日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)





 前回の「中国は一党独裁。ただそれだけ。」の補足のようなものです。書かでものことをわざわざ書くというのは粋ではありませんが、野暮を承知で手短に書いておきます。

 どうせ私は粋筋ではありませんし、いまは御家人を称していても元をたどれば田舎侍の水戸っぽ(厳密には「ひたちびと」)。久慈川の水で産湯を使い、みかの原で遊び、春は神峰に咲き誇る桜を愛で、夏は水木や久慈浜で水練に励み、……ってこんなことを書いているから無用に長くなってしまうのですね(大反省)。

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 閑話休題。日本と中国では体制が違うという点を再認識すべきではないか、ということです。

 「体制が違う」「政治制度が違う」ということ自体は多くの人が言及するところですが、

「日本は資本主義国で、中国は社会主義国」

 だから体制が違う、というのは大間違いです。正しくは、

「中国は中国共産党による一党独裁制たけど、日本はそうではない」

 ……です。日本は一党独裁制ではありません。普通選挙制で多党制で、どの政党にも政権党になる機会があります。国民は間接的または直接的に国家指導者を選ぶことができる(日本は前者)、という点も欧米諸国や台湾と同じです。

 ところが、中国は違います。「なんちゃって野党」が8つばかりありますが、これらが与党になる機会は絶無であることは憲法によって保障されています。もちろん普通選挙制ではありません。現在の最高指導者である胡錦涛はもとより、中共政権そのものが民意の支持を得て政権を成立させた訳ではありません。

 国共内戦で国民党に勝利して、国民党を台湾に追っ払って中国大陸を独り占めしただけのことです。

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「体制が違う」

 とは、

「中国は一党独裁制だけど、日本はそうではない」

 ということです。「社会主義」というのは前回、私に桜肉三昧を御馳走してくれた先生が喝破された通り、

「中国が自分は社会主義だと言っているのだから社会主義なんだ」

 というだけのこと。仮にその実質が本来の社会主義から完全に離れてしまったとしても、中国共産党が、

「これぞ中国の特色ある社会主義」
「社会主義の初級段階だからこうなんだ」

 と言い続けている限り、自称であれ社会主義国なのです。あとは学者がその是非を心ゆくまで議論すればいい訳で。

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 くどくなりますが、日本と中国の体制が違うというのは、資本主義と社会主義ということでは断じてありません。

「中国は一党独裁制だけど、日本はそうではない」

 ということです。上海の摩天楼に幻惑されがちですが、中国は一党独裁という本質において、北朝鮮と何ら変わるところはありません。

 別の言い方をするなら、北朝鮮がちょっとオシャレな格好をしてみせたのが中国です。

 いざとなればやることは同じですし、実際に現在の中共政権は国際社会において、北朝鮮よりはるかに大きなスケールで、同じようなことをやっているのではないでしょうか。

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 いや、実はちょっと不安になりまして。

 ……というのは、私よりひと回り若い世代がそろそろ大学の非常勤講師や専任講師、早ければ助教授クラスになりますけど(サラリーマンなら中間管理職?)、この世代は1989年の天安門事件当時は小学生で、事件を体感していませんし、リアルタイムに事態を認識できた人は希有でしょう。

 そこら辺が怖いな、と。

 1992年にトウ小平が南巡講話を発表して改革再加速・改革当然の大号令がかかり、イデオロギー論争に終止符が打たれます。そこから中国経済は基本的に右肩上がりで成長してきたのですが、私よりひと回り若い世代は、だいたいそのあたりから中国と付き合い始めている筈です。天安門事件を知りませんから、中共の本質とか価値観について鈍いところがあっても不思議ではありません。

 中共がその本質を誰にでもわかる形でありありと示してみせたのは、天安門事件が最後です。私は文化大革命を体感していませんし、反右派闘争や大躍進のころはまだ生まれていません。ですからそれらの出来事については体験談を聞いたり本で読んだりするのみですが、それらの政治運動で中共が示した本質は、私が体感した天安門事件と寸分違わぬものでした。

 現在もそれが変わっていないことは、私にはわかります。文化大革命を経験した中国人の知人も、反右派闘争や大躍進をくぐり抜けてきた恩師をはじめとする70歳前後かそれ以上の世代の人たちも、中共は現在に至るまで全く変わっていないという点において、少なくとも私の周囲では認識が一致しています。

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「北京五輪キャンセル&経済制裁 or 台湾併呑、どっちを選ぶ?」

 と問われたときに迷いなく後者を選択するのが中国共産党の価値観です。むろん、そういう究極の選択を迫られることのないよう中国は上手に立ち回ろうとするでしょうけど、もし、そういう二者択一を突きつけられたとき、躊躇することなく後者を選択するのが中共政権というものです。

 そこのところを理解していないと物事を見誤りますし、隣国である日本は大損ひいては惨禍をこうむることになります。対中外交を考えるに際しては、「相手は一党独裁国家」ということをまず念頭に置く必要があり、一党独裁国家を遇するにふさわしい付き合い方をしなくてはなりません。

 これらのことは、研究者が中国の知識人たちと多少接触したくらいで実感できることではありません。むしろ中国問題には素人で中国語も片言程度だけど、現地の第一線で中国人労働者を率いて苦労している在留邦人の方が理解できるかも知れません。

 せめて、以上があくまでもチナヲチ(素人の中国観察)であり、嫌中とか反中共といったこととは全く別の次元の話であることをわかって頂ければ幸いです。




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