耳垢ライブ。

月曜日、家でうたた寝をして、寝返りをうったとき、「ゴロン」という音がした。

いや、擬態音ではなくて。
左耳の中で、なにかがはがれ落ちた音。

それ以来、欠伸とか、ゲップとかする度に、

ブオッファッッ！！

と左耳で爆発音がするようになり。

やっと今日、耳鼻科へ行って来た。

　　　　　★

しかしまぁなんですなぁ。

病院の発達は日進月歩でんなぁ。
いや、厳密には、
医療機器が日進月歩なんでっしゃろか。

耳の鼓膜付近の耳垢を
映像で見せてもらえるとは。

耳垢ライブだ。

『まんが日本昔話』の
オープニングに出てくる「龍」のような、
ライト付き小型カメラがあって、

目線よりちょっと上のＴＶに、
私の鼓膜周辺を映し出してくれた。

左耳の
奥まで入って入って入って……、はい。ありました。
鼓膜の手前に耳垢。

汚いし、
第三者と一緒に見るには……。

レディとしては、
実に恥ずかしくなる
ごリッパなもの（わ～ん！）。

お医者さんは、
「龍」でさらにその耳垢を吸い上げた。

歯科医院で、
口内の唾液を、
バキュームで吸い上げられた経験って、
あると思うんだけど、
あれを耳に突っ込まれたって感じ（わ～ん！）。

「ほら、わかりますか？」

先生が、「龍」の口先についた、
私の耳垢を見せてくれた。

治って嬉しい。
でも、
もうちょっと頑張ったら、
自分で耳垢、
取れたんじゃないだろうか……と、
「喉元すぎれば暑さ忘れる」的気持ちもよぎり。

それを察したのか、
お医者さんは、

「かなり鼓膜の近くまで、耳垢が入ってたから、
こんな置くまでいくと、
耳掻きも届かないし、痛いから」

病院へきてよかったのですよ、と
そんな余韻も含ませつつ言った。

だが。

　　　　　★


「１１２０円です」

と
受付の人に言われた時には、
ガタガタガタっと崩れそうになった。

耳垢ひとつで、千円単位……。

リアルに三割負担の重みを感じる。

だったら、
あんな耳垢を、
第三者と一緒に見なくていいから、
ちゃっちゃと「龍」で吸い上げて、
５００円ぐらいにしてほしい。

いや、国が決めていることなので、
千円単位で、
お金は取らざるを得ないから、
せめてとばかりの
耳垢ライブなのか。
そんなサービス精神なのか。

う～ん……。