日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)







 ベトナムの首都ハノイ及びホーチミン市で昨日(12月16日)再び反中国デモが発生しました。先週(9日)に続き2週連続の日曜日デモです。

 何やら2005年春の反日騒動を思い出させます。ベトナムも中国同様に共産党による一党独裁政権でもあります。ただし本質的に異なる点があります。現時点で指摘できるのは以下の3点。



 ●反日騒動は胡錦涛政権に対し「上海閥」や軍部も含むアンチ胡錦涛諸派が反発する形で仕掛けた政争の色彩が濃いのに対し、今回は南沙諸島(スプラトリー諸島)、西沙諸島(パラセル諸島)など南シナ海の領有権争いを発端としたもので、「反中国」の純度が高い。

 ●デモが領土紛争だけでなく、アジアにおける中国の覇権確立阻止というより大きなテーマを包有しつつある。

 ●ベトナムの反発をフィリピン、マレーシア、ブルネイなど他の領有権主張国が支援している可能性もあり、問題が深刻化すると「中国 vs ASEAN」という図式に発展しかねない。




 ともあれ関連報道を。AFP通信が経緯を含めて詳報しています。



 ●ベトナムで再び南沙諸島などの領有権めぐる反中国デモ(AFP 2007/12/16/20:08) 
 http://www.afpbb.com/article/politics/2326548/2460728

 【12月16日 AFP】ベトナムの首都ハノイとホーチミンで16日、1週間前の9日に続いて南沙諸島と西沙諸島のベトナムの領有権を主張する数百人規模のデモが行われた。

 ハノイの中国大使館前には約300人、ホーチミンの中国領事館前には約100人が集まったが、警察に阻止された。9日のデモは警察に容認され1時間ほどで解散したが、2日後に中国政府がベトナム政府に抗議したため、警察は今回のデモを厳しく取り締まった。

 両諸島については中国とベトナム以外にも数か国が領有権を主張しており、周辺海域での漁獲量が減少するにつれベトナムや各国の漁船が両諸島海域に侵入し、これまでも何度か衝突が起こっている。7月には、南沙諸島付近で中国海軍の船舶がベトナムの漁船に発砲、漁船が沈没し乗組員1人が死亡したと報じられた。中国政府は英石油大手BPにも、付近での開発を中止するよう圧力をかけている。

 ベトナム情勢に詳しいオーストラリア国防大学のCarl Thayer氏は、中国は自国とベトナムの両方で事業を行っている外国企業の利害を握っているため優位な立場にあると解説する。Thayer氏によると、ベトナムの民間人による反中国デモは「これまでになかったもので、国際的な共感と支持を得るための長期的な情報戦略が展開されていくのかもしれない」という。


 ――――

 ●ベトナムで異例の反中国デモ 両国関係緊張も(asahi.com 2007/12/16/19:47)
 http://www.asahi.com/international/update/1216/TKY200712160126.html

 ベトナムのハノイとホーチミン市の中国公館前で16日、南シナ海の領有権問題をめぐり反中国デモがあった。9日に続いて2度目。一党独裁体制下のベトナムで外国公館へのデモは異例。政府が容認しているとの見方もあり、「再発防止」を求めていた中国政府の反発は必至だ。

 AFP通信によると、ハノイの中国大使館前には約300人、ホーチミン市の中国総領事館前には約100人が集まった。多くは学生風で、ベトナム国旗をあしらったTシャツ姿。「中国の覇権主義反対」「侵略阻止」などと書かれた横断幕を掲げて行進したが、まもなく警官隊に解散させられた。

 ベトナムが領有権を主張する西沙諸島やスプラトリー(南沙)諸島では中国が最近軍事演習したり、行政区を設けたりしている。ベトナム政府はこれに抗議。インターネットのブログなどで中国を批判し、デモへの参加を呼びかける書き込みが相次いでいたという。

 9日のデモについて、ベトナム政府は「自発的なもので、許可してはいない」と釈明。中国外務省は「事態を憂慮する。ベトナム政府は責任ある態度で再発防止を」との談話を出していた。




 再び2005年春の中国における反日騒動を引き合いに出します。署名運動や不買運動からデモ、プチ暴動に発展したあの一連の騒ぎは、基本的には前年9月に発足した
胡錦涛政権の対日外交や台湾問題についての手ぬるさにアンチ胡錦涛諸派が反発し、好機を捉えて策動した。……というのが本質だと私は考えています。要するに基本は政争。

 躍らされた中国国民には純粋な反日感情や悪化する社会状況を嫌悪しての鬱憤晴らし、という動機があったかも知れませんが、躍らせた側の意図は対日外交と台湾問題でより強硬な態度を示せ(さらに「中央 vs 地方」という構図も含まれていたかも知れません)、という主張を胡錦涛政権に呑ませる、というところにありました。

 言うまでもありませんが「対日姿勢の強硬化」=「反日」ではありません。当時のアンチ胡錦涛諸派は反日騒動いう揺さぶりによって胡錦涛政権に自分たちの主張を通させるよう求めたのです。さらに、
「それができないなら倒閣」という第二段も準備されていた気配もあります。これは反日騒動が終息して2カ月近く経てから起きた「呉儀ドタキャン事件」から察することができます。

 私はベトナム政権内部の事情については全く知るところがありません。ただ反日騒動のときのようにベトナム政権内部で「反中国」を煽る側と逆に抑制させようとする側の綱引き(メディアを使った陣取り合戦)が行われている兆候がいまのところみられません。その点においてベトナムのデモは「反中国」の純度が高いのではないかと愚考する次第です。

 ――――

 注目すべきは、先週に続いて行われた16日のデモには上の報道にあるように、

「中国の覇権主義反対」

 というスローガンが出現したことです。覇権とすればその対象はもちろんベトナムだけではなく、少なくとも南シナ海を囲む一帯ということになるでしょう。より広げれば東南アジア一帯、つまりASEANはもちろん、あるいは南太平洋の島嶼国なども含まれるかも知れません。

 この
「覇権主義反対」という旗が掲げられたことによって、反中気運がこの一週間の間に質的変化を遂げ、いわばグレードアップしていることがうかがえます。AFPが指摘しているように、危機感を煽ることで周辺諸国ひいては国際社会を味方につけたい、共闘したいというベトナム政府の思惑があるのかも知れません。

 ベトナム政府がそうでなくても、国内に中国の覇権路線・拡張路線に対する危機感が出始めているということはいえるでしょう。

 このデモは今朝(12月17日)の香港各紙も速報しています。元ネタはいずれも外電(たぶんAFP)だと思われますが、ここでは、

「中国の覇権主義がアジアに危害をもたらす」

「侵略を防げ」

「中国の拡張主義を阻止せよ」

 というシュプレヒコールが行われたと親中紙『大公報』を含め一様に報じられています。親中紙筆頭格の『香港文匯報』は電子版も含め沈黙中ですが、『大公報』電子版には中国国内からもアクセス可能です。またデモが再発したということをやはり中国国内からアクセスできる海外の親中系メディア「星島環球網」も報じていますが、ここには「中国の覇権主義反対」といった「質的変化」を示唆する内容は含まれていません。

 先週のデモについて反応した中国外交部は今回も声明の形で、恐らくデモ再発には言及しても覇権云々にはふれることなく
「デモがまた起きた」「中越関係を損なう動きには反対」などという表現で間接的に報じることになるかと思います。

 ただその声明において
「中国は覇権主義を追求しない」という表現での立場表明は行われるかも知れません。いわゆる「当局発表」を熟知し行間を読むことに慣れている中国国民であれば(以前はそれがデフォでした)、この表現を以て事件において「中国の覇権路線反対」を示すアクションがあったと見抜くことでしょう。

 あとは続報待ちです。

 ――――


 ●「星島環球網」(2007/12/16/16:21)
 http://www.stnn.cc/pacific_asia/200712/t20071216_693663.html

 ●『蘋果日報』(2007/12/17)
 http://www1.appledaily.atnext.com/

 ●『明報』(2007/12/17)
 http://hk.news.yahoo.com/071216/12/2lesu.html

 ●『東方日報』(2007/12/17)
 http://orientaldaily.on.cc/new/new_b05cnt.html?pubdate=20071217

 ●『大公報』(2007/12/17)
 http://www.takungpao.com/news/07/12/17/ZM-838159.htm




コメント ( 8 ) | Trackback ( 0 )



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コメント
 
 
 
北斗の拳? (玉子屋)
2007-12-17 18:14:22
こんな記事が出たそうです。

暴漢が村民を再襲撃―中国広東省汕尾
http://www.worldtimes.co.jp/news/world/kiji/071215-222803.html

楽しい国ですね。
 
 
 
Re:北斗の拳? (御家人)
2007-12-17 18:39:34
>>玉子屋さん
 御指摘のケースは中国において最も尖鋭的な官民衝突を繰り返していてる農村です。当ブログでもほら、この通り。

 ●密室会議なんてやってる場合か?(2005/10/09)
 http://blog.goo.ne.jp/gokenin168/e/51c48222e7b903b517cfd9a8758fee8c

 ●官民衝突で武警が実弾射撃、農民に多数の死傷者。(2005/12/08)
 http://blog.goo.ne.jp/gokenin168/e/874a073fa6ebe33c5b21c59b343813fa

 ●「調和社会」が揺れている。(2005/12/09)
 http://blog.goo.ne.jp/gokenin168/e/897493b87c1f819bab6f5f7f011e61b3

 ●業務連絡。(2005/12/10)
 http://blog.goo.ne.jp/gokenin168/e/3b702b8b420dc8b3183125472a3395b1

 ●「12.6」事件――さて中国国内でも報じられた訳だが。(2005/12/12)
 http://blog.goo.ne.jp/gokenin168/e/e5026b080cd1f59d7c33debce09a342c

 ●「12.6」事件続報:モデルケースになるのか?(2005/12/21)
 http://blog.goo.ne.jp/gokenin168/e/f4b31942d7cb182a1e93e8d6d7f564fe

 ●速報:惨劇再発の危機、「12.6事件」の村を武警が包囲!(2006/11/18)
 http://blog.goo.ne.jp/gokenin168/e/f9fa95ab24bff45319942c199512f397

 ●続・東洲村事件:「官匪」は再び実力行使に。(2006/11/19)
 http://blog.goo.ne.jp/gokenin168/e/33e72ef3335727650fc015acf8faf4e5

 ●村落の変質?「官匪」化に対する自衛組織へ。(2007/04/26)
 http://blog.goo.ne.jp/gokenin168/e/d081ab147fe65976cbe7175debfc086d

 ●速報:中国最強の武装農民戦闘集団。(2007/11/06)
 http://blog.goo.ne.jp/gokenin168/e/510f4d06eea71c1e7792e568038783e0

 最近は抗争が日常化してしまっていて、当ブログでも目新しい点を感じられない衝突はスルーしているほどです。
 
 
 
Unknown (take)
2007-12-17 20:46:35
ベトナムでさえ領海、領土を巡って中国に反発する市民がいるのに、日本では政府が主導して領海、領土、地下資源を中国に与えようとしている
日本国民は中国の拡大主義をマスコミで知る事もなく、資源と領土を奪われるのも知らないまま、デモすら行わない
この違いは何?
 
 
 
情け無しニッポン (近江源氏)
2007-12-18 09:32:37
 御家人殿、官製であれ自発的なものであれ、ベトナムの反中デモのスローガンは本質をついているのではないでしょうか。中共が世界の厄介者の前に、確実にアジアの厄介者です。他のアジア人が覚醒しているというのに、朝貢に行って緊張の余り震えた汚職政治屋一家の末裔の小沢、これから震えに行こうとしているウフフの福田。それにこの種の反中デモをきちんと報道しない新聞にテレビ。勿論、的確な論評も無し。ワイドショーネタだけに関心を持つ国民。衰亡、凋落、亡国という言葉しか出てこないですね。
 
 
 
 
ベトナム、中国、アメリカ (歩厘)
2007-12-18 16:19:55
また、ベトナムでデモがあったんですね。こちらのエントリーで初めて知りました。私も色々ググって見たのですが、この件に関する外信は少ないですね。「みんな興味ないな」という感じがします。数少ない報道の中で、下の記事は興味深いと思いました。

http://www.ocregister.com/news/vietnam-chinese-islands-1943406-china-communist

カリフォルニア州のオレンジ郡にあるリトルサイゴンで、200人ほどのベトナム系アメリカ人が15日にデモを行ったそうです。「リトルサイゴン」とは、ベトナム以外でベトナム系の方が多く住む地域のことですが、デモの目的は、「中国とベトナム両政府に抗議する」というものです。

ご承知のように、ベトナム戦争末期には、北ベトナムの共産主義政権を嫌って多くの南ベトナム関係者がアメリカに逃げていきました。そのため、アメリカに住んでいるベトナム系の中には、現在のベトナム政府を支持していない人が結構います。この辺は、イラン系アメリカ人と似ているかもしれません。アメリカには、イラン・イスラム革命を嫌ってアメリカに移住したイラン人が数多く住んでいます。彼らは現在のイラン政府に批判的だったりします。

話をベトナムに戻しますと、上記の記事には、ホーチミンの肖像画を燃やしている男性の写真が載っています。さらに、今は無き南ベトナムの国旗を持ってデモに参加している人も写っています。彼らは、領土問題で中国に抗議しているわけですが(中国の国旗を燃やしている人の写真も載っています)、ただ、現在のベトナム政府は「北ベトナム」であって自分達を代表しておらず、しかも、中国と同じ共産主義政権であり、「領土問題では、中国に対して手ぬるい」というのが彼らの不満のようです。

彼らはベトナム人であり、当然、ベトナム人アイデンティティーが問われる領土問題には敏感に反応します。ただ、だからといって、現在のベトナム政府をそのままには支持しない。そこに、ベトナム系アメリカ人が抱える複雑な思いを見るような気がします。

またまた長くなって恐縮です。最後になりますが、上の朝日の記事の中に、やはり、「中国政府の反発は必至だ」(笑)がありますね。さすがですね、朝日!
 
 
 
Re:Unknown (御家人)
2007-12-18 16:32:04
>>takeさん
 私も現在脱力中です。でもこと国益にかかわることだけに、また日中関係の根本にもかかわることだけに、小市民ながらも野次馬でいたくはありません。
 
 
 
Re:情け無しニッポン (御家人)
2007-12-18 16:32:33
>>近江源氏さん
>ベトナムの反中デモのスローガンは本質をついているのではないでしょうか。
 正しくその通りだと思います。一週間経って2回目のデモで「覇権」という言葉が出てくるとは思いませんでした。まずは国益だとしても、中共政権に対する危機感として、一国の枠を超えた視野と問題意識をも持ち合わせているということですよね。たとえそれが戦術にすぎないとしても、そういう形で海外メディアにアピールするという発想は、いまの日本には望めないものかも知れません。
 
 
 
Re:ベトナム、中国、アメリカ (御家人)
2007-12-18 16:33:30
>>歩厘さん
 なるほど、こういう動きもあるんですね。興味深いです。確かにこれもひとつの姿勢ではありますね。ただ運動として盛り上げていく上では吸引力に欠けてしまうでしょうけど……。

 ベトナムのデモは日本のメディアでも取り上げられていますから、それなりに価値を認められているのだろうと私は思います。ただ「覇権阻止」への質的転換ともいえるような新たな動きに目をとめた報道がないのは残念です。

 扱われ方という点では「東シナ海ガス田問題」の方が言葉としての登場頻度は高いのですが、「日本の国益が侵されている」という当初の切迫感が失われて、いまでは何やら「日中間に存在するトゲ」みたいなポジショニングになっているようで、これは余りにひどいと思います。
 
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