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バーボングラス片手のロックな毎日

獣になれない私たちとハラスメントゲーム

2018-10-17 09:08:34 | MUSIC/TV/MOVIE
二つのドラマが始まった。
一つは新垣結衣と松田龍平主演の「獣になれない私たち」
一つは唐沢寿明主演の「ハラスメントゲーム」
どちらもドラマのテーマにハラスメントが関わっている。

「獣になれない私たち」は別にハラスメントがテーマのドラマではないが、第一話目では辺り構わず部下をしかりつけるパワハラ社長(山内圭哉)に振り回され、仕事に責任感のない同僚(伊藤沙莉)に振り回され、やる気のないメンタルの弱い新人(犬飼貴丈)の尻拭いをさせられる。セクハラをてくる取引先。頼りの恋人(田中圭)はマンションにネトゲ廃人と化した元カノ(黒木華)を住まわせてるし、その母親(田中美佐子)はプライベートにずけずけと入り込んでくる。更には介護疲れのストレス発散で怒涛のエンドレスラインメッセージ攻撃。

いろんなハラスメント&ストレスに耐えつつも笑顔で頑張ってた新垣結衣だが、ある日ぽっきり折れボーッと電車に飛び込もうとしてた自分に気づく。行きつけのbar「5tap」の常連(松田龍平)は長年の恋人でデザイナー(菊地凛子)の突然の別れにも斜に構えたような奴。
第一話目の最後には、開き直ってサングラスに革ジャン、ハジけた格好(履けないと諦めてたブーツ/いつ買ったんだ?)で出社し社長に業務改善計画を突きつけたところでto be continue。
見ててイライラ&辛くなるくらいの怒涛のハラスメントの嵐だったが、ちょっと大げさに描かれてるが日常の中小企業ではよくある光景。みんな頑張って耐えてるんだよね。
でも、二話目からどうなるのか。このままでは恋愛ドラマにはならないぞ。大丈夫か。
『空飛ぶ広報室』『掟上今日子の備忘録』『逃げるは恥だが役に立つ』などで新垣結衣とかなり密接な野木亜紀子さんの脚本だから大丈夫だと思うがちょっと心配。

「ハラスメントゲーム」はその名の通りハラスメントをテーマにしたドラマ。
一部上場企業のマルオスーパー。ある日シングルマザー(志田未来)が買った、子供が好きなちょっと高いメロンパンの中に一円玉が混入してたとのクレームが入る。昨今よくある異物混入だね。
事態を解決するために唐沢寿明がコンプライアンス室長として呼び戻される。唐沢は現在本社常務の高嶋政宏と同期だが、部下へのパワハラを捏造され左遷させられた過去がある男。富山店で店長をしてた唐沢を呼び戻したのは三代目の現社長(滝藤賢一)。新店舗オープンを数日後に控えたこの時期に、異物混入謝罪会見をするのは避けたいと。

奥さん(石野真子)を振り切り単身赴任してきた唐沢は昭和〜バブル期のモーレツ社員。しかし何を言っても何をやっても「それ、●●ハラスメントです」「それイエローです」「それレッドカードです」と唯一の部下(広瀬アリス)に諭されまくる。嫌な時代になったもんだ。

とりあえず被害者の家庭に行って謝り、現場(練馬店)に行ってみる。防犯カメラなどを調べたら、縁故入社で入ったはいいが使えないから練馬店に移動させられ、そこでも全然やる気のない主任(尾上寛之)が、店長(ココリコ田中)の指導を逆恨みしての犯行だった。本人ためと思って指導してもそれをハラスメントと勘違いするやつ。自分優先でお客様のためにという考えが出来ないやつ。親のコネを自分の力と勘違いしてるやつ。このすべての嫌なやつを尾上寛之が演じてるが、現代の接客業にもこういうやつがけっこういるのだよね。

このドラマ、結構面白いのだが視聴率大丈夫か。
視聴ターゲット層は多分40-50代だろう。多分この世代はこのドラマを見て「セクハラって、思い上がりもいい加減にしろ」「これごときの指導をパワハラってなぁ」「飲み会は大事なコミニュケーションやろ」なんてブツブツ言っちゃうよ。大丈夫か。脚本は井上由美子さん(白い巨塔/昼顔)だからちょっと期待してるのだが、BGでこけてるしなぁ。

セクハラ、パワハラ、アルハラ・・・。
昨今一気にポピュラーになったハラスメント。
最近じゃぁ「『頑張れ』と言われたのが苦痛・・・」などというのもパワーハラスメントらしい。
「一杯どうだね」と就業時間が終わった後に飲みに誘うのも、アルハラに当てはまるらしい。
女子社員に「昨日と同じ服だね、昨晩はお泊まり?」などと聞いたりするのもセクハラになるらしい。

それをハラスメントととるか、コミニュケーションの一つととるかは、言われた人の気持ち次第。
言った方に悪気があったとかなかったとか、邪な気持ちや変な気があろうがなかろうが、そんなことは関係ない。

叱咤激励でノルマ達成をがなったり、感情論、根性論で奮起させるなんてパワハラ。嫌なら辞めちまえ、代わりなどいくらでもいる。なんてもう完全にアウト。
年功序列で上には従い、下には厳しくするのが当たり前だと思ってた昭和世代にとっては「なんで?」って感じだろう。でも、早くに入社したとか、先輩だからとか言ってっててもそれが通用するのは年功序列の時代だ。能力主義や成果配分が取り入れられた今、能力さえあれば・・・、結果さえ出せれば・・・そんな時代にデスクにふんぞり返って部下を叱ってばっかりでは成果が上がるわけもない。これも事実。

だけどね、ほとんどの人間はその個人能力がないのよね。誰もがそれぞれ野に咲く名もなき花だなんて幻想。自分はできる、自分は仕事さえくれればやれる。自分はチャンスが回ってこないだけだ。能力以前に言い訳ばかりしてる。それらをつかむのは、面倒臭い会社のコミニュケーションの中にしかないのだけどね。プライベートを大事にして、チャンスの神様をどんどん逃ししてても、いつかきっと誰かがどこかで救いの手を差し伸べてくれるとか、自分の能力がきっと認められると思ってるけどそれはまず無理だろうね。
残念ながら、パワハラ、アルハラ、と言われる中にそのチャンスは紛れてるのだよね。

女子社員に卑猥な言葉を言ったり、何かと言えば体を触ろうとしたり。どうでもいいような仕事を押し付けてた昭和世代がある。
今なら
でもね、この時代は女子社員も悪いのよ。会社は結婚までの腰掛け。給料分は働いてます。残業はしません。アフターファイブが生きがいです。女性は出世はどうせできないでしょ。どんだけ忙しくても有給とりますよ。グアム行きますハワイ行きます海外旅行が楽しみです。どっちもどっちなのよ。

でもバブルで浮かれたプワゾン漂わせボディコン着た女の子を横目に、コピーとお茶汲みに耐えスキルを積み、寿退社せず、女性でも管理職に上がった女性もいる。酒井順子さんの本では「負け犬の遠吠え」と称されたが、逆に今では完全な勝ち組(勝ち犬?)だろう。さっさと商社マンや事象クリエーターといった当時の華やかな彼氏が今も輝いてる人は少ないのではないかな。俺の知り合いのほとんどは離婚してしまってるが、皆さんの身の回りはどうなんだろう。

年功序列と男尊女卑。
そんな時代の遺物とも言える●●ハラスメント。
今後もいろんなドラマなどで描かれると思うけど、これって正解ないのよね。
相手が苦痛を感じたら成立するからね。

焼肉のニンニクの匂いでも、タバコの匂いでも、柔軟剤の匂いや香水でもハラスメントになるかならないか。
それと同じく、部下のためを思って熱血指導した結果ハラスメントになるか、花を咲かせるか。
邪な気持ちを持っていう明らかなセクハラなのか、ただ何気なしに言った言葉を課題解釈されセクハラ扱いなのか。

私心がない分だけこれからも乱立しそうだな。
とりあえずこの二つのドラマを見つつ考えてみよう。




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