日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)





 のっけから御託を並べさせて頂きます。最近「話の枕」などと称して中国関連のニュースを紹介していて、その分量が結構あるのでエントリー自体がド長文になってしまい、上下編に分けることも増えてしまい誠に申し訳ありません。

 でもちょっとした話題ながら「いかにも中国」と思わせる記事や、後々意味を持ってきそうなニュースもあるので、スルーするにはどうにも惜しいのです。しかしながら単体のエントリーにするには帯に短し襷に長し。なるべく短信になるよう心がけますから、この点につき諒として頂ければ幸いです。

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 まずは先日の弾道ミサイルによる衛星破壊実験について、人民解放軍の現役幹部が思い切ったことを言ってしまいましたね。

 ●中国軍幹部「宇宙の超大国一つではない」(Sankeiweb 2007/01/28/00:10)
 http://www.sankei.co.jp/kokusai/china/070128/chn070128000.htm

 スイス・ダボスでの世界経済フォーラムに出席している中国軍事科学院世界軍事研究部第2研究室の姚雲竹主任(上級大佐)は25日、中国が衛星攻撃兵器(ASAT)の実射実験に成功したことを踏まえ、「われわれの時代に宇宙空間は軍事化されると予測している」とコメントした。
(後略)

 ――

 人民解放軍の現役幹部としては初の言及、しかも米国を牽制する意図がミエミエで剣呑この上ない内容です。最近ちょっと軍部がピリピリしていますね。台湾問題と日本の動きに神経質になっているのでしょうが、党中央による意思統一が徹底していないということで留意しておくべきかと思います。香港紙も報道しています。

 ●『明報』(2007/01/28)
 http://paper.wenweipo.com/2007/01/28/CH0701280031.htm 

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 2ちゃんねる風にいえば「ちょwwwおまwww」みたいなネタも入ってきています。先日ナイジェリアで中国人5人が誘拐され、指導部がハッパをかけたためか中国大使館が異例によく働いて無事解放にこぎつけました。

 5人は大使館で1日休養した上で帰国、空港では「よかったですね」と花束まで渡されました。
「中国政府は人民を決して見捨てない」みたいな姿勢を誇示したかったのでしょう。昨年パキスタンで発生した中国人エンジニア誘拐・殺害事件でも胡錦涛政権は立派な棺桶に国旗を乗せて厳粛かつ丁重な扱いをしてみせまました。

 ところがですよ。5名が解放されてホッとした気分が中国側に流れたナイジェリアで、わずか1週間後にまた中国人が誘拐されてしまいました。しかも今度は9名(笑)。

 ……笑っちゃいけないんですけど、「おいまた誘拐かよ弱ったな全く」「面倒みきれないぜホント」という空気が役人の間に流れていそうでおかしいです。中国側の対応に注目ですね。

 ●「新華網」(2007/01/18/12:24)
 http://news.xinhuanet.com/world/2007-01/18/content_5621645.htm

 ●「新華網」(2007/01/26/22:07)
 http://news.xinhuanet.com/world/2007-01/26/content_5659351.htm

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 それから三峡ダムに絡んだ住民移転での汚職問題が浮上しました。農民を代々耕してきた土地から引き剥がして農業を続けられないような土地に強制的に移転させ、一応補償金は出るものの、農民の手に渡るまでにあちこちの党幹部につまみ食いされて実際に手にするのは転業資金にもならないような雀の涙、という「失地農民」の問題は以前から書いていることです。

 ●悪魔の錬金術(2004/12/19)

 で、この三峡ダム建設に伴う住民移転のため計上した予算の流用が発覚してしまいました。総額2.89億元。これはまた壮大なる「つまり食い」です。公金として流用するだけでなく、どうも個人の住宅建設などに使われた形跡もあるようなので、関連部門が調査を開始しているようです。また移転者への補償金支給の目的で受けた補助金1694.32億元は架空申告によるもの。親中紙が新華社電を転載しているので確かな話なのでしょう。

 ●『香港文匯報』(2007/01/27)
 http://paper.wenweipo.com/2007/01/27/CH0701270010.htm

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 ●中国:新幹線が営業運転開始「日本の技術」は隠す(毎日新聞 2007/01/28/20:41)
 http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/afro-ocea/news/20070129k0000m030050000c.html

 【杭州(中国浙江省)大谷麻由美】日本の新幹線技術を導入した新型車両「CRH2型子弾頭」が28日、中国で初めて営業運転を開始した。白い車体、ドアや車内の間取りなど新幹線とうり二つだが、中国メディアは「日本の技術導入」には触れず「中国独自ブランド」を強調している。中国の鉄道事業への日本企業参入には批判が強く、中国政府は新型車両の運行開始で反日感情が再燃することを懸念しているようだ。
(後略)

 ――

 確かに中国国内では全く言及なしという訳ではありませんが、私が目にした関連記事3本はいずれもタイトルで「国産」をうたっており、これは反日感情なのか「中国もここまできた」という「大国化」意識の反映かは察しかねますが、国産強調という点ではほぼ『毎日新聞』の通りといっていいでしょう。以下に新華社電から拾った記事3本。しかしパクリ列車はちゃんと走っても運行システムがどうなっているのかは甚だ疑問です。

 http://hk.news.yahoo.com/070128/12/20rmr.html
 http://news.xinhuanet.com/local/2007-01/28/content_5664678.htm
 http://news.xinhuanet.com/fortune/2007-01/28/content_5664915.htm

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 まあこのくらいにして本題にいきましょう。

 ●日本紙がトウ小平の六四武力弾圧の内幕を連載へ
 http://appledaily.atnext.com/

 香港の最大手紙『蘋果日報』(2007/01/28)が唐突に報じたものですけど、孫引きなんですよねこの記事(仕事しろよ糞リンゴ)。『蘋果日報』が米国系ラジオ局RFA(自由亜洲電台)が報じたのを引用しているのですが、元の元は『産經新聞』の「社告」として予告した連載特集記事です。

 ――

 ●「トウ小平秘録」 改革開放の実相 来月14日連載スタート(Sankeiweb 2007/01/26 07:27)
 http://www.sankei.co.jp/kokusai/china/070126/chn070126000.htm

 (前略)1兆663億ドル(昨年12月末現在)という世界一の外貨準備高を記録した中国。この経済発展の突破口を開いたのが、トウ小平氏(1904~97年)でした。今年は没後10年にあたります。
(中略)

 トウ氏は政治面で社会主義と中国共産党の指導性を強調する一方で、経済面では生産力増大を第一とする独特の理論を唱えました。文化大革命時代の失脚を経て権力を握り、改革・開放路線へと大きくかじを切った決断が中国の驚異的な成長をもたらしました。

 半面、膨張経済は都市(富裕層)と地方農村(貧困層)の格差拡大や環境汚染、さらには官僚の腐敗という矛盾の拡大を招いています。世界規模のエネルギー獲得戦略や急速な軍備拡張路線も気がかりです。こうした現代中国の実相を理解するには、トウ氏の足跡をたどる必要があります。

 連載は伊藤正・中国総局長を中心に複数のスタッフが取材、執筆にあたります。第1部の「天安門事件」で、トウ氏がなぜ大衆を弾圧したのか、背景を掘り下げるのを皮切りに6部構成になる予定。ご期待ください。

 ――

 キモは最後の段落、つまり1989年の天安門事件(六四事件)で何が語られるか、です。『蘋果日報』が期待?しているのもそこでして、具体的には4月に訪日を控えた温家宝首相への圧力ではないか、という観測です。……むろんこれも『蘋果日報』のオリジナルではないのですが。

 ともあれ、なぜ温家宝かということになります。

 天安門事件から半月前、北京市に戒厳令が敷かれるころ、失脚確定となった趙紫陽総書記(当時)が天安門広場でハンストを続けている学生たちのもとを見舞うのです。党のトップである総書記であることを考えれば異例中の異例という行為。それだけに印象的なシーンで御記憶の方も多いかと思いますが、ハンドマイクを手にした趙紫陽が、

「済まない。私が来るのが遅すぎた」

 と半ば目に涙をためて切々と学生たちに訴えます。それを正面から撮影した写真・映像で趙紫陽の隣にいるのが当時趙紫陽の下にいた温家宝なんですね。温家宝自身も当時は民主化運動に対し比較的穏健なスタンスをとっていた(まだ小粒な時代ですけど)ことで、この連載第一部でトウ小平の独裁っぷりと温家宝の「変節漢」ぶりが描かれるのではないか、しかもタイミング的に訪日直前だから天安門事件に対する日本側の意思表示として、同事件に対する中国側の位置づけとは正反対であることを強調、温家宝に一種のプレッシャーをかける狙いがあるのではないか、というのです。

 そういえば安倍政権も「民主・自由・人権」を外交における重要な価値観として位置づけています。そう考えると色々深読みができそうな連載で期待が持てますね。どこまで突っ込むのかには疑問が残りますけど。……温家宝もあるいは『産經新聞』に日本政府の影を感じて、来日後に意外と強硬姿勢をとることになるかも知れません。

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 そういうキナ臭いことは別としても、この時期に天安門事件を振り返ることは日本人の対中認識をより正確にする上でまたとないケーススタディですから私は双手を上げて賛成します。

 江沢民による反日風味満点の「愛国主義教育」を身体全体に浴びて育った世代が天安門事件当時は年少だったためそれを肌で感じることなく、私のいう「亡国の世代」として30代前半から下はすっかり「洗脳」されています。

 ところが、あの愚劣きわまる「愛国主義教育」(まあ愚民教育が基本ですから当然ですけど)こそ受けていないものの、この「天安門事件をリアルタイムで記憶していない」という点は日本の同世代も「亡国の世代」同様なのです。それだけにここで改めて天安門事件を持ち出し、検証することは中共の本質を理解する上で有益といえるでしょう。

 この事件について一言でいうとすれば、私は

中共人がその私兵(人民解放軍)を以て中国人を弾圧した事件」

 と捉えています。社会に問題意識を持ち、国家の現状と行く末に危機感を抱いた大学生や知識人たち「中国人」を、国家より党を優先する「中共人」たちが組織防衛(利権防衛でもありますね)のため、容赦なく完全武装の歩兵に無差別の実弾射撃を行わせ、戦車まで投入したのです。さすがに戦車砲は使わなかったでしょうが、車載機銃は連射に次ぐ連射、そればかりか縦横に走って学生や市民をひき殺して回ったのです。

 それに最後まで断固反対して失脚した趙紫陽は「中国人」だといっていいでしょう。弾圧側のトウ小平や李鵬や楊尚昆は「中共人」。温家宝は風見鶏でただのヘタレでしかありません。ただ反日度は胡錦涛よりかなり高そうな形跡がありますから、この連載の報に青筋を立ててくれれば安倍首相もやりやすくなります(笑)。

 そしてファンタジスタの麻生外相が中共政権の人権問題を叩いたり、改めてEUの対中武器禁輸措置の継続を訴えたりするかも知れません。面白いことになります。

 さらに、温家宝が訪日を終えた直後に李登輝・前台湾総統が来日してくれたらもうたまりません(笑)。軍部のボルテージはいよいよ高まるでしょうし、胡錦涛政権も無視できないでしょう。

 まずは『産經新聞』が温家宝を釣り上げることに期待したいですね。

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 肝心の連載は2月14日スタートですか。こりゃまた粋な日を選んだもんですね。日中友好の建前でいえば、これは日本から中共政権へのちょっと思わせぶりな義理チョコ。しかも毒入りであることはもちろんお約束です(笑)。

 楊枝削りではありませんが、天安門事件について和訳されている書籍では下の本が手際よくまとまっている上に内部資料が織り込まれているという点で白眉かと思います。まだお若い方には一読をお勧めします。その際には「中国人vs中共人」という構図が最も象徴的に現出した事件であることを念頭に読んで頂ければ、と思います。……いや、これは余計なお節介でした。

 ただ、当時の「中国人」たちが憤怒であれ諦念であれ、あの事件を現在に至るまで忘れていないことは覚えておいて損はないでしょう。


天安門文書

文藝春秋

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コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )



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コメント
 
 
 
産経の連載といえば (通行人)
2007-01-30 00:19:23
以前、毛沢東秘録で大反響巻き起こした事がありましたね。最近は少し中国に遠慮気味だから、あれだけのものがまた作れるかどうか少し?。伊藤正氏なら本音でまともに書けば結構なものが書けるでしょうけど。いっそのこと御家人さんが書いてみたら?
 
 
 
はじめまして (HASE)
2007-01-30 00:51:48
毎日興味深く、そして楽しく訪問させていただいています。天安門事件当時20代前半だった私は、日本の自宅の居間のテレビで、希望から絶望へと至るあの事件の推移をずっと視聴していました(ゴルバチョフ訪中、ジャッキーチェンらも香港でコンサート・・・)。
で、当時20歳前後だった現在40歳前後の日本人にとっても、あの天安門事件は(その後の若い人民解放軍兵士の黒こげ死体が吊るされた写真や、民主化デモに「意見した」人々の逮捕映像も含め)、中国共産党という存在のおぞましさを、身体的な感情として生涯記憶し続けるに足る衝撃的な事件だったと思います(民主の女神が倒される様は「残酷」の何たるかを雄弁に物語っていたと思います)。
ところで、恥ずかしながら私知らなかったんですが、あの時、趙紫陽さんの隣に温家宝がいたんですね!!
この事実、鳥肌立ちました(温家宝褒め頃氏キャンペーンとかしたくなくね??)。
李登輝さんの来日、是非実現して欲しいです。
 
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