゆでたま」にしたほうが、
ツルツル感も出ると思ったんですね。
で、「ゴツゴツ」と
対句的な
不思議な(不思議か?)
イメージができるんじゃないかと。

そんなところです。

     ★

この歌は、
「あっちゃー……」という気持ちから、
開き直るところまでの
一瞬の狭間の歌です。

ですので、言葉が放つ方向性や、意味よりも、
音やビジュアルを意識して、
でも、リズムや韻の
全面的強調は嫌ったんだと、
振り返ってみると、思いました。

深さを持っているとしたら「松井選手」という
固有名詞だけかと思いますが、
固有名詞って、やっぱり扱いにくいですね。

意味がひとつのところに集約されにくい。
まだ生きているし、現役だし、完結していないし。

でも、欲しかったのは「肌」だからなぁ……(笑)

二次会は、予想通り、食事をしたとたん、
眠くなり、すぐに退席し、
早い目に家で寝ました。

私の歌より、みなさんの方が、いい歌でした。
それは、歌誌のほうで。

いやぁ~、レポート書きがいがあるなぁ(イヤミじゃなくてホントにですよ・笑)

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7 コメント

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ちょっとしたことですが (詩乃)
2007-04-16 22:57:23
ゆであがったばかりの熱々のゆで卵、
お湯だけ捨てて空のお鍋の中で
ごろごろ転がしてひび割れさせてから
冷やすとスピーディに冷えます。剥きやすさもアップ。
弁当屋で働いてたときに教わった技でした。

毎度ながら微妙に歌の話からずれてしまうコメントで
申し訳ないですが(笑)
そういう話題の広がり、盛り上がりを生み出すのが
「良い歌」なんだなと思うのです。

返信する
庶民派賞 (いなだっち)
2007-04-17 08:31:14
>お湯だけ捨てて空のお鍋の中で
ごろごろ転がしてひび割れさせてから
冷やすとスピーディに冷えます。剥きやすさもアップ。

くーっ!!
こういうの、教えてもらうの嬉しいっす
ありがとうでやんす!!

完成度はいくつかあるうちのひとつの部門賞。
この歌は、庶民派賞かな(笑)

でも、
今度は、つるんつるんのお肌の
ゆでたまを詠いたいものです
返信する
出遅れた!(笑) (須賀知子)
2007-04-17 12:59:21
いやぁ~ん、詩乃さんに先越されちゃったぁ~(笑)いえいえ、実は昨日、小泉劇場ならぬ須賀劇場「たまごの君」を執筆中だったの(笑)。
稲ちゃんの帰った後、ゆうさんにコメントの消えない方法を教えてもらったので、早速!でも、消えた!!
気を取り直し、チョコチョコ書いていきますので
歌会で十分な時間がとれずに申し訳ない。私も言い足りなかった(笑)しフォロー不足を反省しています。
「どうしてゆでたまごではなくゆでたまなのか」という質問から派生して、「どうして他の行は話し言葉じゃないのか?」聞きたいんじゃないかなって思ったけれどパス!唐突に思われたかもしれない「松井選手って本当に好青年なんですよ」に、私と同じように微量だけれど不安のスパイスを感じ取られたんだなぁと思いつつパス!芦屋の面々だっただけに、視点を広げるチャンスだったのに本当に申し訳ない。

レポート、よろしくお願いいたします
返信する
どうして、こうなるの (須賀知子)
2007-04-17 13:20:20
今、投稿をクリックしたわけじゃないのに、載ってしまったわ???
まぁ、消えないよりましだけど・・笑
レポートの件に関しては、私の過保護を深く反省しております。他の歌会の方達が一巡したら(それまではやらせる気だ・笑)芦屋の方達に絶対引き受けていただこう。アミダくじでも、アイウエオ順でも。
遠方から来られているのに、一席だからってレポーターが当たる。それを文句も言わずに引き受けてくださった、稲ちゃんはじめ皆様、ありがとうございます。
懲りずに来てくださいね。


「たまごの君」、お楽しみに・・
返信する
時代劇「たまごの君」 (須賀知子)
2007-04-19 04:07:47
それでは歌が届いたところから・・
「で、食べたのかぇ?食べなかったのかぇ?」
「母上、ご乱心めさるな。もちろん食べたのでござる よ。」
「そちは、見たのか」
「いや、それは・・・」
「妾の頭の中で、姫は(稲ちゃんね)たまごを手にし たまま固まってしまっておるのよ。あぁ、早く動か してみたいものじゃ」
三日後
「母上、文が参りましたぞ」
「おお、待ちかねましたぞ」
「なになに、あぶり出しになっておるのじゃな。
 姫らしい懲りようじゃ(笑)」
「『まっ、いいか』」
「ほっ!!さあさあ、われらもいただきましょうぞ。
 ただし、つるんつるんのゆで卵!?」
どんど晴れ

こんな感じでした。(笑)「肌」で終わっていれば面白い比喩ということで納得したでしょう。しかし、「思えば」が独立して止めになっているため、読み手の私にとっては後を(次の行為を)意識させられる感じで、胸が掻き毟られるようでした。(大袈裟な・笑)ひとつの言葉が生み出すものに驚くばかりです。

うたた寝からさめて、今一度
返信する
「思えば」 (いなだっち)
2007-04-20 17:54:11
笑っちゃいました。「たまごの君」!
やっぱ、須賀さんて、おちゃっピーです

うすうすそう思っていたけれど、
ここ最近、決定的にそう思えてきた(笑)
この前の、東大阪歌会(三次会)でも、
須賀さんのチャーミングさを、
「いいね!いいね!」と話していたんですよ。

あぁもう、このまま、
おちゃっぴー道を極めて行って欲しいです。
後方からついていきますので(笑)

     ★

歌会の時のみなさんのコメントについては、
受け答えしながら、
しゃべればしゃべるほど、
歌に軽さがなくなって、重くなっていくジレンマがありました。


歌の意を、作者が間違った方向へ
導いて行っているような気が(笑)
そういう類の歌ってありますよね?(言い訳?・笑)

もう途中から、自分が作者なのに、
「歌に悪いなぁ……ふがいない作者で申し訳ない」
と、思ってました。えへへ。

だから、進行上とはいえ、
いろんな質問の受け答えを切り上げてもらえるのは、
内心助かった~と思ってました(笑)

     ★

『松井選手』と『思えば』。

ぶっちゃけ、作者である私は、
深く考えず、感覚的に作っていて、
言葉より、こんな発想をした自分が、
可笑しくってならなかったんだと思います。

「こんな発想をした私を見て見て!」
というのが、根っこだと思う(笑)

でも、だからこそ、この歌を
歌会に出してよかったです。

歌的には、という意味ではなく、
作者的には、という意味では。

質問されて、初めて、
言葉そのものを見直した機会を
いただけました。

質問されて、
自分が無意識にしていたことを、
意識上に浮上させたり、
人の言葉に
「そんな風に感じるのかぁ~」と、
揺さぶられたりするのは、
まさに、思考の筋力トレーニングで
(↑あ、最近の日々の影響の出た比喩表現だ)
嬉しく楽しかったです。

言葉や改行位置については、
重複するので書きませんが、
『思えば』に関していえば、
もしかしたら、短歌をやっていたころに、
吸収した経験が、
不意に出たのかもしれない気もします。

何か具体的な歌を思い出すというわけでは
ありませんが、
俵万智さんの『サラダ記念日』を読んで、
最後を「……思えば」で終わるような歌が
あったかもしれない。
(確認したいところですが、
調べる時間がありませんので、不確実です。
あらかじめご了承の程)

類似歌では、全くないですけれどね。

それを読んだときの感動かなにかが、
貼り付いて胸の奥に残っていて、
言葉としては忘れていても、
その鋭い響きが、
ふとこの歌(玉子の歌のことね)を私が詠んだとき、
首をもたげてきたというか(言ってる事わかります?)。

その作者もすっかり忘れてた読書経験(印象)を、
須賀さんは、そのひと言の響きの中に、
感じ取ったのかもしれません。

『たまごの君』を読みながら、
そんな過去なところまで、
自分を遡ってしまいました(笑)

真夜中の4時に目覚めて、
コメントをアップしてくださったこと、
もう、なんだか、その事実が、
胸を熱くしました。

五月も『樹』で歌会だし、
なんとか行きたいなぁと思っています。

あっ!、その前に、色紙に歌を書いて、
送らなくっちゃ!

来週中にはつくようにしますので
返信する
Unknown (須賀知子)
2007-04-22 00:50:19
「たまごの君」笑っていただけたようでホッ「私って多重人格者なの」とはよく口にするのですが、おちゃっピーが加わりましたか(笑)ウフフ、なんか嬉しいです!!
今日は打ち合わせで「樹」へ。庭の手入れも行き届いて、木香薔薇が綺麗に咲いてました。おしゃれなテラスもできてます。五月の風に乗って、おいでくださいませ~
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