狸便乱亭ノート

抽刀断水水更流 挙杯消愁愁更愁
          (李白)

クエーカーの真義 シドニー・ルーカス編:入江勇起男訳から

2006-10-14 21:40:37 | 本・読書

この本の奥付を見ると。
昭和27年11月5日 第1刷発行
昭和32年8月20日第2刷発行

発行所東京都港区句芝三田台町1丁目14
  日本基督友会となっている。

       序
最近、フレンズ・サーヴィス・コンミッチー(基督友会奉仕団)の名はしきりに喧伝され、現にノーベル平和賞の受領者として周く世間に知られてきた。それが世界全体に亘り、博愛救済、平和人道のために目覚しい働きをして居る事は人の認める所であるが、案外、その大きな働きの源泉に、人数こそ少ないが、堅信敬虔の基督
教徒の一団があって、その名をフレンズ(基督友会)もしくはクエーカーと称し、その静かな然し力強い信仰生活から、おのずと得秋で出でて右様の結果を生んだことはを知らない人が多い。

基督友会は他の宗教のように固定した教義郷里を持って居ない。極端と言ってよいように良心の自由を重んずる。神よりの光に照らされた各自の心奥に潜む内なる光は絶えず神の啓示を受けて明らかなるを得るのである。もとより、人間の内にあるものは、光ばかりでなく、暗黒もある。ポーロの言うた如く、わがうちにある悪によって、願うところの善を為し得ない。かえって願わざる所の悪をなす、これが人性の常である。それだけに、わが内を潔めて、正しい内心の光をた絶やさぬためには、並々ならぬ信仰による救いが要請される。内なる光に歩まんとするフレンズの立場は、外見の如く決して簡単ではあり得ない。不断の精進、それは何によって達成を期し得られようか。

 本書「クエーカーの真義」は、以上の要望に対して正しい解決を与えてくれる手引書である。基督友会には特に教義はない。然し先覚フォックス以来、300年の歴史に跨って、幾多の優れた友会員が、あるいは個人的に、あるいは年会をを通して、教友に啓示した尊い言葉がある。著者シドニー・ルーカス氏が十分これを咀嚼して自己の血肉とした上に、自己の思想として融合大成せしめたものを、平易明快の辞を以って吾等に紹介したん\物がこの書である。道を求める人として謙虚な態度を執ること著者の如きはなく、又、信仰を語るものとしておのずから具わる権威を感ぜしむること著者の如きは少ない。