大衆文化評論家指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です。多くのジャンルをさすらいます。

和田嘉訓について

2009年07月27日 | 映画
1960年代中頃、日本の映画監督で大変期待された新人の一人が、東宝の和田嘉訓だった。
だが、1964年のデビュー作『自動車泥棒』は、不評で数年間干された後、ドリフターズ映画を数本作って東宝を退社し、ソニーに行ってしまう。
『自動車泥棒』は、なかなか上映されない作品で、今回はじめてみた。
結果は、たしかにひどい。ほとんど論外の作品だった。
シナリオがひどい。

横浜の混血児の施設の連中が、車の部品を盗んで車を作ってしまう話だが、混血児の一人真理アンヌから言われるように、1台車を盗んだ方が早く、第一バラバラの部品を集めても上手く組み立てられるのか、きわめて疑問。
途中で、「ウエスト・サイド物語」のように変な踊りをするのも笑えるだけ。
第一、和田らが抱く、黒人イコール、ダンス、肉体表現、アフリカという図式は本当に浅墓で、困ったものである。ほとんど人種差別思想である。
最後、パート・カラーでアフリカらしき映像が出るが、全く分かっていない。
オバマ大統領が出た今日を想像できなかったのは、仕方ないが。

ホームのある場所は、多分横浜の新山下にあったヨコハマ・ベイサイド・コートだと思う。1970年代まで、そこにはアメリカ式フラット型の住居があった。
この愚作に唯一の価値があるとすれば、今はないベイサイド・コートの映像だけである。
それに勿論、武満徹の音楽が素晴らしい。
ここでは、ジャズではなく、ラテン的、アフリカ的なのは、さすが武満。
安岡力也が主演だが、彼はイタリア系で、黒人ではないので、黒塗りで出ている。
和田は、脚本、構成は弱いが、映像的には結構良いものを持っていたので、ドリフターズ等の娯楽映画に移行したのは、賢明だったのかもしれない。
要は、中身の薄い監督なのだ。東大出の秀才だったかもしれないが、思想的に無内容なのだ。

併映は、全く期待していなかった伴淳三郎主演の『噛み付かれた顔役』。
北条秀司原作なので、出てくる連中が皆一癖ある悪い奴で、最後は大ドンデン返しで大変面白かった。
佐田啓二と九條映子が出来ていて、一番悪いとは気が付かなかった。
佐田は、こういう悪人をやりたかったのだろう。後に、遺作となる豊田四郎監督、京マチ子主演の『甘い汗』でも、ヤクザの悪人を演じている。
撮影が山形で、伴淳三郎のご当地映画である。
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2 コメント

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Unknown (Unknown)
2012-07-27 21:30:02
即刻このスレを消去しなさい。
故人となった和田に対してあまりに失礼である。
死んだの? (さすらい日乗)
2012-07-28 07:34:25
数年前に、あるイベントに出てきたと聞きましたが。

特に失礼とは思えません。
公平に評価したつもりです。

表現をしたものは、いかに批評されようが、それを甘受するのが作家というものだと思います。

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