「私がどれほどつらいか」ALS女性、苦悩のSNS 難病患者につづった孤独や苦しみ

2020年07月31日 | 病気 余命を考える 死を迎える準備
「私がどれほどつらいか」ALS女性、苦悩のSNS 難病患者につづった孤独や苦しみ

7/29(水) 9:46配信
西日本新聞

「話したいことはたくさんあるのに」。思いが伝えられないもどかしさがにじむ(写真の一部を加工しています)

 ≪私がどれほどつらくて悔しいかを聞いてほしいの! でもやっぱり患者にしか分からない。みんな自分のことで忙しいし≫-。

ツイッターで容疑者が林優里さんに持ち掛けた文面

 自ら依頼し、医師2人に薬物を投与され亡くなったとされる筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の林優里さん=当時(51)。北部九州に住む神経難病のマイさん(29)=仮名=は林さんとみられる女性と会員制交流サイト(SNS)上でメッセージのやりとりを重ねていた。つづられた言葉からは、孤独や病のつらさを周囲に理解してもらえない苦しみが浮かび上がる。

 マイさん自身も難病により不自由な体で、医師が処方した致死薬を患者が自ら使う「自殺ほう助」が認められるスイスでの安楽死を望んでいる。交流のきっかけは、死のあり方を自ら選択する権利に関して書き込んだ林さんのものとみられるツイート。これを読んだマイさんが2019年5月、第三者から見えないダイレクトメッセージを送った。
「根底にあるものは同じ孤独です」

 それ以来、メッセージを通じて思いを語り合ってきた。マイさんが孤独を打ち明けると≪根底にあるものは同じ孤独です≫と返信があり、こう続いた。≪「なんであんたたちそんな楽しそうなの!? 人がこんなにつらいのに!」。ほとんどの人は諦めてますが、友人たちにはしつこく訴えてしまいます≫

 林さんは、センサーが目の動きを感知する「視線入力」を使っていたとされる。具合が悪い中、苦労しながらメッセージを送っていたようだ。≪耳が痛くてかけません。話したいことはたくさんあるのに≫。思いを伝えられないもどかしさがにじんでいた。

 お互いに自分自身の安楽死を望みながらも、相手には生きていてほしいと願うような複雑な感情も吐露した。マイさんが「自分のことは棚に上げて 生きていてほしいとつらさを強要するように願ってしまう自分が憎いです」と送ると≪(マイさんの)スイス行きの準備が整うのを複雑に思ってしまいます≫と返ってきた。
父親らに遺言書を残すことについても相談

 林さんが亡くなったのは11月。その前に、スイスの自殺ほう助団体を利用する場合にかかる費用について尋ねられたという。マイさんは「約110万円」と回答。それが、林さんが自ら金額を提示して振り込んだとされる130万円の根拠になったのではないかと推測している。

 父親らに遺言書を残すことについても相談を受けていた。≪文頭には私がどれほど死を望んでいるかが書かれていて、まずそれを理解してほしいと書いています≫。海での散骨を望む彼女のため、マイさんは業者を探す手伝いをした。11月中旬、感謝のメッセージを最後に連絡は途絶えた。

 マイさんは「SNSで知り合った私に頼らなければならないほど、周囲に相談できる人がいなかったのかもしれない」と語り、自身が抱える思いと重ねるように言葉を継いだ。「日常的にすごく孤独や疎外感を感じていたのだろう」 (斉藤幸奈)


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