(「上」の続き)
まずは論評抜きの事実だけを報じた速報記事。
●福田首相、台湾問題における日本の姿勢は「4つの『しない』」だと表明(新華網 2007/12/28/13:51)
http://news.xinhuanet.com/newscenter/2007-12/28/content_7329267.htm
この記事によると「4つの『しない』」とは、
●「一つの中国」を捨てて「二つの中国」や「一中一台」を打ち出したりしない。
●「台湾独立」を支持しない。
●台湾の国連「加盟」を支持しない。
●台湾の国連加盟の是非を問う住民投票の実施を支持しない。
とのこと。
「台湾について、日本の立場は日中共同声明にある通り」
との決まり文句をまず持ち出した上で、福田首相はこの4項目を付け加えた形です。「福田・温家宝会談」を報じたオフィシャルな記事でも同じで、
●温家宝総理、日本の福田康夫首相と会談(新華網 2007/12/28/16:12)
http://news.xinhuanet.com/newscenter/2007-12/28/content_7330490.htm
福田首相は台湾問題について、日本の立場は日中共同声明にある明確なスタンスを堅持するものであり、「二つの中国」や「一中一台」を打ち出したりせず、「台湾独立」を支持せず、台湾の国連「加盟」を支持せず、また台湾の国連加盟の是非を問う住民投票の実施を支持しないと表明した。
となっています。
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これに対し,中国側は福田首相の「4つの『しない』」に敏感に反応。外交部報道官(デブの劉建超)がわざわざ声明を発表し、
「福田首相が台湾問題で完璧な意思表示をしたことを賞讃する」
と表向きは晴れやかなノリで続きました。ただし本音はそうでないことを示すかのように、
「福田首相の様子を見るに、台湾当局が住民投票を行うことに不満で、住民投票が問題を引き起こすことを心配していた」
とわざわざ付け加えています。……コラ病豚、お前が受けた印象なんて誰も必要としていないんだよボケ。
●外交部報道官:福田首相が台湾問題で完璧な意思表示をしたことを賞讃する(新華網 2007/12/28/23:17)
http://news.xinhuanet.com/newscenter/2007-12/28/content_7332903.htm
しかし「賞讃」というのがムカつきますね。「評価」と訳出しても気分が悪くなります。
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……ところが、です。病豚の劉建超よりさらに醜悪なのが一匹おりました。
他でもない温家宝です。これはすごいですよ。舞台は「福田・温家宝会談」後の共同記者会見。福田首相が、
●「一つの中国」を捨てて「二つの中国」や「一中一台」を打ち出したりしない。
●「台湾独立」を支持しない。
●台湾の国連「加盟」を支持しない。
●台湾の国連加盟の是非を問う住民投票の実施を支持しない。
と「4つの『しない』」を改めて表明したのに対し、それを受けた温家宝は、
「日本側が台湾問題において『一つの中国』を堅持し、また『台湾独立』に反対する立場を表明していることを中国側は重視している」
と、さりげなく言ってのけました。……ん?タイワンドクリツニ、ハンタイ???
●福田康夫首相が日本側の台湾問題における立場を表明(新華網 2007/12/28/14:37)
http://news.xinhuanet.com/newscenter/2007-12/28/content_7329602.htm
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これが首脳会談後の共同記者会見ではなく、例えば町内会のやや緊張した寄り合いであれば、
「何だと?おいちょっと待てよ温家宝、お前いま何て言った?どういうつもりだ?」
……と詰め寄って胸倉を掴むところでしょう。多少酒が入っていれば殴り合い突入は必至。
「台湾独立を支持しない」
と福田首相が言ったそばから温家宝が、
「台湾独立に反対」
と言い換えて歪曲しておっかぶせているではありませんか。厚顔無恥ここに極まれり、としかいいようがありません。醜悪,正に醜悪であります。
●町村官房長官「卑劣な行為は断固非難」…ブット氏暗殺で(読売新聞 2007/12/28/12:36)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20071228i404.htm
マッチー、同じことを温家宝にも言ってやりなよ。
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しかし翻って考えてみると、台湾問題に対する日本側の意思表示は、温家宝がそういう挙に出るほど中国側にとって不満な結果だった、ということになります。
いや、内外報道陣の前で醜態を晒さなければならないほど追い詰められていた、ということかも知れません。台湾をめぐる情勢について、中国上層部内の対外強硬派や軍部の神経質ぶりは私たちの想像をはるかに上回っていることをうかがわせた、あるいは温家宝がかくも馬鹿な真似をしなければならないほど内部での突き上げが激しかった、というべきでしょう。
ということは福田首相GJ?かといえばそれは違います。中国側のリアクションからして粘ったであろうことは想像できますが、
●台湾の国連「加盟」を支持しない。
●台湾の国連加盟の是非を問う住民投票の実施を支持しない。
という無用な「支持しない」を2つも付け加えてしまったのはやはりいただけません。台湾からも早速ブーイングが飛び出しています。
●台湾:福田首相の「国連加盟住民投票」不支持発言に反論(毎日新聞 2007/12/28/23:52)
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20071229k0000m030108000c.html
【台北・庄司哲也】台湾外交部(外務省)は28日、福田康夫首相が台湾名義での国連加盟の住民投票に不支持を表明したことについて、「国連加盟は台湾人の願いであり、住民投票は民主的なプロセス。両岸の現状を変更するものでもない」などと反論する声明を発表した。
まあ台湾からの抗議なんて放っておけばいいのです。……と釣糸を垂らしてみましょうか(笑)。
「台湾応援団」のひとりであることを私は自任してはばかりませんが、台湾は日本に文句を言う前に「台湾名義での国連加盟」が反対派を圧倒するような国内状況を一刻も早くつくり出すことに専念すべきだと思うのです。それができない癖に抗議とは片腹痛いではありませんか。
私は「台湾応援団」の一員である以前に、日本人です。台湾が正常な国家として生まれ変わり、堂々と国際社会で呼吸できる日が来ることを願ってやみません。とはいえ、今回福田首相が2つの「支持しない」を加えてしまったことは、台湾がどうのこうのという以前の問題。日本自身の問題です。
対中カードをまた自分から捨ててしまったことは、国益に照らして正しい選択だったとはやはり思えないのです。
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最後に一言。
●環境保護で「日中共同基金」創設、公明代表が首相に要請(読売新聞 2007/12/27/14:45)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20071227ia03.htm
公明党の太田代表は27日午前、首相官邸で福田首相と会い、28日の日中首脳会談で、中国の環境保護を目的とした日中共同出資の基金の創設を提案するよう要請した。
太田氏によると、首相は「環境問題について色々な角度で話をしてくる。この(基金の)問題も話し合いたい」と応じたという。
基金をめぐっては、今年度で終了する対中円借款に代わる新たな支援策として、与党から創設を求める声が上がっていた。政府は、財政上の理由から慎重な姿勢を示している。
あのーホッケ終わっちゃいました。ホッケ終わっちゃったんだって。まーいいじゃないですか。でもお願いだから真面目に相手してやったりしないで下さい。
対中円借款に代わる新たな支援策? ふ・ざ・け・る・な。