11連敗から始まるファイターズ応援blog

日本ハムファイターズを応援しながら、野球ファンであることを考察する日記。日々の雑感も少々。

絶対おすすめの映画、「インビクタス」

2010-02-21 02:20:17 | 日々あれこれ
久しぶりに映画館へ。
クリント・イーストウッドの『インビクタス 負けざる者たち』を観てきました。
1995年、南アフリカで開催されたラグビーのワールドカップが舞台の物語。賢介もブログで「テレビでCMやっているラグビーの映画が見たい」と書いていたっけ。

映画はとてもよかった!
ここ数年映画館から足が遠のいていたのは、その年いちばん最初に観た映画がはずれで気をそがれてしまったのも理由なので、今年は一発目に『インビクタス』を選んで大正解でした。

ストーリーは、南アフリカ初の黒人大統領・ネルソン・マンデラが、白人のスポーツだったラグビーチームに自国の未来を託すというもの。
トゥルーストーリーだから、仕掛けは必要なし。黒人と白人との融和こそが南アフリカの未来を拓くという大統領の信念のもとSPを黒人と白人の混成チームにした事実、国の代表のラグビーチーム「スプリングボクス」が(ラグビー自体が)黒人に忌み嫌われてきた事実、そのチーム名やユニフォームを変える動きがあった事実、大統領の説得がそれをくつがえした事実が手際よく展開していきます。

ワールドカップを前に低迷するスプリングボクス。チームのキャプテン・フランソワが大統領の執務室に招かれ、そこから物語は目指すところに向かって動いていくのですが、事実を積み重ねて進行するストーリーのひとつの要素でありながら、すばらしく印象的なシーンがありました。
大統領との面会を終え、車で待っていた妻に「どんな用件だったの?」と聞かれ、「ワールドカップで優勝を望んでいるらしい」と放心したような表情でつぶやくフランソワ(マット・ディモン)。
映画でこういうシーンが観たかったんだ!
よどみない語り口で映画が進行する中で「あ!」と思わせられ、心に残るシーン。それを可能にするクリント・イーストウッドのたしかな演出力。

昨年末に観た、アメリカに住む娘と中国からやってきた父親を描いた映画。
佳作だとは思うのですが、いちばん印象に残ったのは、散歩中の父親が立ち止まり、青空を背に表情を下からクローズアップした映像。雲ひとつない青い空と老いた父との対比は、地理的にも世代的にも隔たりのある娘との関係を示すようで、たしかにいいシーンなのだけど、静的、写真的な映像だなぁと感じました。イメージにゆだねるシーン。
最近、そういう映画が多いような…3年前の年頭に観た映画もそうだったっけ。祖父のなきがら乗せた車が街を走り去り、道ばたで停車したバンと思い思いの場所に立つ家族を上からとらえた静止の映像。その映画でいちばん記憶に残ったシーン。閉じた世界に感じてしまいました。

映画は写真とは違うもので、主観にゆだねるシーンが際立つものは映画本来の魅力とは違うのではと思います。
ストーリー展開が軸の作品は職人的、作家性が低いといわれがちだけど、映画ってそういうものだと思う。たくさんのスタッフの職人仕事と俳優の演技をコントロールして映像という形にする、映像とストーリーを連動させる流れ、動きの中で監督の作家性が現れる。

動きが第一義であることは、スポーツも同様。たとえば、野球は動きが止まっている時間が長いスポーツだけど、プレーの静止やイニング間のインターバルは動の前後として存在する。選手の動きの一瞬をとらえたすばらしい写真はあっても、投手の手からボールが動き、バットが軌道を描き、打球が飛んでいき、ボールを追う選手とベースに向かって走る選手、その一連の動きこそが野球。
そして、観客の熱気も含めてスタジアムは常に動的な空間。

昨日のオリンピック・男子フィギュアを見ていてもそう感じました。技術を競うスポーツ、採点競技である以上難易度の高い技に挑戦するのだけど、ジャンプならジャンプ自体のすごさ、形の美しさはもちろんあっても、ジャンプを成功させることでつくる美しい流れ、失敗した場合はいかに流れをよどませないかがプログラムの要なのではと思いました。
4回転ジャンプで転倒してもわずかな途切れにとどまらせ、リンクいっぱいに広がる美しい演技の流れを見せてくれた高橋選手はすばらしかった。
それにしてもフィギュア、採点競技というものはとても過酷だと思います。高度な技は、仕掛けのないマジックをスケーターが身ひとつで証明しているようで、見ているだけで息が苦しくなってしまう。

『インビクタス』にもどると、ネルソン・マンデラが面会を求めたのがチームのキャプテンなのもよかった。これは監督がゲーム中に立ち入らないラクビーだからで、野球やサッカーなら監督に面会することになったでしょう。それでは良くて激励、悪くすると命令に傾いてしまう。
フィールドで戦うプレーヤー、実際にゲームを動かすキャプテンだからこそ、大統領は勝利への期待を胸に面会し、フランソワはその想いを察した。長い刑務所生活で戦い、大統領に就任しても戦い続けるネルソン・マンデラだから。フィールドは違っても同じ戦うもの同士。1995年に南アフリカで開催されたワールドカップがラグビーだったのは、偶然ではないような気がします。

白人のSPが「サッカーは荒くれ者がする紳士のスポーツ、ラグビーは紳士がする荒くれ者のスポーツ」といい、黒人のSPが「その言葉は好きではない」と返すシーン。
南アフリカでは白人はラグビー、黒人はサッカー。イギリスでは紳士はラグビー、労働者はサッカー。プレーが激しいのはなんといってもラグビーで、そういう荒いスポーツは紳士だからこなせる、制御できるということなのでしょうか。そういえばボクシングも、もともとはイギリスの上流階級のスポーツだったそうですが。私もこの言葉は好きじゃない。

白人のスポーツだったラグビーを黒人に広めようと、黒人の居住地へ向かうスプリングボクス。粗末な家が建ち並ぶ中をバスが走り、黒土がむきだしの広場に選手たちが降り立つと、チームでただひとりの黒人選手・チェスターの名前を口々に叫びながら、子どもたちが駆け寄ってくる。押しくらまんじゅうのように子どもたちに囲まれたチェスターの笑顔が白人選手たちにも広がり、ラグビーボールを初めて手にし、笑顔の子どもたちのシーンへとつながっていく。

そして、南アフリカでワールドカップが開幕する。
勝利への夢、国民がひとつになる願いをこめて。

『インビクタス』は映画が好きな人、スポーツが好きな人に絶対おすすめの映画です。
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★★★★★娯楽作品と言う程にはくだけていないものの、社会派ドラマの割にはユーモアもあり、手に汗握るスポ根ものとしても見ごたえあり。 鑑賞後がさわやかなお薦め作品である。