今年の7月から完全開始されたレジ袋の有料化について一言。私自身はこの制度にはいささか疑問を感じている。そもそもレジ袋の有料化とは、全世界で問題になっているプラスチックごみの削減対策である。つまりスーパーやコンビニで使っているレジ袋を有料化すれば、プラごみが削減され、「海洋プラスチックごみ問題と地球温暖化問題」に貢献するだろうという単純な発想から法制化された制度なのだ。
だが日本から海洋に流出したプラスチックごみの量は、プラスチックごみの総量のわずか0.5%に過ぎない。また日本においては廃棄物管理が徹底されており、使用済みのプラスチック製品のほとんどは海洋へは流出していないのだ。
さらには日本で使用されているレジ袋は、年間20万トンといわれており、それらをすべて減らしても海洋へ流出するプラスチックごみは千トンにも満たないという。
そしてそもそもスーパーのレジ袋は、家庭のゴミ袋として使用していたはず。だから有料化でゴミ袋が不足したため100円ショップにポリ袋が大量に出回り始めたではないか。これではスーパーのレジ袋が減った分だけ、100円ショップなどで販売しているポリ袋が増加しただけで、環境対策としてはほとんど意味がない。
だからレジ袋を有料化するとしても、とりあえずコンビニだけに限定しても良かった。つまりコンビニでの買い物は、生活密着品だけではなく、旅先やドライブ中に利用することが多く、家庭に持ち帰らず投げ捨てられる可能性が高いからである。
また最近は、スーパーの買い物かごをそのまま車に積んで持ち帰ってしまう「カゴパク」が急増し話題になっている。これはれっきとした万引きなのだが、彼等には全く犯罪意識がないため、スーパー側も辟易しているという。これはまさしく、レジ袋有料化の副産物である。
いずれにせよ、ほとんど効果がなく、悪い副産物ばかり発生しているレジ袋有料化。環境改善にはもっと別の方法が沢山あるはずだが、世間知らずな官僚たちが、思い付きだけで簡単にやれることを法制化してしまったような気がする。いまなによりも必要なのは、国民・政府・官僚の意識改革ではないだろうか。
作:蔵研人
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