日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)





 クリスマスイブですね。私のところでも家内がケーキを買ってきたようなので今日も小ネタで勘弁して下さい。

 でも小ネタとはいえインパクトはありますよ。まずは日本側の報道から。

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 ●<傷害容疑>平沼前経産相の私設秘書を逮捕 飲食店で暴行(毎日新聞2004/12/16/12:32)
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041216-00000034-mai-soci

「平沼赳夫・前経済産業相の私設秘書が13日深夜、東京都内の中華料理店で店員に暴行したうえ、駆けつけた警察官を突き飛ばすなどしたとして、警視庁赤坂署に傷害、公務執行妨害容疑で現行犯逮捕されていたことが分かった」

「逮捕されたのは、文京区に住む大垣進保容疑者(41)。調べでは、大垣容疑者は13日午後11時55分ごろ、港区赤坂3の中華料理店で、中国人の女性店員の顔などを殴りけがを負わせ、110番で駆けつけた同署地域課の警察官を突き飛ばすなどした疑い」

「大垣容疑者は午後11時半ごろ、1人で入店し酒などを注文したが、泥酔状態で寝込んでしまった。女性店員が『起きてください。終電の時間ですよ』と声をかけると『何を言っているんだ』などと言いながら暴行したという」

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 これが「人民網」に転載された時点にはニュースの質が一変してしまって、非常に政治的な色彩を帯びてくるのです。

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 ●A級戦犯の息子の秘書、中国人女性店員を殴り重傷負わせる
 http://www.people.com.cn/GB/guoji/14553/3075877.html

 日本の報道でなかった部分は、

「犯人は飲食の代金も払わなかったという」

「平沼赳夫は日本の政治家・平沼騏一郎の息子。平沼騏一郎は1939年に首相となり、第二次世界大戦後、A級戦犯として無期懲役の判決を受けた(そのあと平沼赳夫氏の経歴が続く)」

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 といったところなんですが……タイトルでいきなり
「A級戦犯の息子」ですか。ものすごい力技です。昨日から今朝にかけて、このニュースは「人民網」のトップページのニュース一覧に並んでいました。

 やっぱりあれですか、「血統論」はいまなお健在ということですか。右派の子供は右派の血をひいているから批判の対象。地主の息子も地主の血をひいているから階級闘争のターゲット……全く、文化大革命当時にタイムスリップした観があります。

 この記事において、平沼氏は「血統論」によって非難されてはいません。でも事件には全く無関係なのに、

「A級戦犯の息子」

 という形でタイトルにされてしまうとは、呆れて物が言えません(いかに民度が民度とはいえ、憤りを感じています)。

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 いろいろ検索をかけてみると、この記事は結構あちこちに掲載されているようです。元ネタが日本で発行されている『中文導報』、それを北京の『法制晩報』が転載し、そこから各メディアに伝播したようですが、「A級戦犯の息子」云々を書いたのはどこなのか、肝心の『中文導報』の記事が見つからないので判断できません。転載した国内メディアにはその部分が欠落していて、単に日本の国会議員の秘書が中国人女性店員に怪我を負わせた、という形になっているものもあります。

 品格のない記事ですが、これが党中央の機関紙をはじめあちこちで掲載されたというのは、胡錦涛政権の対日路線が変更されたことを示しています。……というには、まだ材料が足りないですね。

 もう少し様子をみる必要がありそうです。マスコミにしても、ネット世論の反応にしても。



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 「新華網」のトップニュース(トップページで大見出しになっているもの)は一日に何度か変更されるものですが、さっきのぞいたら、

「李登輝の訪日は分裂狙い/日本政府は台独を野放しにするな」

 となっていました。来ましたねえ。特集です(厳密にいえば、関連記事をまとめてこの見出しでくくっているだけですが)。

 大見出しに直結する親記事はこれです。
 http://news.xinhuanet.com/taiwan/2004-12/22/content_2367123.htm

 内容は、まず李登輝氏へのビザ発給をめぐる経緯を中共視点で示し、外交部の声明へのリンクを張るなどして中国の立場を改めて強調しています。そのあと李登輝氏がいかに台湾独立に向けて熱心かということを紹介する一方で、例のコスプレ写真を引き合いに出して、

「台湾を愛せといいながら自分は日本文化を抱き締めて放そうとしない。『台湾皮日本骨』(原文)だ」

 と悪罵、いやこれは悪罵ではなく中共なりの分析ということなんでしょう。しかし無聊な文章です。

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 また、

 ●海外メディアの反応:日本の放埒な李登輝入国許可は中日関係を害する
 http://news.xinhuanet.com/world/2004-12/22/content_2366445.htm

 という記事もあります。外電の論評を都合のいいところだけ引き抜いてまとめたものがあり、AP、ロイター、AFPが名を連ねていますが、朝日と共同もこの中に入っています。たぶんこの2社に関しては編集せずにそのまま掲載しても中共の意に沿っているのではないでしょうか(笑)。

 李登輝氏訪日の件では共同の働きが特に目覚ましく、「新華網」にもどんどん引用されていて、御注進メディアのMVPといった観があります。

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 ●タイの華字紙、李登輝の来日を許した日本政府を批判
 http://news.xinhuanet.com/taiwan/2004-12/22/content_2364919.htm

 という記事もありました。でも華僑に読ませる新聞じゃあねえ。少なくともタイには中共寄りの華字紙が2つある、ということは勉強になりました(笑)。

 他に香港の親中紙のひとつ『香港商報』の論評、
 http://news.xinhuanet.com/taiwan/2004-12/22/content_2366444.htm

 これも李登輝と日本政府を非難する内容で新鮮味に欠けます。みんな一本調子なので読んでいて面白くありません。中共の指示というより、叩くネタがないため、みんな似たような内容になっているという印象です。

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 他に書くことないの?と思っていたら、ひとつだけ興味を引いた記事がありました。

 ●李登輝へのビザ発給に在日華僑団体が抗議声明
 http://news.xinhuanet.com/taiwan/2004-12/22/content_2366360.htm

 というもので、日本華僑華人聯合総会、東京華僑総会、留日台湾省民会がそれぞれ抗議声明を出したようです。「台湾省」ですか(笑)。中国人犯罪が激増して、昨年末に中国大使館でこの問題などに関する座談会を設けたときに集まってきた連中でしょう。そのときの結論は「犯罪者はごく少数、日本のメディアは騒ぎすぎ」でしたね。

 さてこの記事の注目すべきところはそこではなく、なぜか広東省での民意調査結果なるものが唐突にこの記事に出てくるのです。かいつまんで訳しますと、

「日本政府が李登輝へのビザ発給を認めた事件は内外で広く注目されている」

 という中共の認識(妄想)に基づいた当然の前フリがあってから、

「内地(中国本土)における経済では筆頭格の広東省の公衆がこの事件をどうみているかを掴むべく、広州社情民意研究センターか緊急電話調査を行った」

 と続きます。単に広東省で電話による緊急アンケートを実施した、では駄目なんでしょうか。まあそれはいいとして、調査結果はというと、

「7割の広東民衆が今回の件に憤慨している」

 ポイントはここからです。

「注目すべきは、『相当一部分』(翻訳不能。どっちかはっきりせい!)の広東民衆の日本製品購入について、この事件が影響していることだ。32%が日本製品の購入に対し今回の事件が『やや影響する』『影響が大きい』と回答。また32%が日貨排斥に『賛成』あるいは『割と賛成』と、強硬的な姿勢をみせていることだ」

 この記事のこの部分だけが一連の記事の中で際立った印象を受けます。足並みが揃っていない、ともいえるでしょう。あるいは跳ねっ返りの糞青(反日信者で自称愛国者)まがいの記者が、目立たぬよう「在日華僑」云々という無関係なテーマにこれを滑り込ませたのでしょうか。

 日貨排斥を前向きに扱った記事が国営通信社のサイトである「新華網」に掲載されるとは驚きです。だって日貨排斥をやったら困るのは中共の方じゃないですか。ただでさえ失業者対策が悩みのタネのひとつなのに。

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 まあ第一報以来、初めて「新華網」にまとまった李登輝特集のようなものが出たということになるのですが、上に紹介した「日貨排斥」を別とすれば、中共が最初に発した抗議声明の線より踏み込んだものはない、という印象です。

 「日貨排斥」が主流になったら面白いんですけど。

 ちなみにどのページに飛んでも、李登輝氏の写真は例のコスプレバージョンだけでした。中共もいたく気に入っているようです(笑)。


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 【追記1】このブログを投稿してから改めて「新華網」のトップに飛んでみたら、もう大見出しが変わっていましたね。渾身の李登輝特集はトップページの見出し一覧からも消えています。台湾が独立宣言をした訳でもなし、一般市民の関心は所詮その程度ということでしょうか。


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 【追記2】読者の方からの御指摘で、上記本文にある在日華僑団体が抗議声明を出した部分について、東京華僑総会については新華社の捏造であることが判明しました(コメント欄参照)。下に同総会による声明を掲げておきます。


件名:「台湾の声」【声明】東京華僑総会 歓迎李登輝先生

声明文 李登輝先生の訪日を歓迎する


私たち東京華僑総会は李登輝前総統が日本を観光で訪問されることに心からの歓迎の意を表します。

そして李前総統に入国ビザを発給した日本政府に対しても感謝いたします。

しかし中国政府のスピーカーである新華社通信が、李前総統の訪日に反対する本会名義の「声明」なるものをでっち上げました。本会は新華社が報じたこの声明が真実のものではないことを明確に表明ます。そしてこの声明を本会の真意といたします。

東京華僑総会 
会長 黄宗敏

2004年12月22日

http://www.emaga.com/bn/?2004120071346735001105.3407


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 お待ち遠様です。日本政府が今日(21日)、李登輝氏にビザを発給したとのことです。

 ●李登輝前総統にビザを発給(読売新聞)
 http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20041221i104.htm

 で、同日午後に都内で講演した王毅・駐日中国大使、ええ、中国に都合の悪いときには決まって雲隠れする(笑)エリートの王道を行く王毅は、この講演の中でビザ発給に関して「考え直していただきたい」と言ったようですが、発給した後にそんなこと言ってもねえ。そういう趣旨の発言をするなら、大使館を出る前にネットで情報ぐらい漁っておけ、というところですね。

「王大使は、李氏来日について「トラブルメーカーが戦争メーカーになるかもしれない」との表現で、強くけん制した」

 ●李登輝氏のビザ発給取り消し要求 王毅中国大使(産経web)
 http://www.sankei.co.jp/news/041221/sei051.htm

 というのは恫喝しているつもりでしょうか。王毅君、日本の政治家が真似したら大変だから、そういう言葉は使わない方がいいと思うよ。だって君の親分の胡錦涛、軍部に言うことを聞かせる力、まだないんだろ?

 あ!もしかして軍部の機嫌とるために「戦争メーカー」って言ってみたとか?色々大変なんだねえ(笑)。

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 ところで上の記事で王毅は、

「(李氏は)台湾独立勢力の代表的な人物。公職から退いたとはいえ分裂活動を進める急先鋒(せんぽう)だ。」

 と言っていますが、民進党の大物が相次いで来日していること、まさか知らない訳じゃないでしょうね。

 まず15日に謝長廷・高雄市長が成田から日本入り。そして何と民進党の主席代理である柯建銘氏も観光ビザを得て18日に来日です。

 ●民主党主席代理が訪日へ
 http://hk.news.yahoo.com/041218/12/17qzn.html

 この件について中国側が騒がない理由を王毅に是非聞いてみたいところですね。

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 民進党の有力者である上記2人のうち、謝長廷氏は17日夜に帰国しています。2泊3日の強行軍でしたが、たっぷりと「日本観光」を楽しんだようですよ。

 具体的な内容については関連記事を抄訳しておきます。

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謝長廷氏、訪日中に首相経験者2人・現職閣僚3人と会見
2004/12/18(亜洲時報)
----------------------------------------------------------------------
 15日、大陸(中共)を刺激しないようお忍び同然で訪日した謝長廷・高雄市長が17日夜、帰台した。2泊3日という今回の行程において、謝市長は首相経験者である森喜朗、中曽根康弘両氏のほか現職閣僚3人と会見、また自民党幹事長をはじめとした50余名の衆参両院議員とも会うなど、成果十分の訪日となった。謝市長によれば、日本の政府関係者たちは先に行われた台湾立法委員選挙の結果に強い関心を示し、一方で民進党内に国父孫中山を外国人と称する人がいたのは理解に苦しむ、との感想も述べたという。
(中略)
 17日朝、かつて4人の日本首相に秘書官として仕えた徳長氏(※1)が自らホテルまで謝市長を出迎え、びっしりとスケジュールの詰まった非公式外交活動がスタート。事前にマスコミへと情報が漏れ、中共の関心を呼ぶことを避けるため、謝市長は森喜朗前首相と東京のある有名ホテルの別館で会談を行った。そのあと数十台にのぼる黒塗りの乗用車が相次いで到着、自民党幹事長をはじめ同党及び民主党の現職閣僚や衆参両院議員姿が続々と現わし、森前首相の同席のもと、50人以上にのぼる政治家たちとの昼食会となった。
(後略)

http://www.atchinese.com/2004/12/1218twjp.htm

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 中曽根元首相との会見について具体的な情景描写はありませんでしたが、この記事によれば謝市長は首相経験者である森、中曽根両氏をはじめ、現職閣僚3人を含む自民党・民主党の衆参両院議員50名余りと意見交換を行ったとし、また帰国後にそのことについて陳水扁総統に報告を行ったとのことです。

 中国側が知らない筈はないと思うのですが、この件について騒がない理由を王毅に是非聞いてみたいところですね。王毅君、遊就館の喫茶店で零戦を眺めながら海軍コーヒーでも飲みつつ、どうだい?

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 【追記】中共はビザ発給の件について共同電を基に速報しています。
     http://news.xinhuanet.com/world/2004-12/21/content_2362506.htm
     http://news.xinhuanet.com/world/2004-12/21/content_2362521.htm

 【感想】外交部報道官の劉建超は少しダイエットした方がいいです。あれではチナブタ呼ばわりされても反論できないに違いありません。


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 【※1】すみません、この人物が誰なのか私にはわかりませんでした。御存知の方、解説お願いします。


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 李登輝氏の訪日問題で新しいニュースが出ましたね。中共と草加煎餅が大好きで趣味は社会人野球と外国の空港でボムという……あれ?間違ってたらすみません(笑)

 ●李登輝前総統:中国大使館幹部、入国ビザ発給で報復示唆(毎日新聞)
 http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/asia/news/20041220k0000e030059000c.html

 この報道によると、

 ▼中国の在東京中国大使館幹部は20日、報道陣に対し、日本政府が台湾の李登輝前総統に日本入国査証(ビザ)の発給を決めたことについて「中日関係にダメージを与えるのは間違いない。ダメージの程度は(李氏の)訪日内容などによる」と述べ、報復措置を検討していることを示唆した。

 だ、そうです。

 報復示唆っていうから「ええっ」と思ったら、「日本」じゃなくて「中日関係にダメージ」ですか(笑)。それじゃ中国も困るということじゃないですか。報復示唆というよりこれは哀願でしょう。

 言っていることも新鮮味まるでなし。だいたい「大使館幹部」って誰?これって名前隠すほどのニュース?「ダメージの程度は(李氏の)訪日内容などによる」って、急にトーンが下がってどうする(笑)。

 まあ、ひとつびっくりするような報復を是非、日中関係にもたらしてもらいたいものです。

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 ところで困ったちゃんは上の大使館幹部とそれを記事にして「報復示唆」と書いた人だけじゃないんです。

 デモです。北京の日本大使館前で李登輝氏へのビザ発給に抗議するデモが起きました。まあ、例によって糞青(自称愛国者の反日信者)たちによる「なんちゃってデモ」なんですけど(笑)。

 参加人数ですか?30人です。ええ、人口13億なのに30人。笑っちゃいけません。年初の小泉首相靖国参拝に対するものより5割増ですよ。動員力は長足の進歩を遂げたというべきでしょう。

 あ、以上は香港紙の報道によるものです。
 http://hk.news.yahoo.com/041220/12/17s8i.html

 ネタが少ないから書くことがなくて『明報』の記者も困っている様子です。だいたい30分で終了ですから(笑)。

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 糞青も愛国者(自称)ならもっと他にやることがあるでしょうに。例えば下の事件。

 ●国有企業の給与支給遅延に抗議、数千人が警官隊と衝突――四川省
 http://hk.news.yahoo.com/041219/12/17riw.html

 この件については稿を改めて取り組みます。旧正月が近くなるとこの種の事件がもっと増えてくることでしょう。


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 李登輝氏訪日のニュース、これは日中関係への影響はもちろん、胡錦涛政権にとっては「靖国参拝」を超えるインパクトを伴うものですから、こまめに動きを追っていくことにします。……有り体は久しぶりにまとまった中国語を書いたので(とはいえ2000字足らずですが)、ボーッとしてしまって下層幹部の汚職問題に入っていけないだけなんですけど(もちろん眠いというのもあります)。

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 さて、日本が「李登輝カード」を切って中共がすぐそれに反発したのが初日(16日)の展開でしたが、二日目である17日は大きな動きもないまま終わりました。……と、動きがないことが異様なんです。「評論員文章」(署名論評)のひとつでも出てくるかと期待していたのですが、案に相違して1本もありません。どうも中共は、本当に虚を突かれたようですね。

 17日は「新華網」に2004年の日中関係を振り返る特集と同様の主題を持つ論評1本、それに中国人は日本をどうみているかという調査結果を織り込んだ記事1本が掲載されました。

 ●特集「2004中日関係――責任は日本にある」
 http://news.xinhuanet.com/comments/2004-12/17/content_2337575.htm

 ●2005年は中日関係の剣が峰
 http://news.xinhuanet.com/world/2004-12/17/content_2346613.htm

 ●中国人はいったい日本をどうみているのか
 http://news.xinhuanet.com/world/2004-12/17/content_2347304.htm

 やや滑稽なのは、「李登輝カード」がこの年末になって出てきたために、どの文章にも十分にこの重大事件を織り込むことができなかったということです。
 まず特集以外の記事2本ですが、これは数日以上前に書き上げられた記事らしく、「李登輝訪日」のニュースには全くふれていません。

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 特集記事は……これが本当にプロの作品かと疑わせるような稚拙なリード(前書き)と素人くさいレイアウトで、江沢民チルドレンの反日信者、つまり糞青まがいの若手記者が任せれて嬉々として取り組んだ様子が目に浮かぶかのようです。久しぶりに電波ゆんゆん、解き放たれた糞青がこれまでの鬱積を一時に晴らしているような雰囲気なので私はリードだけ読んで敬遠しました。

 たぶん締め切り直前になって「李登輝訪日」のニュースが飛び込んできたのでしょう、レイアウトを大きくいじることもできないまま、ページの最下部に無理矢理空間をひねり出して極小フォント2行でこの事件を伝えています。

 いやしくも国営通信社の公式サイトの特集記事としては全体的に幼稚さを感じさせる出来映えですが、民度が民度ですし、馬鹿は馬鹿なりに一生懸命やったのでしょう。それがプロの仕事に値するかどうかは別ですが、中共の基準に照らせば合格なのでしょうから、まあいいでしょう。

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 ちょっと気になるのは、この最近にない禍々しい特集記事が、「李登輝カード」の出る前から手がけられていたということです。

 ●2度にわたる日中首脳会談(中国側にとっては満足できない内容だったと思います)
 ●軍部の気になる動き(※1)
 ●唐突な江沢民賛美(※2)

 上記3点については最近当ブログでも触れていますが、あるいは「騒がず脅さず」で黙って見守っていた台湾の選挙で、緑陣営(独立志向派)が負けはしたものの大敗しなかったことも加えていいかも知れません。

 いずれにせよ、基地外じみた「新華網」の特集記事が本格的な反日キャンペーンの嚆矢となるとは思いませんが、胡錦涛政権の従来の対日路線からすれば、かなりズレた内容であるように思うのです。

 中共にとっては「突発」した李登輝氏の一件と無関係にこの特集が作られていたのは、軍部を含めた党内に胡錦涛政権の対日路線に非を鳴らす勢力の存在を思わせます。考え過ぎでしょうか?

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 軍部の動向、というほどではありませんが、機関紙である『解放軍報』は新華社から出た記事を間髪入れずに転載しています。今回の事件に重大な関心を持っている、ということを暗示するのかも知れませんが、これも考え過ぎかも知れません。

 ときに党中央の動きの先触れとなる香港の親中紙『香港文淮報』は17日付の社説で今回の事件を取り上げています。

 ●李登輝の訪日許可は中国への挑発だ
 http://hk.news.yahoo.com/041216/199/17psy.html

 特筆すべき内容があるという訳ではありませんが、

「近年来、首相や閣僚の靖国神社参拝、釣魚島(尖閣諸島)侵犯、また『東シナ海資源紛争』を仕掛けてきたこと、『防衛白書』で『中国脅威論』をでっち上げたこと、台湾問題への干渉、それに対中ODA打ち切りを公の場で持ち出したことなど、日本政府の中国人民に対する非友好的態度は次第にエスカレートしてきている」

 というくだりは、上の禍々しい特集記事(責任は日本にある)と暗合しているようでもあります。これだけの材料ではまだわかりませんが、胡錦涛政権の対日方針に修正が加えられた可能性があるかも知れない、とは言えるでしょう。今回の「李登輝訪日」事件(といっても中共が勝手に事件扱いして騒いでいるだけなんですよね)に関する明確な意思表示が出れば、その辺もかなりはっきりするだろうとは思います。

 なお、『解放軍報』については新設の「棲息地その3」(※3)で多少ふれています。ただし中国語です。しかも稚拙。文字通りのお目汚しで相すみません。


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 【※1】当ブログ「やっぱりまだまだ江沢民?」(2004/12/13)
 【※2】当ブログ「靖国参拝さえ止めれば……て言ってたのは誰?」(2004/12/17)
 【※3】http://www.bloghk.com/blog.php?id=180064。ええ、かなりトゲのある内容の……と以前書いたアレです。面倒くさいのでバラします。中国語を自由に書く場所が欲しかったので確保してみた次第(実弾演習場のようなものです)。昔の名前で出ています。



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 いま、香港・台湾から中国にかけての記事漁りを終えたところです。時間が時間ですから、李登輝氏の訪日に関する中国側からの新しい報道などは出ていません。今ごろ躍起になって論評記事を書いているのかも知れません。……私もサイト回りを終えて一服つけているところですので、「廃話」(無駄話)を承知でちょっと雑談することを諒として下さい。

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 それにしても、首脳会談直前の「中国はそろそろODAは卒業だよね」もそうでしたが、小泉首相、今回もまた絶妙なタイミングで隠しカードを切ったものです。
 この動きを中国側が事前に予測していたのかどうかはわかりませんが、胡錦涛にしたら、重要な外交舞台を一通りこなし終えて、台湾の選挙も緑陣営(独立志向派)が敗北してひと安心、さあやるぞ、といよいよ内政に本腰を入れて着手し始めた矢先だったのではないかと思います。そこでこの「李登輝カード」を持ち出されたんですから、たまったもんじゃありません。

 何といっても、台湾絡みなのですから、党中央軍事委員会主席としての統率に関わります。ええ軍部の掌握ということです。
 靖国問題は世論が騒ぐのでそれはそれで大変ですが、ネット上の言論統制や思想引き締め、反日サイトの強制閉鎖など、これまでやってきた、あるいは最近着手した作業を続けていけば、国民に無言の不満が高まるというリスクは伴うものの、ネット世論が騒いだり、その挙げ句に先走って政府の足を引っ張ったりすることは防げます。まあ、それだけでも胡錦涛政権には大きな痛手ですけど。

 ところが「李登輝訪日」となると、これは世論より軍部が敏感に反応する問題です。軍部が騒いだり、ひいては先走ったりしたら、それこそ一大事。そうならないよう手を打ったり日本に対応したりすることになりますが、ここで時間を浪費してしまうことが痛いでしょう。

 政権にとって最大のテーマである構造改革(※1)、それに取り組むための「強権政治・準戦時態勢」がなかなか確立できないということになります。その間にも中共の存亡にも関わる様々な対立軸は深刻の度を深めていきます。「硬着陸」(ハードランディング)になるか「軟着陸」(ソフトランディグ)になるかはわかりませんが、本来なら経済状況に即しつつ構造改革に手をつけていく心積もりだった筈です。その擦り合わせが、うまく出来なくなるかも知れないのです。

 ちなみに人民解放軍の機関紙『解放軍報』のサイトをのぞいてみたら、「李登輝へのビザ発給に断固反対」という趣旨の新華社電が早くも掲載されていました。敏感に反応している訳です。
 http://www.chinamil.com.cn/site1/xwpdxw/2004-12/16/content_89927.htm

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 実は15日の夕方に「新華網」が気になる記事を発しています。タイトルは、

「新しい歴史条件下における軍隊の思想政治建設の成功した実践」

 とでも訳すのでしょうか。長文の記事ですが、これはかの江沢民が軍のトップとして十年にわたり行ったあれやこれやを諸手を挙げて賛美する内容なんです。
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2004-12/15/content_2338078_1.htm

 唐突な上に、内容が内容です。何か動きがあるのでしょうか。同じ15日にやはり「新華網」に、中国中央軍事委員会による、

「中国人民解放軍の『中華人民共和国薬品法』実施規定」

 なるものを来年1月1日より施行する、との布告が出ています。
 http://news.xinhuanet.com/mil/2004-12/15/content_2338111.htm

 前に書きましたが中央軍事委員会は党と政府の二本立てで(※2)、これは政府による新規定公布ですから、党ではなく「中国中央軍事委員会」の仕事になります。当然ながら布告文の末尾には、

「中央軍事委員会主席 江沢民」
 
 という名前が躍っています。江沢民賛美の長文と同じ日に出されたのは、果たして故意なのか偶然なのか。先日の「胡錦涛の前に江沢民の名前が」(※2)もそうですが、何だか微妙な空気が漂っているような風でもあります。そこへ、軍部にとって座視できない「李登輝カード」を日本が切ってきた、というのですから、いかにも香港の政論誌が喜びそうな舞台設定です。

 ――――

 まあ、これから一日でどんな反応が中国側から出てくるか、期待しつつ仕事に戻ります(※3)。

 最後に一言。日本の中で、

「小泉首相が靖国参拝を止めさえすれば、日中関係は全てうまくいく」

 なんて言っていた人たちには、今回の件はいい実物教育になったのではないでしょうか。 


 ――――


 【※1】当ブログ「新華網の『新防衛大綱特集』が示すもの」(2004/12/13)
 【※2】当ブログ「やっぱりまだまだ江沢民?」(2004/12/13)
 【※3】涙目で言わせて下さい。私は第一次年末進行突入ゆえ、明日の昼まで眠ることを許されないんです。



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 ちょっと速報気味に1本あげときます。

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 逢沢一郎副外相が訪中して、15日に温家宝と会談したようです。

 ●中国:経済制裁論議で北朝鮮核問題への影響を懸念――温首相(毎日新聞)
 http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20041216k0000m010060000c.html

 この記事の後段で、温家宝がまた靖国を持ち出しています。

「また、温首相は小泉純一郎首相ら日本の政治家の靖国神社参拝問題について「日中友好関係の障害となっている」と述べ、参拝中止を求めた。」

 だ、そうです。ところでこの会談は「新華網」も当日に報じています。以下に適当な全訳。

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●温家宝首相、日本の若手国会議員代表団と会見

 【新華網12月15日電(陳剛記者)】温家宝首相は15日、人民大会堂で日本の逢沢一郎副外相率いる松下政経塾出身の若手国会議員代表団と会談、中日関係について意見交換を行った。
 廬秋田・中国人民外交学会会長、武大偉・外務次官、阿南惟茂中国駐在日本大使がこの会見に同席した。
 逢沢副外相ら一行は外交学会の招きで訪中したもの。 

 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2004-12/15/content_2338186.htm

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 今日(16日)の新華網をまだチェックしていませんが、この時点では、またまた「靖国問題」を中国国民に対して伏せていますね。
 胡錦涛、温家宝と小泉首相が会談するまでの国内報道はこのノリでしたね(※1)。今回もやっぱり国内の対日感情に配慮、てとこでしょうか。
 何だか「靖国」って日本の内政問題なんだか中国の内政問題なんだかわからなくなってきますね(笑)。

 まあ冗談はともかく、一庶民としては逢沢副外相にブスっとした顔で一言、
「内政干渉」
 とだけ言ってほしいところですが。

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 そのかわりと言っては何ですが、唐突に来ましたねえこのニュース。

 ●李登輝氏、年内にも来日 政府、中国へ通告(『産経新聞』2004/12/16)
 http://www.sankei.co.jp/news/041216/sei022.htm

 ●「断る理由ない」 李登輝氏来日で小泉首相(共同通信2004/12/16/13:05)
 http://www.sankei.co.jp/news/041216/sei045.htm

 ええ、中国側はもちろん大反発しているようです。

 ●中国大使が政府に抗議 李登輝氏ビザ発給問題(共同通信2004/12/16/16:48)
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041216-00000126-kyodo-pol

 ●中国がビザ発給方針撤回申し入れ 李登輝前総統への(共同通信2004/12/16/17:52)
 http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=RANDOM&PG=FLASH

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 何だか共同通信がひとりで火をつけて回っているような感じがしないでもありませんが(笑)。

 駐日大使である王毅(※2)によれば、

「もしもそういうことがあれば理解できないし、受け入れることはできない」

 と言ったそうですが、王毅よ、理解できないのは君の民度のせいだということをまず知ることだ。受け入れたくないなら目と耳を塞いで、「李登輝氏は結局来なかった」と繰り返し念じつつ脳内妄想しておけばそれでいいのだよ。

「李登輝は退職した一老人ではない。中国を分裂する方向に狂奔している代表人物だ。その人物を日本に受け入れることは、日本政府が支持する『一つの中国』という政策に反する」

 とも言ったそうです。法制があって法治がない中共の面目躍如といったコメントです。私の台湾の友人が日本に遊びに来るのと李登輝氏の日本観光に何の違いがあるのでしょう?

 「李登輝は退職した一老人ではない。中国を分裂する方向に狂奔している代表人物だ」って、これも面目躍如ですねえ。思想の自由すら持てない民度では理解できないのも仕方ないですか。まあ「民主と自由/法制・法治」なんて、猿並みの愚民に持てる道具じゃないですからね。おっと筆が滑った(笑)。

 実例を挙げましょうか。また香港を引き合いに出しますが、同地では法輪功がガンガン活動していますし、今年初めに地元スターの梅艶芳が死去した際、その葬儀には1989年の民主化運動における学生指導者のひとり・ウーアルカイシ(吾爾開希)も参加しているんです。梅艶芳は生前民主化運動を強力に支持していたので、その縁だと思います。やはり参列したマッチ(近藤真彦氏)はたぶん「六四」とは別の縁によるものでしょうが。

 で、吾爾開希は葬儀に参列したあと、記者会見や講演を行って「政治活動」をやっています。それでも逮捕されなかった(香港当局は渋い顔だったようですが)のは、香港の法律がそれを認めているからです。今後はどうなるかわかりませんけど。

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 さて李登輝氏の件は香港でも速報されていまして、ビザ発給について劉建超・外交部報道官は、

「台湾独立・中国分裂活動を許容し支持するものだ」
「中国の平和的統一に対する挑発でもある」

 と、ここでも民度丸出しです。
 http://hk.news.yahoo.com/041216/12/17ob9.html

 李登輝氏へのビザ発給が「挑発行為」なら、潜水艦での領海侵犯は「実質的な宣戦布告」ぐらいに受け取っていいんですかね?(日本政府はこの潜水艦事件、国際社会でもっと騒ぎ立てていい筈です)

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 こういう風向きなら、中国国内の掲示板でガンガン「反日」を煽りまくった方がよさそうです。糞青(反日信者)を煽りに煽って、胡錦涛の大嫌いなネット世論の先走りまで引き出せれば万々歳。
 あ、前回紹介した一覧表(※3)をコピペすることもお忘れなく。あれは中共への反感を育むには絶好のネタですから。

 あと、「棲息地その2」には出しておいたのですが、下記の記事もコピペネタとしては外せません。コピペでなくとも、一読の価値はあります。

 ●『NY Times』が中国の捏造歴史教科書を報じた記事の中文版
 http://www.epochtimes.com/gb/4/12/7/n739700.htm
 ●量産される「反日」への考察
 http://www.epochtimes.com/gb/4/12/8/n741662.htm

 ああ今夜は忙しくなりそうです(笑)。


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 【※1】当ブログ「『日本叩き』に当局が圧力、メディアに加え反日サイトにも(下)」(20004/10/16)
 【※2】はやく靖国の遊就館で零戦を眺めつつ海軍コーヒーを飲め。いつでも付き合ってやる。
 【※3】http://www.bloghk.com/blog.php?id=178706


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