猫じじいのブログ

子どもたちや若者や弱者のために役立てばと、人権、思想、宗教、政治、教育、科学、精神医学について、自分の考えを述べます。

昔、消費者は王様です、という時代があった

2021-05-23 06:28:34 | 思い出

私が子供だったときに、新聞に「消費者は王様です」というキャッチコピーがのった。これは、当時の人気演歌歌手、三波春夫の口ぐせ「お客様は神様です」のパロディーであるが、日本の高度経済成長期の風潮をよく表現していると思う。

私の母は、この新聞広告をもとに、「時代は変わった、お金は使って何ぼのもの、稼げ、稼げ」と父を責めていた。父は、「上を見たらきりがない」とぼやくだけだった。

私の母が欲しかったものは、電気洗濯機、冷蔵庫、電気釜、電気掃除機である。私の実家には、雪国なのに、湯沸かし器もなかった。もちろん、テレビもなかった。

60年前の日本は、物が欲しいという欲望をあおって、人を働かせ、物を売り、企業は大きくなった。これを高度経済成長期という。

母の言い分もわかるが、物のために母が父を責めたてていたことで、人間の欲望や経済成長を素直に肯定できない私になっている。欲望のために人と争うことを私は肯定できない。

これからは、「平等」「愛」ということも考える時代だ、と思う。

小野善康は、『成熟社会の経済学』(岩波新書)のなかで、物が絶対的にない時代の日本と、現在の成熟社会の日本とは違うという。現在のデフレは、物が余っていることだから、必要な人に物が行き渡るようにすれば、不況が解決すると言っていた。

高度経済成長期には、人間の欲望を活力の源として、社会の生産設備を拡大してきたが、その結果、現在、物が売れないという皮肉なことが起きている。これからは、経済的成果の分配の平等化で、生産したものが無駄に捨てられるのを防ぐ時代である。

消費税をやめて累進課税を強化するのも手である。それだけでなく、賃金を上げろと声をださないといけない。給与所得者の年収は明らかに低いのだ。

この40年間、「働くものが王様だ」とする闘う労働組合がつぶれ、「労使協調路線」のもとに企業に管理された労働組合が増えた。総評から連合に変わった。さらに、いまは、労働組合自体が、あたかも悪であるかのように新聞にたたかれる。貧しいのは本人が悪い、自己責任だ、と叩くばかりの自民党が国会の過半数を握っている。

こんなことではいけない。参院選で、自民党を過半数割れに追い込まないといけない。

[参考図書]小野善康:『成熟社会の経済学 ―― 長期不況をどう克服するか ―― 』岩波新書 1348 ISBN978-4-00-431348-9  2012年


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