【シリーズ:反日騒動2005(02)】
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お前らそれでもプレスか?……と私は言いたいのです。
いや、全人代(全国人民代表大会)の閉幕に際して行われた温家宝・首相の記者会見でのことです。
記者の質問は当然のことながら「反国家分裂法」に及びました。それに答えた温家宝が最後に、
「台湾問題は純粋に中国の内政に属することがらであり、外国の干渉は受け入れないし、望まない。また、外国の干渉を恐れるものでもない」(※1)
と言い放ったとき、会場にいた中国人記者から嵐のような拍手が沸き起こったそうです(しかもしばらく鳴りやまなかったとか)。
拍手ですか(笑)。
「反国家分裂法」の採択決議で反対票がゼロだったことぐらいでは笑うことがあってもまず驚いたりはしませんが、これには私もさすがに呆れました。で、「お前らそれでもプレスか?」という感想になる訳です。
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以上のことは『産経新聞』(15日付)の社説もごく簡単に言及していました。そりゃ書きたくもなるでしょう。私は「新華網」の記事で呆れ、香港各紙の報道で改めて呆れさせてもらいました。親中紙なら基地外新聞(※2)ですからともかく、『明報』(15日付電子版)まで嬉しそうに誇らし気に書いていました。堕ちたものですねえ。
例えばですよ。国民の生活環境が大きく改善されるような、あるいは巨悪を殲滅せしめるような驚天動地の政策が発表されたというなら、まだわかります。でも温家宝の上の発言は、ブルース・リーが映画で悪役日本人か何かを倒した後で、
「俺たち中国人はアジアの懦夫ではないぞ!」(我o地中国人並唔係東亜病夫!)
と見得を切るようなものでしょう。そういう発言で怒濤の拍手というのは、記者のやることではないと思うのです。そういうのって素人なら民度の低い観衆、プロなら「喜び組」とかの仕事じゃないですか?ええ、中共政権がその本質において北朝鮮と何ら変わらないことは重々承知していますけれども、記者がこんなところで溜飲を下げている場合じゃないでしょう。
プロの取材者として恥ずかしくないか?と言いたいところですが中国には中国のレベルがあって、プロに求める基準が異なるのでしょう。ただ私の基準に照らせば、呆れもしますし、空々しさ、それに薄ら寒さも感じます。『産経』社説(「『反対ゼロ』とは恐ろしい」という標題が秀逸)は、
「かつての『一つの声』しかない時代を想起させた」
と書いていますが、私の感想の根っこもそんなところです。ああまた地金が出ちゃったね、とでも言いましょうか。
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地金といえば前にも書きましたが、今回の「反国家分裂法」もその内容や審議過程、そして採択における「反対ゼロ」に至るまで地金そのものでしたねえ。カツラを引っ剥がして開き直る禿親爺という印象です。
ところで、この記者会見で温家宝は米CNN記者の質問に対し、次のようにも言っています。
「貴国でも1861年に、反分裂法を制定している。我々の反分裂と同様の内容だ。その後、米国では南北戦争が勃発した。しかし我々は、そのような状況を望んでいない」(※1)
だからさぁ、と言いたくなるじゃありませんか。温家宝やい温家宝、それは一体何年前の出来事?
それが比較対象として適切で、気のきいた返答だと自分で思っているなら、これまた「地金が出ちゃった」であり、こいつも所詮はその程度なんでしょう。少なくとも中国国内メディアはこのくだりをわざわざ記事にして悦に入っていますから「その程度」です。それじゃアヘン戦争でももう一回やりますか?香港人は喜ぶと思いますよ(笑)。
米CNN記者への回答はもう少しあります。
「この100年間、中国は屈辱の歴史に甘んじた。しかし今日にいたるまで、占領のためには一兵卒も他国に派遣していない」(※1)
……だ、そうです。ウイグルとかチベットとか朝鮮戦争とか、あと中越戦争とかはどうなるのでしょう。香港紙『蘋果日報』(15日付電子版)によれば、ここでも万雷の拍手だったようです。そうですかそうですか。
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ちなみにこの『蘋果日報』、「全人代の表決結果」という表をわざわざ作成しています。それによりますと、決をとった案件への反対票数は次の通りです(カッコ内の数字が反対票数)。
反国家分裂法(0)
政府活動報告(17)
全人代活動報告(34)
発展改革委員会報告(116)
財政報告(241)
最高検察院活動報告(365)
最高法院活動報告(461)
こうしてみると「反国家分裂法」が際立っていますね。キラキラと輝いてみえます(笑)。さすがに中共が大嫌いで、しかも香港でいちばん読まれている新聞(※3)、ツボを心得ております。
「航空母艦を建造すべきだ」
と『明報』の取材に吠えている実に痛い軍人もいました。晒しておきますか。解放軍人民代表の一人、総装備部科学技術委員会の汪致辺・副主任です。
「空母は大国が海洋権益を維持する上で非常に重要な手段だ。中国はかくも広大な国家で海岸線もこんなに長い。しかも我々の海洋権益を守らなければならないのだから、(空母は)全くもって必要なものだ」
これが珍獣ならまだしも、解放軍あたりは結構本気でそれを考えていたりするから痛いのです。というより基地外国家の怖いところですね。これはやはり黄海海戦アゲイン?それとも百周年記念ということで対馬沖で殲滅?どちらでもお好みの方を選んでもらいましょう。
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閑話休題。温家宝会見での記者の拍手に戻りますが、これは痛々しいほどの自尊心&コンプレックスという生来の体質に加え、江沢民の十数年に及ぶ「愛国主義教育」や「反日キャンペーン」の毒が全身に回っている証左でしょう。これじゃまるで義和団じゃないですか。ここまで固まってしまったら、もう矯正しようがないでしょう。
だから私は、江沢民時代に育った連中を「亡国の世代」と呼んでいるのです。
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【※1】http://news.searchina.ne.jp/2005/0315/politics_0315_001.shtml
【※2】1989年の天安門事件(六四)までは別です。当ブログ「往年の文匯報をしのびつつ」(2005/01/31)参照。
【※3】でも反日基調(香港の華字紙は全て反日です。例外なし)ですし記事の平均レベルもおしなべて低いです。大陸中国人と比較すれば際立ってみえる香港人の民度も結局はその程度、ともいえます。
→反日騒動2005(03)へ
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1989年に中学一年生(12・3歳)辺りが最低年齢層(上は大学3年生辺り)だと想定して、現在28歳から37歳辺りの世代でしょうか。
で両親が無知な文革世代とくれば、全く治療のしようがないとか。
江沢民の毒が「全身に回る」という意味では、30歳ぐらいまででしょうか。ただ1989年の天安門事件で政治的敗北を喫して「転向」した奴も多いでしょうから、実情はほぼ御指摘の通りだと思います。
新聞記者だと若手から中堅、会見とかに狩り出される第一線の連中がこの世代と重なります。万雷の拍手を送ったり反日記事を書いたりする訳です。
ネット世論も調査によるとユーザーの8割が35歳以下とのこと。ある意味「団塊」のように特徴づけて括ることのできる世代(と言うには幅ががありすぎますけど)だと思います。
文革世代は無学かも知れませんけど、無知かと言うとそうでもないと思うのです。政治運動や壁新聞の中をくぐり抜けてきただけに、少なくとも新聞の行間を読む力を持っています。
問題は「亡国の世代」の多くが蝶よ花よと育てられた一人っ子だということです。年寄りや親の話を聞いていればもう少しマトモだったのに……。
「かつての『一つの声』しかない時代を想起させた」という産経社説の書き方は、実は間違いなのかも知れません。本当は昔も今も「一つの声しかない」であって、ただ表面上は以前より随分垢抜けた様子なので、こちらが幻惑されているのではないかと。
「文革世代は無学かも知れませんけど、無知かと言うとそうでもないと思うのです。政治運動や壁新聞の中をくぐり抜けてきただけに、少なくとも新聞の行間を読む力を持っています。」
勘というかセンスですね。
'60年哈尓濱生まれの我が古ニョウボ曰く、「反革命分子挙げるノルマ課されてた小父さんの執拗な問い掛け、お父さんこういうこと言ってたでしょに小さいながらも危機感感じて絶対首を縦に振らなかった」と後日その爺さんが親父に娘に感謝せぇよと言ってたとの逸話、を思い出しました。
問題はその後'80年代後半に日本留学しても、自分の生きた時代を検証する機会に恵まれず(まぁ日本人自身=私含めて、も似た状況ですが)世代間伝承がうまくできてないようです。(ワイルド・スワンは読ませたんですが…)
「年寄りや親の話を聞いていればもう少しマトモだったのに……。」
寄宿制度に共稼ぎで放ったらかしですしネ。暗記重視のガリ勉、強いられてるし。挙句に同じような専門取っちゃって就職難と来てるから、双方散々だと。
成金二代目でぶッ潰れ、地で行ってますかも。'30年代の支那からやり直すてな流れかもですね。ま、そのときゃ当然7つくらいの適正規模「地域」毎に、でしょうけど。
しかも自国の政治家が「中国は周辺の脅威にならない」と口先だけでも軍事的緊張をほぐそうとしているのに分かっていない。
近頃韓国も異常さが一般の日本人の目に触れるようになってきましたが、彼らと共通する「空気の読めなさ」を感じます。
大陸国家なので、思考が似かよるのでしょうか。
近頃対中韓外交問題がお笑い・ギャグにしか見えなくなってきました。
清朝は扶清滅洋を叫ぶ義和団を支持、日本など8か国(列強諸国)に宣戦を布告
民度の低い国が民主主義をやろうとしても現実性のない過激思想を叫ぶ方に国民が付和雷同してしまうと言うことなんでしょう。
これで日米何するものぞと台湾侵攻でもしたら全世界に宣戦布告した清の二の舞ですね
亡国の世代=反日の世代とは言い得て妙だと感じます
ありました。
http://world.people.com.cn/GB/14549/3241006.html
私の語学力では記事の論旨が分からないのですが、言うことが細かい割りに核心をついてないような気がします。
どうでしょうか?
ttp://news.xinhuanet.com/mil/2005-03/14/content_2695046.htm
私もまだしっかりと読んではいないのですが、「日本は『なんちゃって空母』をたくさん持っているぞ」という趣旨のように思います。
ヘリ母艦なら垂直離着陸型(VTOLでしたか)の航空機、例えばハリアーみたいなものを搭載できようし、改造すれば空母に早変わりできるものもある、ということではないかと。
旧日本海軍が潜水母艦や水上機母艦からの改装空母を保有していた故事を踏まえているのかどうかは知りませんけど。……私は軍オタではありませんが、きのう『ローレライ』を観てきましたのでそんな気分が続いております(笑)。
他の方にも御返事したいのですが、そろそろ記事漁りに取りかかる時間ですので、また後刻ということで失礼致します。
>(空母は)全くもって必要なものだ
もう空母2隻も持っているじゃないですか
忘れちゃったのかなァ
ロシアからかの国へ屑鉄として売られたはずが何時の間にか
香港経由で手に入れた
明思克航母世界 http://www.minskworld.com/
(そういえば倒産したようですがどうなったんでしょ?)
世界初、鉄筋コンクリート製
東方緑舟 http://www.ogb.com.cn/
これでもう十分です(笑
航空母艦配備に向け
VTOL戦闘機の離着艦試験を実施
http://www.masdf.com/news/osumi.html
素人だったら素人らしい文章にしたら?
確かに言っていることは事実だけど
本当の裏はぜんぜん読めてないよ。
「反国家分裂法」採択の裏には、中国国内の
深刻な思想の分裂があることは分かってるかな?
文革はすごいですね。奥様の御経験もそうですが、あの時代を生きた人の多くが、何らかの個人的逸話を持っていますものね。
文革世代までの特徴について、ひとつ補足させて下さい。「政策の風向きがいつ変わるかわからない」と心のどこかで勘繰るスタンスが身についている、という点があると思います。行間を読む力や御指摘のセンスも、元々はここから発したものかも知れません。
このスタンス、私のみた範囲でいうと、1989年当時の大学生にはもう余りみられなかったように思います。その後に続く江沢民チルドレンは言わずもがなです。政治路線がブレなくなった反映でもありますから、幸福な時代に育った証とも言えます。ただ一党独裁という根本はそのままですから、ある日突然、今までとは全く違う何かが始まってもおかしくはない、というリスクは依然残っていると思います。
奥様はハルピンの御出身なんですね。それは非常に羨ましいです。私は大陸か台湾かといえば断然台湾贔屓なのですが、仕事の道具として使っている中国語(北京語)で言うと、台湾の北京語にはメリハリが欠ける感じがして、どうしても違和感を感じてしまいます。限られた個人的経験に頼ると、中国東北部出身の方の話す北京語(普通話)がいちばん綺麗に聞こえます。声質の良い人が話している声を聞くだけで、ああこれだこれが中国語だと思いつつうっとりしてしまいます。ハルピンつながりで言うと、張抗抗の『夏』シリーズを久しぶりに懐かしく思い出しました。
>成金二代目でぶッ潰れ、地で行ってますかも。
そういう感じがします。しかも所詮は他人(外資)と人柱に頼って無理矢理築き上げた繁栄ですから、基礎工事がしっかりできていません。二代目の頼り無さに加え、空中楼閣のような危うさがあると思います。
余談ですが、ここは絵文字が使えたんですね。そういえばこの間も使っている方かいらっしゃいました。……恥ずかしながら私、今まで全く知りませんでした。折角ですから使ってみます。
解放軍の空母熱みたいなのは意外と古く、トウ小平時代の後期に海軍を仕切っていた劉華清の回顧録にも「空母を建造することを検討してみた」というくだりが出てきた筈です。
>しかも自国の政治家が「中国は周辺の脅威にならない」と口先だけでも軍事的緊張を
>ほぐそうとしているのに分かっていない。
本当にそうですね(笑)。空母といっても常備戦力として持つなら数隻を使い回す必要があるでしょうから御指摘のようにお金も人手もかかりますし、そもそもどういう使い方をするつもりなのやら。子供が新しい玩具を欲しがるよう、軍人は単に米国が羨ましいだけなのかも知れませんけど。
朝鮮人のことは接触経験があまりないのでわかりませんが、いまの韓国の騒ぎっぷりは糞青が嫉妬するほどでしょう(笑)。韓流とか何かとか言われていましたが、苦心惨憺してここまで持ってきたものもこれで瓦解するかも知れませんね。指切りげんまんはイタすぎます。焼肉文化の民族なんですから、指切るくらいなら焼身自殺でもした方がインパクトがあるのに。本当にお笑いそのものです。
これは民主主義とか民意主導というより、中共政権が作り上げた必然の結果だと思います。構造的火病とでも申しましょうか(笑)。本来の体質+愚民政策(情報統制含む)+江沢民の毒+マスコミの煽り……これなら突っ走らない方がおかしいくらいです。
ですから「新華網」あたりが韓国の反日ムードを連日伝えているのを見るにつけ、大丈夫なのかな、そろそろ引き締めないと胡錦涛政権が危ないんじゃないかなと思っています。それともこれは反胡錦涛派による新手の政争なんでしょうか……。
ミンスク破産しちゃいましたね(笑)。
おおお!東方緑舟って知りませんでしたのでビックリです。
もう一隻あったとは。宇宙戦艦ヤマトみたいに、いきなり空飛んだりしないものでしょうか。
これは国民の募金による建艦運動が起きても不思議ではないかも。まあ、まずは尖閣諸島に出す船のチャーター資金集めで頑張ってほしいものです。
素で質問なんですが、これって本当のことなんでしょうか?
それともネタ?……空母にB52が搭載されている画像は見たことがありますけど(笑)
hokkaiさん、はじめまして。御意見有難うございます。
私は今回、記者の万雷の拍手に驚きと薄ら寒さを感じまして、それを主題としております。空母の話など余談もまじえていますが、これはあくまでも余談。「反国家分裂法」も主題ではありません。……というつもりだったので、「論点がずれている」という御指摘、いま少し具体的にして頂ければ有り難いです。
>素人だったら素人らしい文章にしたら?
いや、素人が書くからこういう文章なのです。私は日本語を書いてお金をもらう仕事ではありませんから、チナヲチだけでなく文章に関しても素人です。ただチナヲチのオタですから、それめかした書き方にはなっているでしょうけど、そこはそれ、「全くオタはしょーがねーな」と思っていて下さい。私にとっては更新が重荷にならぬよう、御覧のように気を抜いてダラダラと書いているつもりなんです。正真正銘の素人の文章ですよ。
>本当の裏はぜんぜん読めてないよ。
>「反国家分裂法」採択の裏には、中国国内の
>深刻な思想の分裂があることは分かってるかな?
いやー全くわからないんです。素人の悲しさ、思想の分裂など考えてみたこともありません。折角ですから御高見、拝聴したく思います。中国に関してかなり造詣の深い方とお見受けしますので、まさか上の御意見を言い捨ててドロン、ということはないと思いますから。
ドロンとは我ながら古すぎる言葉でした。すみません(笑)。
>すごい 専門家が登場だ!
ええ、そうなんです。皆さんのお蔭で当ブログもプロの方がいらっしゃるまでに育つことができたということでしょう。中国国内の深刻な思想の分裂、これは正直、私も興味津々なのです。
私は議論が苦手ですけど、真面目に意見して下さる方や大丈夫?さんのように情報を提供して下さる方の声には真面目に耳を傾けたいです。
ただし最初から揶揄を目的にしている書き込みも稀にあります(hokkaiさんのことではありませんよ)。それには閉口するしかありません。話も広がりませんので、そういう方には「他所でやって下さい」と御退場頂くしかありません。
【社会一般】
社民党 福島参院議員B-52艦載型の存在を発表。
http://www.masdf.com/news/b52cv.html
真偽の程は分かりませんが、航空機新聞はUSO800を取得した新聞のようです。
【社説・コラム】
嘘を嘘と見抜け。航空機新聞社のUSO800取得。
http://www.masdf.com/news/uso800.html
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