徳丸無明のブログ

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お金と乳房の相関関係

2015-10-17 19:56:12 | 雑文
石井光太の『世界「比較貧困学」入門』を読んでの気付き。
石井は以前、ミャンマーのヤンゴンで、靴磨きをしている人と知り合った。
その人から、こう言われたという。
「前に日本人から雑誌をもらったんだ。そしたら、女の子のおっぱいばかりを強調する写真がたくさんあった。なんで日本人は胸にばかり興味を抱くんだ?ミャンマーの男性は女性のお尻が好きなんだよ。ちゃんと安全に子供を産むことのできる女性がモテるんだ。その代わり、胸にはあんまり興味がないかな。胸が大きくたって、出産には役に立たないからね」
なるほど、と思った。
男が、女性のどこに魅力を感じるか、というのは、容姿や人格に対してでもあるが、丈夫な子供を産めるか、という点も大きい。
日本とミャンマーの違いは何か。なぜ、女性への興味の対象が、おっぱいとお尻という違いに現れるのか。(石井は、日本人の男性が、女性の体のどこに魅力を感じるか、というアンケートも紹介している。一位が胸、二位が胴体、三位がお尻だったそうだ)
出産というのは、母子ともに危険を伴う。医療水準がある程度高ければ、帝王切開等により、安全な出産が期待できる。しかし、そのような技術が整っていない国もある。
医療技術が高ければ高いほど、男は安産型のお尻を求める必要がなくなり、興味の対象がお尻以外に移っていくだろう。もちろん、脚やらおヘソやらに魅力を感じる男もいるだろうが、「お尻以外」ということであれば、やはり一番はおっぱいだろう。
で、医療水準は、その国の経済力とほぼイコールなので(キューバのような例外もあるが)、「お金持ちの国の男ほどおっぱいが好き」という法則が成り立つだろう。言い換えれば、「巨乳好きは裕福な国に許された贅沢」だということ。
世界一の経済大国のアメリカにおいて、極端に胸の大きい女性が――本当に、異常なくらい巨乳の女性が――脳天気に喜ばれる理由が、これでわかった。
もう一歩踏み込んで考えると、安産型のお尻を求めない、というのは、見た目がさほど大事ではなくなる、という事だから、裕福な国の男ほど、女性に対して「見た目よりも人格」を重視するようになるのかもしれない。
しかし、一つの国の中においても経済格差はあるわけで、例えば今の中国なんかだと、超富裕層と下層民の間では、好まれる女性に違いが出てくるのだろうか。

それから、おっぱいとお尻の話から離れるけど、この本の中に結構大切なことが書いてあるので、紹介する。
よく、貧しい国が言われる「なんで貧しいのに子供をたくさん産むの?元々お金がないはずなのに、よりお金が必要になるじゃない」という疑問がある。これを、疑問ではなく「だから貧しいのは自業自得なんだよ」という非難として口にする人もいる。
だが、事実はどうなのか。
貧しい国には、年金や、保険・福祉制度が整ってないことが多い。であれば、歳を取って働けなくなった時、家族や友人、知人に頼るしかない。その中でも、自分が年老いた時に、最も稼ぎ手となるのは、子供、もしくは孫の世代だろう。だから、老後の事を考えると、子供をたくさん設けざるを得ない。
貧しい国において、人間関係は、なにより、セーフティーネットとして機能する。老後だけでなく、病気や事故などで働けなることだってあるが、そんな時にも、親戚や友人など、コミュニティーの誰かしらが助けてくれる。助ける人にしたって、皆貧しい人ばかりだ。しかしそれでも、明日は我が身。いつか自分も病気や事故などで、収入を得られなくなってしまうかもしれない。だから、いくら金銭的に苦しくても、コミュニティーの中に困っている人がいれば、必ず助ける。それが、貧しい国のセーフティーネット間における、不文律であるという。
そして、子供というのは、いずれ結婚をするわけだが、そうなれば、結婚先の家族が、新たなセーフティーネットとなる。つまり、子供の数が多ければ多いほど、ほかの家族と繋がりを持つことができ、セーフティーネットをより拡大することができるのである。
つまり、「子沢山だから貧しい」のではなく、「貧しいから子沢山になる」のである。話の順接が逆なのだ。
それ以外にも、貧しい国が子沢山になる理由がある。避妊具がなかったり、そもそも避妊という概念がなかったりする。
また、女性の場合、国によっては、結婚して、あるいは子供を設けて、やっと一人前扱いしてもらえるという、男女差別の問題もある。
貧しい国に対しては、正しい理解が必要だ。「貧しいのは自業自得だ」という認識がはびこっていれば、経済支援などの、行われて当然の援助が、行われなくなってしまう。
彼らが貧しいのは、我々の無理解が一因でもある。
(とは言え、ウィリアム・イースタリーが『傲慢な援助』で提示したような問題もある。なかなか一筋縄ではいかない)


オススメ関連本 ジョン・パーキンス『エコノミック・ヒットマン――途上国を食い物にするアメリカ』東洋経済新報社
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