中田人材経営サロン

元ソニー人事部長であり、青山学院大学客員教授の中田研一郎より、企業の視点と個人の視点で「キャリア」「生き方」を語ります。

中国訪問記Part.1

2007-03-12 23:19:37 | 中国
先週中国の広州市と北京を訪問してきました。
広州市は広東省の中心都市で昨年の経済成長は
14%と驚異的な伸びを示しており、
所得水準も中国のトップレベルのことです。

従来から家電や自動車産業が盛んで中国の輸出の半分近くは、
広東省を中心とする華南経済圏からであるといわれています。
対米輸出があまりにも増大したため、米国からの批判を避けるため
内需型経済に切り替える動きも出てきています。

その代表例が自動車産業で昨年は日本の500万台の自動車販売台数を
一気に抜いて700万台の国内マーケットに成長しました。
かねてより進出していた日産、ホンダに加えてトヨタが
エンジン製造を含めて昨年より組み立ての全工程を現地化する動きを
本格化したため、いま広州地区はデトロイトを抜いて
世界一の自動車製造基地に成長しつつあります。



そんな急速な経済成長の中で、やはり優秀な人材を確保することが
今や大きな課題となっています。春節で故郷に帰った工場のワーカーが
そのまま辞めてしまい、製造ラインがストップするというようなことが
あちこちで起こっています。工場の立ち上げで多くの日本人が赴任していますが、
日本人のコストが高いため人材の現地化が急務となっています。



そのような人手不足がある一方で、大学生は大変な就職難に直面しています。
全国の大学卒業数は00年の107万人から今年の卒業予定者数495万人と
7年で4倍以上に膨らんでいます。そのため、今年の卒業予定者のうち
少なくとも30%以上の150万人が就職できないといわれています。
中国では日本の90年代のように産業が沈滞して
就職難になっているわけではなく、あまりにも急速な大学生の
供給過剰によって就職難が生じているということです。

日本ではこの春の就職戦線はバブル期のように倍増あるいは
3倍増の採用を予定しているところがあるようですが、
企業の業績回復と少子化による大学生の供給不足が同時に起こったために
生じた現象です。これらの新卒学生の需給のインバランスは
いずれも深刻な問題ですが、人材が不足している日本と
人材が余っている中国を比べると、中長期的には日本のほうがはるかに
深刻といわざるをえません。

ーー続くーー

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