褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 ジャスティス(1979) 悩める弁護士が見れます

2020年06月19日 | 映画(さ行)
 ハリウッド映画というのは本当に法廷映画の分野において傑作が多いが、今回紹介する映画ジャスティスもその例に漏れない。ちなみにジャスティスとは正義という意味。しかしながら、正義の意味をマトモに理解している人間は俺も含めて殆ど居ないし、人によって考える正義というのは違うのかもしれない。
 さて、アル・パチーノ演じる主人公である弁護士の最初の登場シーンが非常に面白い。いきなり刑務所に投獄されている惨めな姿が見られる。それにしても、なぜ弁護士ともあろう人間が刑務所に入っているのか。そこには憧れの職業である弁護士の姿はまるでない。法廷映画ならではのサスペンスやスリルは二の次。そんなことよりも真っ当な弁護士が何かと悪戦苦闘する姿を通して、司法制度の限界、法の矛盾が描かれている。法治主義の下に生きる我々にとって、なかなか考えさせられる内容だ。
 
 それでは弁護士という職業がいかに大変な仕事であるかが理解できるストーリーの紹介を
 アメリカのボルチモアが舞台。刑務所に若い弁護士であるアーサー(アル・パチーノ)が拘留されていた。普段からそりが合わずに対立していたフレミング判事(ジョン・フォーサイス)を裁判中に殴ってしまったのだ。優秀で何かと正義漢の熱い彼のもとには、拘留所を出た後でも直ぐに仕事が舞い込み、継続中の仕事も重なり何かと忙しい。
 ある日のこと、フレミング判事が強姦罪で告訴される。普段から彼を嫌っているアーサーと同僚たちはザマ~見ろとばかりに笑いこけ、そして彼は有罪だと揶揄するのだが、あろうことにフレミング判事はアーサーに弁護を頼み出てきた。当初は弁護を断っていたのだが・・・

 無罪の証拠があるのに未だに刑務所から脱してやれない苦しみ、仲間の怠慢でせいで依頼人が自殺してしまったり、大嫌いな人間なのに弁護を引き受けさせられたりで次々と悩ましい問題が主人公に襲い掛かる。しかも、自殺願望を持っている判事、精神がすっかりおかしくなってしまった弁護士、デタラメな裁判など彼を取り巻く法曹界の人間のダメっぷり、そして正当に裁くことができない法の矛盾等がマトモな弁護士である主人公を苦しめる。
 弁護士になりたいと思っている人に、まずは本作を観ろと言いたい。それからでも難関な司法試験を受けても遅くない。だいたい公職選挙法に違反している奴が法務大臣になってしまう今日この頃。ロクでもない奴が権力を握ってしまうのだから、憧れの職業に就いてもその後は色々なジレンマに悩まされるだろう。
 個性的な登場人物達は楽しいし、使用されている音楽は格好良いし、社会派作品にありがちな退屈さはない。そして所詮は人間が作り上げた法律、制度に完璧なものなどあり得ないことを気づかせてくれる内容が良い。何はともあれアル・パチーノが好きだけれど本作は未見の人、法曹界の現実を知りたい人、弁護士になりたがっている人、正義という言葉が大好きな人・・・等に今回はジャスティスをお勧め映画に挙げておこう

 監督はノーマン・ジュイソン。人種差別をテーマに描いた映画を時々見受けるが、エンタメ性に優れた作品も多い。白人署長と黒人刑事が対立しながらも殺人事件捜査に協力しあう夜の大捜査線、ポーカー試合を舞台にしたギャンブル映画シンシナティ・キッド、大人の気分が味わえるサスペンス映画華麗なる賭け、ロマンチックコメディの月の輝く夜に、実話を基に冤罪で刑務所に入れられてしまった黒人ボクサーが自由を勝ち取るまでの姿を描いたザ・ハリケーン等、お勧め多数の名監督です。

 

 
 

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