好文亭の襖絵は1955~58年の復元事業をきっかけに、
東京芸術大の須田教官と田中青坪氏が手掛け1969年に完成した。
その後、約50年経ち顔料が浮いたり剝がれと劣化が目立ってきた。
今回は塗り直さずに汚れを落として顔料を定着させる修復である。
全96面が対象で完成予定は2018年末で、約4600万円要するようだ。
現在、躑躅の間、紅葉の間などの12面を作業中だ。
接着力が弱くなり、顔料が浮き上がったりした部分を膠の
水溶液で接着させる剥落止めと、新たな裏打ちを施すため、
絵が描かれた本紙の取り外しが公開された。
一枚が高さ約170cm、幅84cmで状態確認からクリーニング、
本紙の取り外しまでで一週間かかるという地道な作業のようだ。
絵画の保存・修復が専門で、事業の監修を務める東京芸術大大学院の
荒井経准教授は「50年先まで持たせるようにしたい」と強調している。