狸便乱亭ノート

抽刀断水水更流 挙杯消愁愁更愁
          (李白)

桜散る夏

2006-04-10 21:29:53 | 反戦基地

一昨年、あるいは一咋々年だったかもしれない。 T市公民館大ホールで、市内にある「T・A学院」による、
「桜散る夏」という演劇があった。

太平洋戦争末期も特別攻撃隊を控えた海軍飛行予備学生の心理模様を描いた作品である。 

 この演劇の為予備学生を演じる青年俳優等を、当時の「丸刈り」に髪を刈り込む「断髪式」を行ったという。

>演劇はT海軍航空隊を中心舞台に、短期間の訓練で戦地に送られた飛行予備学生の出撃に至る心の葛藤や、祖国や家族を思う心情、恋人への思いを描く。実際の飛行予備学生らの手記を集大成した「帰らざる青春の手記『あゝ同期の桜』」を原作として、演出家の桑田由明さんが書き下ろした。

断髪式に臨んだ五人はバリカンで丸刈りにし、上演日に向けて、仕上げの稽古にも熱が帯びてきた様子。

主役の佐伯孝夫役を務める坂本卓也さんは「高校時代、野球部で丸刈りだったので懐かしい感じ。当時の青年兵が本当に国のためにと思い出撃したのか、分からない部分もあるが、自分なりに演じ上げてみたい」、
大塚三郎役の高橋幸生さんは「さっぱりした。当時の精神の純粋さに感銘している」と、それぞれに思いを込めて演じる決意を語った。>

久しぶりに見る演劇だった。戦争を全く知らない青年たちが演ずる海軍予備学生、教員役、帝国海軍士官、勿論出演者も演出者も戦争は知らない年代の筈であるから、各所に時代考証的に見れば、史実と違う事は指摘できるが、そこまで注文しては、演劇として予備学生を演じるには無理があるだろう。しかし心に残る演劇だった。

この「桜散る夏」公演の為、断髪式まで行ったという情熱にも感激した。も一度でも、二度でもいい。再び見てみたい演劇である。