お茶でも飲みながら・・・

日常の中で感じた事、家族との事など書いてみたいと思います。

おばあちゃん、今度はやけどする

2010-07-23 08:18:55 | Weblog

11日の朝

また、おばあちゃんの台所から焦げ臭いにおいが

今日は何を焦がしたのかと階段を駆け下りてみると煙がもうもうと立ち込めて、床は一面水びたし

焼け焦げたエプロンとスカートが脱ぎ捨ててあって、でも、おばあちゃんの姿が見えない

一瞬にして”やばい”と感じておばあちゃんを探すと寝室で下着を着替えているところだった。

どうしたのかとあわてて聞くと、仏壇のローソクの火がエプロンに燃え移ってスカートも焦がしたという。

びっくりして水をかぶって火を消して、洋服を脱ぎ捨てたところへ私が来たようだった。

 

やけどをしたのではないかと見てみると、左太ももと左手の指4本をやけどしていた。

とりあえず氷で冷やしてもらって、その間に私は部屋の掃除をした。

床と絨毯に大きな焦げ跡ができていた

 

しばらく様子を見ていたが、やっぱり病院へ行った方がいいのではとおばあちゃんに言うが、痛くないし平気だと言う

それでも念のため診てもらおうと言っても私の言うことは聞いてくれないので、夫に言ってもらった。

おばあちゃんは私の言うことは聞かなくても息子である夫の言うことは割合素直に聞いてくれる

 

病院に行ってみると、おばあちゃんのやけどは3度の熱傷だった

やけどは1度から3度まであって、3度になるとあまり痛みを感じないそうだけど痛みのないやけどは危険なのだそう

経過を見ないとわからないが、「植皮」と言って別の場所の健康な皮膚を移植する手術が必要かもしれないと言われ、そんなに重症だったのかと私も驚いてしまった

 

それ以来、もう2週間近く毎日の病院通い

消毒してガーゼを交換するだけなのだけど、連日のこの猛暑の中の病院通いは辛い・・・

おばあちゃんは、たまに自分がなぜやけどしたのか忘れて理由を聞いてくる

痛みがないのがせめてもの救いかもしれない。

 

経過も良いので手術をしなくても済みそうなのも、もう一つの救いです。

 

 


大相撲中継

2010-07-08 16:19:37 | Weblog

今から15年以上前の5月14日のこと。

 

私は末期がんで入院中の父の病院にいた。

父の付き添いですっかり疲れていた母に休んでもらうため、私がその日一日父に付き添うことになっていた。

それまで、父のお見舞いをしなかったわけではなかった。

でもまだ小さくて手のかかる二人の息子たちを言い訳にして、というか実際大変な時期だったのだけど病院に行っても小一時間ほど病室で父と母と話をして帰る程度のお見舞いしかしていなかった。

だから父の本当の様子を知らなかった。

 

強い痛み止めを処方されていた父は、全く私の知っている父ではなかった。

もともと穏やかで優しかった父は、母や娘である私や妹に対して声を荒げるようなことは決してない人だったのにその日は朝から色々とわけのわからないことを言っては私を驚かせた。

何か私には見えない物が父には見えていたのか、病室の天井を見つめながら何かをつまんでは口に入れる仕草を延々と繰り返したり。

病室はずっと同じなのに、朝いた部屋へ戻してくれと言って聞かなかったり。

次から次へと意味不明の父の要求は続いて、それに応えられないと怒りだす父を相手に私は途方に暮れていた。

 

夕食が運ばれてくる頃になって父が「僕はもう食事はできなくて点滴なのだけど、冷たい食事は誰だって嫌だろう?だから点滴を温めてほしいんだ」と言い出した。

もうお手上げの私は看護士さんに頼んで話をしてもらった。

 

何とか落ち着いた父の横で、私は悲しくて疲れてただぼんやり座っていた。

その時ふいに聞きなれた穏やかな父の声がした。

「寺尾が勝ったねぇ」

その声に驚いてテレビを見ると、ちょうど寺尾関と若花田関の一番が終わったところだった。

その頃成長著しい若花田になかなか勝てなくなっていた寺尾が、その日久しぶりに勝ってくれたのが寺尾の大ファンだった父はとてもうれしかったのだと思う。

その時の父の笑顔と話し方は、いつも家の茶の間でお相撲を見ている時と同じ優しい父だった。

私は嬉しくなって「寺尾が勝ったんだね。良かったね」と父と喜んだ。

 

でもまたすぐに父は私のわからない世界にふらふらと迷い込んでいってしまったようだけど・・・

 

その翌朝、父は亡くなった。

 

でも最後に大好きな寺尾関の一番を見られて良かったと思う。

あの瞬間は自分の辛い体のことも何もかも忘れて喜んだと思う。

名古屋場所はテレビ中継をしないそうだが、いろんな状況の人がいろんなところできっとお相撲の中継を楽しみにしていたのではないかと思うと寂しい。

 

前途は多難かもしれないけど、お相撲さんたちにはどうか頑張ってほしいと思う。