狸便乱亭ノート

抽刀断水水更流 挙杯消愁愁更愁
          (李白)

自衛隊イラク派遣期間延長に思う

2005-12-09 11:59:55 | 日録
 
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(株発注ミス)
大きな見出しに下に、イラク派遣延決定 政府 首相「早期撤退望ましい」という記事があった。

派遣期間延長は2回目で、その基本計画の骨子の解説が載っていた。
(1)政治プロセスの進展状況
(2)治安状況
(3)英豪軍をはじめ多国籍軍の活動状況と構成の変化
(4)復興の進展状況――の4項目を挙げた。

 基本計画で、陸自が活動するイラク南部の治安維持を担当する英豪軍の活動に具体的に言及するのは初めてという。派遣期間内でも、自衛隊の撤退の是非について「適切に対応する」と明記したそうだ。

この記事に関連して、派遣隊員の「期間後ストレス」という小さな記事が、紙面ページの後ろのほうの「第2社会面」に載っているのに気がついた。

《東北地方の駐屯地で昨年、ある幹部はイラクから戻った複数の部下から、職場にうまく復帰できないという悩みを打ち明けられた。疲労と緊張が重なり無口になったり、眠れなくなったりした隊員は少なくない。》

しかし、今まで2回も延長が決まっても、なお全くその「出口の戦略」が見つかっていないというのに、派遣隊員の現況や、その家族たちの声は一向に伝わってこない。緘口令や、報道規制があるのだろうか。

ここで思い出されるのは、派遣が決まった2004年ごろの新聞記事である。

《「イラク派遣陸自隊員に希望調査 第2師団、記名式で8月に『行きたくない』の項目なし」

イラクに派遣される陸上自衛隊の中心部隊になる第2師団(北海道旭川市)の隊員に対して、派遣に関する希望調査が8月に行われていた事が12月12日に分かった。調査は派遣要員を選ぶ参考にしたと見られる。

全部で4つの選択肢があるが、「行きたくない」の項目はなかった。隊員の中には「『行きたくない』とは言いづらい」との声も出ている。

陸自幹部によると、アンケートは第2師団の全隊員や6千人を対象に記名式で実施したという。

質問は、「イラク復興支援法に基づき、イラクに派遣される可能性があります。家族と話し合って、率直な意見をお願いいたします」などとする内容。回答の選択肢は
「熱望する」
「希望する」
「命令があれば行く」
「その他」。

約半数が「熱望」。約3割が「希望」。2割が「命令があれば行く」と答えたという。》

僕はこの種の調査について、思い当たることがいくつかある。さまざまな太平洋戦争当時の回想録があるが、同じような記録を読んだ記憶があるからである。
身近な本に次のような記述があった。

《…8月末ごろ、講堂に搭乗員総集合の号令がかかり、新司令から、新兵器のテストパイロット、特攻要員の希望者募集についての趣旨説明があった。

「戦局は重大な時期を迎え、海軍は必中の新兵器を開発している。この兵器は1発1艦轟沈できるが、搭乗員は必ず死ななければならない。決死隊でなく必死隊である。」

「この兵器に搭乗する者は、構造上戦闘機乗りが最も適任であり、テストパイロットとして当隊より准士官1名、下士官1名を選出するような命令が出た。
国のため1身を捧げても良いと思う人は申し出るように。今から用紙を配る。
『熱望』『望』『否』の何れかを記入してもらいたい。」(中略)

…私室に入ってからも考えた。テストパイロットというが、操縦試験の後はどうなるのか。落下傘で脱出するのか。特別の着陸装置がついているのか。若い士官は問題外だし、隊長級を選ぶわけはない。

初めから白羽の矢は私に立てられているような気がした。
「否」以外を記入すれば選ばれる確率は百%と覚悟しなければならないが、張り切っていた搭乗員たちのことを考えると躊躇しているわけにはいかない。
夕食後、思い切って「熱望」と記入して提出した。》(等身大の予科練=常陽新聞社刊、K.K氏五期) 

 特攻隊員と自衛隊イラク派遣とを同一視するのは誤りであろうけれど、陸自のアンケートが、これに非常に、似通っているのが気になった。