狸便乱亭ノート

抽刀断水水更流 挙杯消愁愁更愁
          (李白)

中陰の花

2005-12-13 20:33:52 | 日録

妻が某大學病院に入院した。かかりつけだった町医院のG先生が「右肩が重い」という彼女の訴えで
「脳梗塞の疑いあり」と、大学病院を紹介してくれたのである。しかも紹介状の宛先が、その筋の専門家某教授宛であった。土曜日であった。

 月曜日を待ち、妻は早朝医大病院に急行、早速「MRI 磁気共鳴影像法 magnetic resonance imaging」という機械で脳内を隈なく撮影された。

即刻、入院を宣告された。家に帰る一刻を争うかもしれない、と脅迫めいた宣告だった。
 それが、結果的には正解だったのだけれど、1週間後の「MRI」検査の結果、「異常なし」あす退院OKとなったのである。
 
 病室には、有料カードによるテレビもあるのだけれど、テレビを殆んど視ないわが家庭で、40有数余年飼いならされた彼女には、全く不必要の存材だった。
妻の愛読作家は玄侑宗久(玄侑宗久)
で、朝日新聞のPR誌「暮らしの風」や立正佼成会のPR誌(悪いけど捨ててしまって表題忘却)で、欠かさず読んでいた。

オレはまだこの芥川賞作家の著作本を1冊も買った覚えがない。「暮らしの風」を探していたら、オレの書棚にブックカバーをした1冊があった。

今の本屋は、必ずといってよいほど購う客に対して、「カバーをお掛けしますか?」と訊ねる。エロ本ならともかく、小生は要らないといつも断わっている。
だからある筈がないので、その本のカバーを剥がしてみたら、玄侑宗久の「中陰の花」(中陰)であった。妻が買ったに相違ないと思った。

 内容は読んでいなかったので、どんな内容だったか知らずに、早速妻に置いてきた。

しかし、この本は娘を通じて「即日帰郷」となったのであった。(即日帰郷余聞)