もうそろそろいいかな。
『五行歌秀歌集』の作品評。
歌が多いので、
「一項目ごとに一首」というルールを自分に課して、
セレクトして、
一首ごとに、簡単な作品評を全部つけて、
その書きごたえから、
12月号に掲載する五首を絞って、原稿にした。
せっかくなので、
その掲載される五首以外を簡単に、
ここのブログに書き残しておく。
★
漆黒の宇宙という
胎内に
胞(つつ)まれている
地球だ
青と緑の受精卵だ 稲本 英(p18)
漆黒の宇宙が、どろっとした質感に思えた。
なぜかイメージは両生類の卵(地球はおたまじゃくしかよ……)
青と緑の受精卵の地球は、やがて「国」という細胞分裂を起こし、うごめいていく。
と、いうことは、私たちは、まだ、受精卵の成長過程の中にいるのか。
細胞分裂を起こし終えたら、地球は「ひとつ」になれるんだろうか。
ひとつになった瞬間に、ひび割れちゃうのかな。
未知なるものと、末路のあわいで揺さぶられてしまいました。
蹴飛ばす
小石さえ
選んでしまう
小さいぞ
わたし 井村江里(p44)
この言い聞かせ。
小石を蹴飛ばす行為も小さいことだと自覚しながら、
さらにその小石を選別する自分にツッコミを入れる。
この入れ子形式の表現が、パンドラの箱を思わせて。
小さい小さい私の中から、最後に立ち昇ってくるものは、
小さいけど小さいけど、どうか希望でありますように。
ぱん と
手を叩けば
飛び立ってしまうだろうか
木蓮に咲く
白い鳩 悠木すみれ(p55)
本来は動く花なのか?木蓮は。
なんて、根本を錯覚したりして。
「ぱん と/手を叩けば」という二行が、かえって静寂を伝えてくる。
その静寂は、誰から見ても聞いても静寂なのか。
はたまた、
木蓮が白い鳩に見えてくるほどの
作者の集中力の中に、
私が取り込まれて、外の世界から遮断されてしまうからか。
「木蓮の花の比喩表現に優れた歌」なんて、
キャッチーな賞賛では片付けられない、
心地いい力強さまで感じさせる歌でした。
★
今日のところは三首でおしまい。
明日に続く……とは、限らない(笑)
『五行歌秀歌集』の作品評。
歌が多いので、
「一項目ごとに一首」というルールを自分に課して、
セレクトして、
一首ごとに、簡単な作品評を全部つけて、
その書きごたえから、
12月号に掲載する五首を絞って、原稿にした。
せっかくなので、
その掲載される五首以外を簡単に、
ここのブログに書き残しておく。
★
漆黒の宇宙という
胎内に
胞(つつ)まれている
地球だ
青と緑の受精卵だ 稲本 英(p18)
漆黒の宇宙が、どろっとした質感に思えた。
なぜかイメージは両生類の卵(地球はおたまじゃくしかよ……)
青と緑の受精卵の地球は、やがて「国」という細胞分裂を起こし、うごめいていく。
と、いうことは、私たちは、まだ、受精卵の成長過程の中にいるのか。
細胞分裂を起こし終えたら、地球は「ひとつ」になれるんだろうか。
ひとつになった瞬間に、ひび割れちゃうのかな。
未知なるものと、末路のあわいで揺さぶられてしまいました。
蹴飛ばす
小石さえ
選んでしまう
小さいぞ
わたし 井村江里(p44)
この言い聞かせ。
小石を蹴飛ばす行為も小さいことだと自覚しながら、
さらにその小石を選別する自分にツッコミを入れる。
この入れ子形式の表現が、パンドラの箱を思わせて。
小さい小さい私の中から、最後に立ち昇ってくるものは、
小さいけど小さいけど、どうか希望でありますように。
ぱん と
手を叩けば
飛び立ってしまうだろうか
木蓮に咲く
白い鳩 悠木すみれ(p55)
本来は動く花なのか?木蓮は。
なんて、根本を錯覚したりして。
「ぱん と/手を叩けば」という二行が、かえって静寂を伝えてくる。
その静寂は、誰から見ても聞いても静寂なのか。
はたまた、
木蓮が白い鳩に見えてくるほどの
作者の集中力の中に、
私が取り込まれて、外の世界から遮断されてしまうからか。
「木蓮の花の比喩表現に優れた歌」なんて、
キャッチーな賞賛では片付けられない、
心地いい力強さまで感じさせる歌でした。
★
今日のところは三首でおしまい。
明日に続く……とは、限らない(笑)
きっと女性の子宮内ってのは、出産のときまで光は入らないとおもうのです(や、出産のときにはいるのか?)。
きっと、漆黒の闇。
それはきっと、宇宙とおなじ色なんではなかろうか、と思って。
もしかしたら、地球ってのもおなじ漆黒につつまれていて、そのなかで生命を育んでいる地球と、ひとの受精卵が、じぶんのなかで重なってかんじて詠んだウタだったとおもいます(…「おもいます」って…うろ覚えかい)。
このウタ、秀歌集にとりあげていただけただけでも充分しあわせなヤツなのに、いなだっちさんにこちらでとりあげていただいて、より一層しあわせなヤツになりました。
ありがとうございます
ありがとうございます。
「宇宙・自然」の項目の、一番最初に、
ふさわしい、大きな歌だと思いました。
その大きさに比べて、
どうも、私の評は、
そんなつもりはなくても、
重箱の隅をつついているような、
細かさがあって、
歌誌で取り上げるのは、やめたんですけどね。
歌を矮小しているような気がしちゃって。
作者さんに褒めていただいて、ほっとしました。
宇宙の「色」から歌へ入ったのですね。
私は多分、女性の子宮は、
「血」の赤が入り混じった
「肉色(史さん、ちょっと借りますよ・笑)」
というイメージがあって、
「漆黒」という純度の高い「黒」に思えなかったから、
両生類の卵になったのかもしれません。
沼というか、濁った水底の手触りの宇宙。
感じ方の違いが、また面白く思えました。