指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

『家族』を見た翌日に、宮崎晃の訃報が出ていた

2018年11月27日 | 映画

昨日の午後は、、用があって外に出られずNHK BSで『家族』を見る。結構名画座等でやって見たので、3回目だと思う。

私は、山田洋次映画はあまり好きではないが、この1970年の作品は、長崎の炭鉱の小島から北海道の中標津に移住する井川比佐志・倍賞千恵子一家を描くもの。途中は大阪万博も出てくる。

最後、やっとのことで牧場に着き、しかしすぐに死んでしまう祖父が笠智衆。

               

2025年に大阪でやることになった万国博覧会だが、1970年のは国民的な大イベントで、映画界でも市川崑や松本俊夫ら多くの監督が映像展示に参加した割には、これを取り入れた作品はほとんどなく、その意味でも貴重な作品である。

長崎の伊王島から北海道の中士別に行くロード・ムービーだが、山田洋次と松竹のお力で、多くの俳優が出ていて、豪華である。

まず、島で金貸しをやっているスケベな親父で、花沢徳衛。福山にいる次男が前田吟。

上野駅では、ハナ肇と植木等以外のクレイジー・キャッツ(植木は、東宝とナベプロの契約で東宝以外には出ない)、上野の旅館の親父で森川信、青函連絡船の船中には渥美清と、この二人は本当に面白いね。

北海道の列車の中で春川ますみ、そして中標津の牧場では塚本信夫。

全体にドキュメンタリー的で、山田洋次の演出のやりすぎがないので平静に見ることができるが、これは脚本の宮崎晃の力のように思う。

今日の新聞を見ると宮崎の訃報が出ていた。84歳。

松竹で結構ユニークな作品を作っていた作家のご冥福をお祈りする。



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