日々・ひび・ひひっ!

五行歌(一呼吸で読める長さを一行とした五行の歌)に関する話題を中心とした、稲田準子(いなだっち)の日々のこと。

残酷な描写にタフでいられなくなりました。

2005年10月10日 | TV・映画などの日々
もともと、ホラーマンガは、好きではない。梅図かずおさんのオカルトなマンガとか、高階良子さん(古い……)の怖いマンガとか、好き好んでは決して読まない。

最初から「怖いよ~」とハナッからアピールするものには、
まず手を出さない。

しかし、そういうところがメインじゃないけれど、
お話の流れ上、必要で、
スプラッタな感じの描写があっても、
それは、ある程度平気だった。
まぁ、じっくりは、決して見れないけれど。

     ★

例えば、井上雄彦さんの『バガボンド』。

宮本武蔵とか、佐々木小次郎の話だから、
切りあうシーンがあるわけで。

指がとれたり、腕がとれたりしても、
話のおもしろさのほうが勝ってるので、
読み続けていられる。

例えば、吉田秋生さんの『イブの眠り』。

バイオレンスなアクションシーンがあったり、
血なまぐさいけど、
仕方ないかな、と思いつつ読み進めれる。

でも、何か、私の中で感覚がかわった。

     ★

これら二作は、
明石に引っ越してから、新刊を購入して買って読んだ。
ということは、
大阪にいた頃から、地道に集めて読んでいるのだが、
なんだか、比較すると、
随分、平気ではいられなくなった。

なんていうのか……、
読後、そういう場面がものすごく尾をひくのだ。
ひいて、気持ちが濁る感じがする。

こういう刺激に、ますます過敏で、
ますます弱くなったと思った。

     ★

年齢というのもあるのかもしれない。
それも否めない。

子供って、それがどういうことなのか、
わからないまま受け入れたりするでしょ?
変にタフなところがあると思うんだよな。

だんだん、どういうことなのか、理解して、
「臆病」を覚えていくんだと思うんだけど。

大人のほうが、
表面上は子供より冷静さを保つ術を
身につけてるけど、
子供ほど、無感覚ではいられない気がするんだよな。

まぁ、個人差かもしれないけれど。

     ★

また、
昔、作家の宮本輝さんが、結核(?)で入院中の頃、
精神的にまいったのは、
TVからのニュースだったと、
ある雑誌で読んだことがある。

TVニュースで、
殺された人の血痕などが、
フィクションでもなんでもなくて、
平気でお茶の間に流れているということ
(宮本輝さんは病院のTVで流されているということになるんだけれど)。

そういう映像にめいって、
そういう映像に慣れているこの国の日常って……、
って思ったことがある、と言っていた。

まぁ、これは、ノンフィクションで、
多少、心構えの上で、
心理的に違いはあるのかもしれないけれど、

年齢だけでなく、環境が変われば、
感じ方も変わるんだってことで、
すごく印象に残ってて、覚えてるお話なんだけれど。

やっぱり、明石で穏やかに自分の世界で生きてるせいなのかな。
こういうの。

     ★

でも、だからといって、
そういう刺激に、
弱くなったからといって、
教育ママみたいに、眼鏡をキッっとつりあげて、

「そういう描写は教育上よろしくないざます!!」

なんて、声高に言うつもりは毛頭ない。

一番大切なのは、話のあらすじにそって、必要かどうか、
納得できれば、それでいい。
そういう姿勢は、
今まで通り変わることはないだろう。

だけど、
ちょっと怖いと感じた先入観だけで、
読めなくなった本が、多くなった気がする。
ストライクゾーンが、体質的に狭まったことは、
間違いない。

また、宮本輝さんと同じように、
ふと思う。

「衝撃映像!!……」とかで、
人がビルから落っこちる本物の映像とか、
様々に衝撃的なTV番組が、
平気で流れることに、違和感がなくなっているくらいの、
日常って、どうなんだろう。

タフになっているのではなく、
マヒしているんだよな、これって。

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