中田人材経営サロン

元ソニー人事部長であり、青山学院大学客員教授の中田研一郎より、企業の視点と個人の視点で「キャリア」「生き方」を語ります。

東アジアに水平的な横ぐし機能のプラットホーム形成の重要性

2008-03-24 20:34:43 | パブリシティー
ソニーに在職当時、パンアジア人材の活用をスローガンに約3年
その方針を貫いてきた。
その採用活動を支えるためにプラットホームを作ろうと考えた。
一般論として海外のオペレーションは独立した子会社を設立するため、
中国や韓国それぞれで独自に行われる。
しかし人材育成を考える場合、ビジネスの垂直的なオペレーションだけではなく、
やはり横ぐし機能が必要である。
そこで東アジアを一つのリージョンととらえ、水平的な横ぐし機能の
プラットホームの形成に腐心した。具体的にソウル、北京、上海、台湾、香港を
ワンプラットホームにする構想の下に、東アジア人時戦略を司る組織を作った。

中国は世界市場の中で唯一、コンスタントにどのビジネスセクターも伸びている。
日本は、人口縮小、マーケット縮小によって何もしなければ縮小均衡になってしまう。
したがって、経営戦略として中国マーケットを日本国内マーケットと同じように
重視せざるを得ない。
そういう背景の中、いかに人材面での戦略と組み合わせるかが、
大きな問題であった。

人事オペレーションに一定の整合性を持たせなければならない。
中国も韓国もそれぞれ勝手に勧めるのではなく、東アジア全体として人材を循環、
還流させるという観点の戦略が必要と考え、それがプラットホーム作成に
つながったのである。

人的リソースの再編を加速する狙いで中国、韓国、日本をプラットホーム上に置き、
横ぐし機能を駆使してみた。中国人は見事に融和した。
韓国人も全く問題がない。しかしインド人は日本で採用すると、
現場に溶け込むのは課題が多くあり、解決策を容易に見出せなかった。

ソニーの中国人の契約社員の年収は日本人の正規社員と同等である。
法律上、国籍で給与を差別することが許されないことは当然であるが、
もし、それらのことで揉めると、そういう情報はすぐにインターネットで
中国に伝わる。

彼らのコミュニケーションネットワークはすごい。
彼らは給料日には全部給料袋を開けて見せ合う。だから一切隠せない。

9.11事件以降、外国人に対するアメリカのビザの発給は非常に厳しくなった。
アメリカに行きたくても行けない。
日本だったらビザは取れる。
中曽根内閣の10万人留学プロジェクト以来大勢やって来る。

チャイナHRドットコムの04年アンケートによる、「中国で人気の高い雇用主」は
第1位がハイアールで、以下は給料が圧倒的に高い外資企業ばかりである。
特にIBMは学生の間で圧倒的な人気がある。
日系企業で当時人気企業はソニーだったが、やがてサムスンに抜かれた。

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次回は「日本的経営の単純な移植をやめて、ローカライズした人事制度に」です。

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