極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

ガウイン卿と緑の騎士

2018年09月07日 | 時事書評

  Aug. 28, 2018

                                             
第14章 「道」のはたらきべ
「道」は、見ても見えないから、「色がない」といおう。聞いても聞こえないから、「音がない」
といおう。探っても触れないから、「形がない」といおう。こうした感覚ではつきとめられぬもの、
個別化を経ぬ一般性、それが「道」だ。上と下との区別もなく、無限にひろがっているもの、その
はたらきは絶えることなく続いているが、そのものが何であるかは明瞭でない。つまり「無」とい
うよりほかに表現のしようがない。状態の判らぬ状態であり、姿の知れぬ姿である。または「おぼ
ろ」とでもいおう。先と後との区別もなく、時を超えて万物を統括する。
「道」の法則性は古今か二貝している。この法則を見きわめることによって、根元としての「道」
が認識できるのである。

道紀 老子の哲学を直観の所産と見る説がある。だがその直観は、恣意的な空想の領域にとどまる
ものではなかった。「道」は、あるいは直観によって得られた認識であるかも知れない。し
かしそ
の直観の当否を、かれは緻密な自然観察によって検証しようとするのである。

 
ガウェイン卿と緑の騎士
The Tale of Sir Gawain and the Green Knight

● 読書日誌:カズオ・イシグロ著『忘れられた巨人』 No.12

  

第3章
 
「今夜のこの村はどこか変」歩きながら、ベアトリスがささやいた。「いつもなら、みんな家の前
にすわっているか、どこかで輪になって笑ったりしゃべったりしているのに。子供たちなんて訪問
者の後を追いかけて質問攻めにして、答えしだいで悪態をついたり、逆に親切にしてくれたりする
んだけど……いまは気味が悪いほど静か。それが不安よ」

「道に迷っていないかい、お姫様?泊めてもらう場所に向かってちゃんと進んでいるのかな」
「先に薬のことで例の人に会っておこうと思っていたんだけど、でも、村の様子がこんなだと、と
にかく長屋にまっすぐ行ったほうがいいかもしれませんね。危ないことがあるといやだから」
「その薬師の家はまだ遠いのかい」
「前と同じなら、もうすぐそこのはずなんですけど」
「じゃ、いるかどうか訪ねてみよう。おまえの痛みがたいしたことないのはわかっているが、さっ
さと取り除けるものなら、残しておくことに意味はないからな」

「朝まで待っても平気なのよ、アクセル。言われなければ気づきもしないくらいですもの」
「それでもだ、お姫様、もうここまで来ているんだから、ついでに寄っていこう」
「あなたがそこまで言うなら、そうしましょうか、アクセル。わたしは明日の朝でも、また今度こ
こを通るときでもかまわないんですけど」


そんな話をしながら角を曲がると、村の広場のようなところに出た。中央に大きな韓火が燃え、大
勢の村人がそれを取り巻いている。幕大の明かりに浮かび上がっているサクソン人の顔には、親に
抱かれた幼子から老人まで、あらゆる年代がそろっていた。最初は、異教の儀式の場に迷い込んで
しまったかと思ったが、立ち止まって眼前の光景を見ているうち、全員がとくに何かしようとして
集まっているのではないらしい、とわかった。ただ、誰の表情も重苦しい。怖がっているとさえ言
えたかもしれない。個々に話し合う声は低く、合わさって心配げなささやきとなり、空気中を伝わ
ってくる。アクセルとベアトリスに向かって吠えかかる大がいたが、すぐにいくつかの人影に追い
払われた。訪問着の存在に気づく村人もいたが、二人の方向をただぼんやりと見るだけで、すぐに
視線を戻した。

「いったい何事かしらね、アクセル」とベアトリスが言った。
「薬師の家がこの近くでなかったら、さっさと立ち去るところですけど。さて、行き方をまだ思い
出せるかしら」

右手に小屋の並びがあって、二人はそちらに向かって歩いた。途中、物陰にたたずんで、篝火の群
衆を黙然と見ている人々がいるのに気づいた。ベアトリスが立ち止まり、そのなかの一人、ある家
の戸口に立っていた女に話しかけた。しばらくその様子を見ていて、これが目的の薬師なのだろう
な、とアクセルは思った。ほとんど闇夜と言っていい暗さだからよくは見えないが、背すじのしや
んと伸びた背の高い女であることがわかった。もう中年と言っていいかもしれない。両手にショー
ルをにぎり、それで両肩と両腕を覆っていた。薬師とベアトリスは、ときどき群衆のほうを見たり
アクセルを見たりしながら、低い声で話しつづけた。やがて、女は自分の家に入るよう二人を身振
りで誘ったが、ベアトリスがアクセルのところまで来て、そっと言った。

「あの人と二人きりで話させて、アクセル。荷物を下ろすのを手伝ってくださいな。そして、ここ
で待っていてね」
「一緒に行ってはだめかい、お姫様。まあ、サクソン人の言葉はほとんどわからないんだが」
「あのね、女だけの問題なの。だから二人きりで話させて。この老いた体をいろいろと診てくれる
そうだから」
「ごめんよ、お姫様。考え足らずだった。さ、その荷物を預かろう。いつまでも待っているから、
ゆっくり診てもらってくるといい」

女二人が家に入っていったあと、アクセルはひどい疲れを覚えた。とくに肩と脚に疲れがあった。
背中の荷物を下ろし、後ろに立つ草塀に寄りかかって、幕火に集まっている人々をながめた。なん
だか群衆のいらいらが高じてきているような気がした。周囲の暗闇からいきなり人が現れては、人
だかりに加わっていく。逆に、笥火の周りから急ぎ足で立ち去る人もいるが、やはり何か心残りが
あるらしく、すぐにまた戻ってくる。炎は揺らめき、取り巻く人々の顔をくっきり照らし出しては、
また暗い影で覆う。しばらく見ているうち、結局この人々は待っているのだ、と気づいた。籍火の
左手にある木の建物から誰かが-あるいは何かが-出てくるのを、不安な思いで待っている。あの
建物は、たぶんサクソン人の集会所か何かだろう。集会所の内部でも火が燃えているらしく、窓が
ちらちらと明るくなったり暗くなったりしていた。

ベアトリスと薬師のくぐもった声をどこか後方に聞きながら、アクセルは塀に寄りかかったままう
とうとしかけていた。突然、人だかりから低いうなりが発し、人の波が膨らんで揺らいだ。見ると
木の建物から数人の男が現れ、蒋火に向かって歩いてくるところだった。群衆は二つに割れてその
男たちを迎え入れ、何かの発表を期待するように静まり返った。だが、なんの発表もなさそうだと
知ると、肩透かしをくったような思いで、また騒がしくなりはじめた。アクセルの見るところ、集
会所から最後に出て来た男が注目の的だ。ほとんどの人がその男を見つめている。せいぜい三十歳
くらいか。漂う威厳は生来のものだろう。その辺の農夫と変わらない質素な服装ながら、明らかに
村人とは違う。どこがどう違うのかを一言で言うのは難しいが、たとえばマントをつかみ、一方
の肩に投げ上げる所作が違っている。もちろん、それによって腰のベルトとそこに吊るされた剣の
柄が剥き出しになることも、違うという印象と無関係ではあるまい。さらに、どの村人よりも髪が
長い。肩まで届くほど長く、一部を革紐で結んで前に垂れないようにしている。それを見たとき、
アクセルの心をごく自然に一つの思いがよぎった。それは、髪を結んでいるのは戦いのとき目に入
らないようにするためだ、ということだ。ごく自然に湧いてきた考えだったが、直後に、そこに含
まれる意味を意識して驚いた。しかも、その考えにはかつて自身がいつも身近に感じていたことの
ような手触りがあって、それも意外だった。その男は人だかりの真ん中に歩み入ると、当然のよう
に手を剣の柄に置いた。

その動作がもたらす安心と興奮と恐怖の入り混じった感情が、まるでわがことのようにアクセルに
もわかった。この不思議な感覚はなんだろうと思った。あとでゆっくり考えよう………アクセルは
そう自分に言い聞かせ、それをいったん心から追い出して、いま目の前で繰り広げられている光景
をじっと見つめた。

物腰が、その立ち居振舞いが、この男を周囲から際立たせている。いくら普通のサクソン人で通そ
うとしても、この男は戦士だ、とアクセルは思った。たぶん、その気になれば、すさまじい破壊を
もたらしうる戦士だ、と。

集会所から一緒に出てきた男たちのなかに、そわそわと戦士の後ろに付いて回る男が二人いた。戦
士が人混みのなかに入っていくと、二人もなんとか離れまいと後を追う。まるで、親に取り残され
そうで必死になっている子供のように見えた。どちらも若く、やはり剣を下げている。手には槍も
にぎっている。だが、どちらもそんな武器に不慣れであることは一目でわかる。恐怖で体を強張ら
せ、仲間の村人たちから投げかけられる励ましの言葉にも応えられない。背中を叩き、肩に手を置く
元気づけにも、視線をうろうろと泳がせるぽかりで、まさしくパニック状態にあった。

「あの髪の長い男は、わたしたちよりI、二時間まえに来た人だそうですよ」とベアトリスの声が耳元で言った。
「サクソン人ですけど、遠い国の人。自分では束の沼沢地から来たと言っているみたい。向こうで、海からの
侵入者と戦ったばかりですって」

少しまえから、二人の女の声がずいぶんはっきりしてきたことには気づいていた。振り向くと、ベアトリスと薬
師はもう家から出て、アクセルのすぐ後ろ、戸口の前に立っていた。薬師が低い声でサクソン語をしばらくし
ゃべりつづけ、そのあと、ベアトリスがアクセルの耳元でこう言った。

                          カズオ・イシグロ著『忘れられた巨人』 
 ガウイン卿

この小説は愛と死の探究がテーマだとネット上で書評されていたことを思いだす(アドレスは忘れ
た)。その記憶をたどると、この小説は、410年頃に古代ローマ支配が終焉した5世紀後
半の中
英――イギリス人とサクソン人間の不安定な時代を舞台に、アクセルとベアトリスが離れて
暮らす
息子を訪ねることから始まる。不思議で深い霧に包まれた集落と交差しながら彼らの旅は霧の源を
見つけるものとして。これの背後にある著者のひらめきの多くは、日本の民話から導出さたものと
日本で生まれ、少年時代に英国に移住した幻想的で民俗的なものを融合させた物語とし生み出され
たと語っている。時には、アーサー王の伝説的な戦士の一人、ガウイン卿のような――サム・ペキ
ンパ(Sam Peckinpah)の映画作品に登場する犯罪者などに触発された――奇妙な騎士を登場させて
いるという。さて、先を急ごう。
                                     この項つづく




● 回生制御型電気自動車のエネルギー効率77~82

 Sep. 3, 2018
For Combined City/Highway Driving

9月3日、米国エネルギー省は 回生制御電気自動車のエネルギー効率77~82%と試算公表(上図参照)。
従来の内燃式車両とは異なり、電気自動車は、充電中約16%のエネルギー損失するものの、電気
自動車の場合、エネルギー効率は60~65%と高い。これに加え、回生制御によるエネルギー利
得を加算すると、米環境保護局(EPA)――市内/高速雲底サイクル混合走行燃費推定法で、80
%以上になると試算。

 
For City Driving


For Hayway Driving

※ Data Sources: Estimates based on analysis of a 2012 Nissan Leaf.

・Lohse-Busch, H., et al. 2013. Ambient Temperature (20°F, 72°F and 95°F) Impact on Fuel and Energy Consu-
mption for Several Conventional Vehicles, Hybrid and Plug-In Hybrid Electric Vehicles and Battery Electric
Vehicle.
SAE 2013-01-1462.
・Lohse-Busch, H., et al. 2012. Advanced Powertrain Research Facility AVTA Nissan Leaf testing and analysis.
・Thomas, J. 2014. Drive Cycle Powertrain Efficiencies and Trends Derived from EPA Vehicle Dynamometer
Results.
SAE 2014-01-2562.
・Carlson, R., J. Wishart and K. Stutenberg, K. 2016. On-Road and Dynamometer Evaluation of Vehicle Auxi-
liary Loads.
SAE Int. J. Fuels Lubr. 9(1):2016, doi:10.4271/2016-01-0901.
・Rhodes, K., D. Kok, P. Sohoni, E. Perry, et al. 2017. Estimation of the Effects of Auxiliary Electrical Loads
on Hybrid Electric Vehicle Fuel Economy.
SAE Technical Paper 2017-01-1155, doi:10.4271/2017-01-1155.

● 米工場の屋根上に814kWの自家消費太陽光

8月29日、積水化学工業は、米SEKISUI S-LEC AMERICAの本社工場に出力814kWの太陽光発電設備
を導入したことを公表。
SEKISUI S-LEC AMERICAは、積水化学の連結子会社で、米国ケンタッキ
ー州ウィンチェスター市にある本社工場で合わせガラス用中間膜を製造販売しているが
 新設した
太陽光発電設備で発電した電力は自家消費する。年間発電量は1044MWhを見込み、本社工場の年間
使用電力量の約1割に相当。これは、年間579トン二酸化炭素の温室効果ガス(GHG)排出抑制
効果になる。

● 今夜の寸評:北海道でもブラックアウト(含電源喪失)

原因は北海道電力・苫東厚真火力発電所(厚真町)の――苫東厚真は石炭火力発電所で、3機合計
で定格出力が165万kWと道内最大規模。地震発生時、道内需要310万kWの約半分を苫東厚真が
賄っていた一極集中にある。
電気は貯めることができない。常に需要(電力の使用量)と供給(発電量)を
一致させておく必要がある。今回のように、需要は変わらないのに供給が減ると、過負荷の状態となり、周
波数が低下、周波数の低下は、停電発生を意味する(上/下図参照)。

その対策も技術的(一部の開発中のもののぞき)には、『環境リスク本位制』に政策を集中させれ
ば、日本の財政力と技術力をもってして解決可能である。
 


要調査事項が山積する中、時間を割きこれをブログ掲載する余裕はもうない(慢性眼精疲労)。
しかし、現実は「空白」がここにきて一挙に露出している。恐ろしい。



※ 震度2で電源喪失寸前だった北海道・泊原発「経産省と北電の災害対策はお粗末」地震学者 
  AERA dot. 2018.09.06
※  資源エネルギー庁 3つの発電施設同時停止は想定外  NHKニュース 2018.09.06


  Aug. 28, 2018

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