golf130のクラシックお笑い原理主義

オッサンのしがない日常や妄想話とその日聴いた音楽。

ポンセ「フォリア変奏曲」

2008-02-28 07:14:57 | Weblog
近代メキシコのマヌエル・ポンセ(1882~1948)、マイナーな存在だが好きな作曲家です。一般的には、ヴァイオリンなどでも演奏される「エストレリータ」が知られている位でしょうか。ギター曲の数々をご存じの方もいらっしゃるでしょう。

ギターオリジナル曲が少なく編曲物に依存することも多いのを嘆いたセゴビアが色々な作曲家に新曲を依頼。ギタリストとして偉大なのは勿論、(結果として)編曲物比率を下げた功績で《クラシック原理主義大賞》を受賞!(そんな賞あんのか?)。特にポンセとは相性良かった様で、2人のコラボレーションで多数の素晴らしい作品が生み出されています。

ポンセはカメレオンの様な作曲家。バロックの作曲家を騙った曲(セゴビアが新発見した曲として発表=2人の悪戯)、シューベルトや古典派のギタリスト・作曲家であるソル風の曲、メキシコ民謡をベースとした曲など多彩な作品を書いています。

この中で、ポンセ自身の語法による作品群が、やはり一番力のこもったものでしょう。「フォリアの主題による変奏曲とフーガ」もこの代表曲です。

セゴビアから「フォリアを主題とした、バッハのシャコンヌの様な曲を書いて欲しい」と依頼され、それに応えた結果です。
20数分と、ギター曲としては大作です。コレルリ、マレ、ヴィヴァルディ、バッハ…多くの作曲家が触発されたラ・フォリアの旋律を主題に、ギターの各種技法を駆使した変奏が続き、フーガで締め括られます。ラテン系らしからぬ、ほの暗い音調の中に静かな情熱を秘めたポンセの本領が発揮されています。シャコンヌとまでは行かなくても、なかなかの作品です。ただ何かもう一捻りというか、ちょっとプラスアルファがあれば、真の傑作になったのに、という感もあります。フーガの部分がちょっと弱いのかな?

ジョン・ウィリアムスの演奏で聴いています。高度で安定したテクニックと清潔な音楽性で現代最高のギタリストの一人です。

ところで、同じくセゴビアの弟子で並び称されることも多いジュリアン・ブリームは、「ブリーム」とだけ記載されることも多いのに、彼はいつも「ジョン・ウィリアムス」と書かれている気がします。
「ミスターS」ことスタ二スワフ・スクロヴァチェフスキーなどは、めったにフルネームでは書いて貰えない(笑)というのに、恵まれていますね。