オリンピックのの話なんですけどね。何度も書いているように、北京五輪、本当にやるのかなあという気持ちが未だに脳裏を離れません。まあ何事もなければ8月8日に開催される訳ですが。
スポーツと政治は別物というのは所詮は建前。一党独裁国家で、様々な自由が制限され、台湾に対して武力侵攻という選択肢を未だに放棄していない。そんな野蛮な国でオリンピックをやるのはどう考えてもおかしいでしょう。中国にしてみたら国威発揚、国民の政府に対する求心力の向上につながる一大イベント。有人ロケットを打ち上げるのと同じようなものです。
何も北京五輪だけが政治に利用されているというつもりはありません。古くはヒトラーのベルリンオリンピックがありますし、あの「9.11」の後に米国で開かれた冬季五輪、場所は忘れちゃいましたけど、あの開会式も政治臭がプンプンしていて、観ていて嫌になりました。
政治のことを措くとしても。環境問題とか治安とか国民の民度とか、いくら背伸びをしても中国には五輪を開催するレベルに達していないでしょう。開催地の北京で毎月11日を「自発的行列デー」と定めて、この日は自分から秩序正しく行列するようにと当局が懸命に指導しています。
行列すらできない民度は靖国神社に登場する猿回しの猿にも劣りますね。芸ができるだけ猿の方がマシ。観客を楽しませてくれますし、GDP創出力も中国人一人当たり平均に比べれば、猿回しの猿の方が高いでしょうし。
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猿回しの猿には首輪がついていて、首輪からは縄が伸びていて、師匠というか相方というか、とにかく人間がそれを握って猿が狼藉を働かないようにしています。中国人には首輪もついていませんし縄の制約もない。それでロクに行列もできない日光猿軍団以下の民度ですからどんな狼藉を働くかわかったもんじゃありません。
……いや、これは私が心配しているのではなく、中国政府のシンクタンクである中国社会科学院のレポートがそれを懸念しているのです。まあ懸念なんて上等なもんじゃありません。
「荒れる可能性が高いから一応覚悟されたし」
「天気も環境も出たとこ勝負」
と、天晴にも開き直っているのです。厚顔無恥はいつものことですけどね。
中国国内からもアクセスできる海外の親中系サイト「星島環球網」がそれを報じています。
●「社会青書」狭隘な民族主義者が五輪で騒ぐことを懸念(星島環球網 2008/01/19/10:53)
http://www.singtaonet.com/hot_news/gd_20080119/200801/t20080119_716332.html
……て読んでみたら共同電じゃないですか。それなら日本語の記事の方が。
●五輪中“衝突”の危険も/「狭量な民族主義者」が騒いだり… 中国シンクタンク「社会青書」で指摘、反日応援を念頭
2008/01/21(FujiSankei Business i.)
http://www.business-i.jp/news/china-page/news/200801210013a.nwc
中国政府のシンクタンク、中国社会科学院は20日までに、今年の社会情勢を展望した2008年版「社会青書」を発表、北京五輪の項目で反日応援などを念頭に「狭量な民族主義者」が競技場で騒いだり、社会に不満を持つ人々が「異常な行動」を取る可能性を指摘、十分な対策を取るよう関係者に求めた。
青書は大気汚染、交通渋滞、食品安全、サイバーテロなど五輪の支障となりかねない10項目の危険性も列挙。中国政府のシンクタンクが五輪にかかわる懸念を率直に認めて公表するのは異例で、問題の深刻さを改めて示した。(中略)
その上で、1964年にサッカーの東京五輪出場権を争うペルー対アルゼンチン戦で観客が乱闘、約300人が死亡したケースなどを例に「歴史、民族」問題などが原因で五輪中に衝突が起きる危険性があるとした。
深刻な北京の大気汚染については「汚染源は多い」「(地形などから)処理は困難」と認め「空気の質の良しあしは天に任せるほかない」と指摘。また、新型肺炎(SARS)など感染症発生の「危険が依然存在する」とした。
さらに、転換期にある中国では暴動などが頻発し、失業者らが五輪期間中に実力行動に出る可能性を「排除できない」とした。(後略)
「反日応援などを念頭に『狭量な民族主義者』が競技場で騒いだり、社会に不満を持つ人々が『異常な行動』を取る可能性を指摘」
「『歴史、民族』問題などが原因で五輪中に衝突が起きる危険性があるとした」
……って指摘じゃなくて予告でしょう(笑)。「ちゃんと事前に注意報は出したからね」ってなアリバイ作り。
●汚染源は多い。
●(地形などから)処理は困難。
●空気の質の良しあしは天に任せるほかない。
……って開催国が匙投げてどうする。「天に任せるほかない」とは無責任も甚だしい開き直りですね。そもそも「天意」がそろそろ易姓革命をお望みなのでは?ただ現在の社会構造からすると全国的な政権崩壊というよりは群雄割拠に近い事態が起こるように思います。で、中国は核を持っていますから、義和団のときのように八カ国連合軍みたいのが駐留して暫時分割統治、てなことになるかも知れませんよ(笑)。
そもそも騒乱は反日ばかりとは限りません。
「転換期にある中国では暴動などが頻発し、失業者らが五輪期間中に実力行動に出る可能性を『排除できない』」
と「社会青書」も指摘しています。おまけに中国肺炎(SARS)みたいな感染症発生の「危険が依然存在する」って何それ?
そのくせ、いやしくも国営通信社・新華社系の大手メディアが自国の食の安全問題や環境汚染を棚に上げて、海外勢の事前合宿が日本に集中していることをやっかんでいるのですから話になりましぇん。
●これだからねー。さすが中国クオリティ(笑)。(2007/01/19)
反日騒乱や困窮した庶民の蹶起があるかどうかは別にして、とりあえず世界最高峰のアスリートたちが持てる力を発揮してしのぎを削るにふさわしい場所でないことは確かですね。
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で、私から提案。
●衝突が起きる危険性がある。
●失業者らが実力行動に出る可能性を排除できない。
●感染症発生の危険が依然存在する。
●汚染源は多い。
●空気の質の善し悪しは天に任せるほかない。
……と御用学者部隊がこれだけ不安要因の存在を認めている訳ですから、中国政府もここは率直に「五輪開催辞退」を申し出るべきではないでしょうか。ドタキャンになりますけど、自らの面子を丸潰れにしても断行する勇気が必要なときではないかと思うのです。
「中共人」たちに対する究極の二者択一です。五輪を開催しますか?それとも亡国の道を選びますか?
オリンピックなんて大層なものを運営するとなると、統治メカニズムにいままで以上の負荷がかかります。運営そのものがまず大仕事。これに交通規制を敷いたり一部住民を強制疎開させたり中共政権にとっての反動分子や人権派弁護士を片っ端から取っ捕まえて軟禁したり投獄したりする。開催期間中には万一の事態に備えて警備陣は超厳戒態勢で臨むことにもなるでしょう。余計な労力(マンパワーではなく統治メカニズムへの負荷)がかかるのです。
しかも政情からしてこのところは経済問題の陰に隠れていますけど、胡錦涛の統制力はとても盤石といえたものではない(ええ、盤石ではないのです)。胡錦涛が中央すらしっかりと掌握できていないので、課題の「構造改革」などは夢のまた夢。逆に地方政府や一部業界が面従腹背に徹して社会・経済状況が悪化する可能性の方が高いでしょう。
例えば目下の至上課題である物価ひとつとっても、五輪開催で色々なものが値上がりする可能性はあっても、下がるということは考えにくい。大体のっけから大雪で流通に影響が出て野菜価格あたりは早くも上昇しているそうじゃないですか。豚肉とか油脂とか穀物・穀物製品など昨年から値上がりを続けている品目からみても、構造的に今年中にそれが劇的に改善される可能性は低いといえるでしょう。そういう足場がフラフラしているところに北京五輪がさらに畳み掛けることになるのです。
当局の御用学者部隊が上述したようにいくつもの懸念材料を並べるというのは、五輪万歳ムードに水をぶっかけるようなものです。当局にとって嬉しいこととは到底思えませんから、異例といっていいでしょう。もし当局の意を汲んでのことなら、それは五輪参加国に一種の覚悟を促すものということになるでしょう。
そこまでリスクの高い、統治者に負荷のかかる北京五輪をやって「中華人民共和国」が致命傷を負うことになっても(即大ダメージとはならないとしても)いいんでしょうかね。いいならそれで、楽しみに待つことにしますけど(笑)。
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ちょっと話題を転じるようですけど、日本政府は「万一」に備えて策は練ってあるのでしょうか。
半島有事については在留邦人の退避についてシナリオのようなものがあるようですけど、台湾有事についてはどうなのか。さらに、中国で大変なことが起きたときの手配りは準備されているのか。
最近はどうもそういうことまで気になって仕方ありません。
●東アジア選手権で中国が日本の安全約束(nikkansports.com 2008/01/23/09:28)
http://www.nikkansports.com/soccer/world/p-sc-tp3-20080123-310803.html
日本代表が、2月中旬に中国・重慶で開かれる東アジア選手権での安全を約束された。04年夏、同地でアジア杯1次リーグを戦った際に、反日感情などで試合後に選手バスが囲まれるなどの危険に直面した。現地での大会運営会議に出席し、22日に帰国した日本協会の小倉純二副会長は「中国側は4年前のことを覚えていて、今回は特にセキュリティー面に神経を使うと言っていた」と明かした。会議では謝小軍・重慶副市長らに警備体制などの説明を受けた。
……さあ、どうだか。いざとなって「約束が違う」とか言っても手遅れですからね。
ネットで読んだ話ですが、北京オリンピックを見に行こうとする人に対してシナの暴動とか民族紛争を理由に行かないよう忠告したら、「日本で報道してない」と言ってその手の話を全然信用しなかった人がいたそうです。本当にそんな人いるんでしょうか。もしいるなら日本のマスコミは罪深いです。もっとも2004年の反日暴動は報道していましたから、ネットの話はネタかもしれません。
「万一」の場合うちの会社の駐在員、大丈夫かなあ。日本政府は全く当てにならないし。
北京オリンピックの誘致が決まった際は観光に行こうかと思いましたが、状況がここまで悪化するとは思いませんでした。
先日テレビで選手村が紹介されてましたが、ひどかったですよ。
まず一人部屋にむりやりベットを2つ入れて荷物も置けない状態で、お風呂なしシャワーのみ。
聞いてた話と違うって怒ってましたが、選手の皆さんあれじゃ疲れなんか癒せないでしょうね。
まあ選手村使うのは日本だけじゃないから、ある意味平等に記録に影響するんでしょうけど。
うちの兄にオリンピック失敗しちゃえばいいのにと言ったら「それは困る。そのしわ寄せは日本にくるから。」だって。そうかもね。
どこで綻びを見せるか、そういった目でオリンピックを見ると面白いかもしれませんね。
五輪が始まっても参加せずに日本に居つくなんてことにはなりませんよね?
五輪が終わってドサクサに中国チームが日本に帰ってくるなんてないですよね?
杞憂ならいいんですが・・・杞憂なら。
ちなみに、日本からは選手を派遣しないので、この種目に関し日本人は大丈夫であります。日本水泳連盟は理由こそ違いますが、結果的に賢明な判断を下したと思います。
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200801/2008010900008
2008/01/09-00:08 五輪新種目に選手派遣せず=水泳
日本水泳連盟は8日の常務理事会で、北京五輪の新種目
オープンウオーター(10キロ)に選手を派遣しない方
針を確認した。オープンウオーター委員会は五輪出場資
格を得るための大会に選手を派遣することを要望してき
たが、過去の国際大会の成績が振るわず、五輪での上位
入賞は見込めないと判断した。(了)
ただ、日本人が出場しない以上、日本のマスコミはあまり目を向けないでしょうから、オープンウォーターと環境問題の関係は英字紙を読むか、日本へ立ち寄ったときに選手に直接尋ねるしかないようですね。
なぜなら、オリンピックは開催都市が「開催権を返上もしくは開催を中止」することができるだけで、外部の誰も中止させる権力をもっていません。IOLが決めるのは「何処に開催権を与えるか」だけです。
ですから中国共産党指導部が「五輪を開催したら自分たちの生命が危ない」という認識を全員が共有しないかぎり、「中止の決定」どころか「中止を検討すべきだ」と誰かが言い出すこともできないでしょう。
開催されたら、あらんかぎりの宣伝をして何が起きも「北京五輪は成功した」と触れ回るでしょう。そのかわり上海万博がどうなるかは判りません。
<サッカー><北京五輪>公式ボールは漢字で「中国」!国家カラーの「赤」を採用
http://dailynews.yahoo.co.jp/photograph/pickup/?1201409285
この点については私にはわかりません。強いていうなら開催時点の政治状況次第だと思います。天安門事件も2005年春の反日騒動も海外プレスの前で堂々とやってのけましたから。
>ただマラソンや競歩、自転車競技みたいな一般道を走るロードレースは危ないと思いますね。
これは確かに危ないでしょう。生卵は高騰しているので飛んでこないだろうと思いますが(笑)、ペットボトル(尿入りとか)くらいはあるかも知れません。状況次第では投石なんてことも。基地外はどの国にもいますけど、中共政権は教育プログラムで基地外を量産していますからねえ。あーやだやだ。
>記者会見で指摘されたら「一部の者の仕業を大げさに取り上げすぎ」って逆ギレするんでしょうね。
ええ、絶対そうなります(笑)。
上海の総領事館は天安門事件のときは邦人保護らしいことは何もやってくれませんでした。各大学から日本人留学生名簿を提出させて、あとは全日空が臨時便を飛ばすという通知をしてきただけです。北京の情報とか上海周辺の状況(実は上海は軍隊に包囲されていて戒厳令が敷かれる予定だったのを、当時市長だった朱鎔基が政治生命を賭けて防いでくれたのです)などといったものも一切何も言ってきませんでした。
「軍隊が包囲しているのを偵察衛星が捉えた」という情報で自国の留学生を非常呼集し帰国させた米英豪の総領事館とはまことに対照的。まあ居残りたい奴は残れるという点では日本の放任主義も有り難くはありますけど(笑)、いまは教育で反日刷り込みをやっている時代ですから、何かあれば当時とは比較にならないくらい日本人に取って殺気立った環境になるのだろうと思います。私のいたころは実にのんびりとしたものでした。
情報という点で私個人の力になってくれたのはあちこちの大学にいた知り合いの中国人学生たちとか付き合いのあった地元の庶民とかで、「戦車を見た奴がいる」とか「明日のデモは危ないという噂があるから行かない方がいい」などと逐一知らせてくれました。やっぱり有能なローカルの存在が非常に頼りになります。
ちなみに留学生名簿、これも総領事館が大学当局に作成を要求したのではなく、各大学の日本人留学生に作らせました。私のところは私がやらされました(笑)。
>先日テレビで選手村が紹介されてましたが、ひどかったですよ。
その番組私も観ました。ベッドだけで一杯一杯の部屋で、海外旅行用のトランクを開くスペースすらないんですよね。確かオリンピック後にマンションとして販売するとかいうことで、選手宿舎というよりそっちの方のコンセプト優先で設計されているように感じました。
でもバスタブすらないフラットなんて随分チープな気がしますけど、中国ではそれが一般的なのでしょうか?私には不思議に思えました。
地方から武装警察とかの兵力抽出をやるのかどうかはわかりませんけど、仮にやったとしても、地方政府は暴動が起これば例によってチンピラとか職にあぶれた出稼ぎ農民たちを雇い上げてまず対処すると思います(笑)。まあいざとなれば軍隊を出すでしょうし。
帰ってくるのが中国選手団だけならまだ僥倖といえるかも知れません(笑)。……なんてことになったら嫌ですねえ。
>中国共産党指導部が「五輪を開催したら自分たちの生命が危ない」という認識を全員が共有しないかぎり……
私も同感です。8月までにそういう事態に立ち至る可能性も、少なくとも現時点では考えられません。ただ立ち至るほどではなかったとしても、中国指導部が事前に予想していたより開催時点での政治状況が流動的になっているかも知れませんね。最近の豪雪が事態をちょっと複雑なものにするかも知れません。
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