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NY・地下鉄NRの男

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
1998年頃から、
午前10時前後に、地下鉄NRに乗ると、必ずと言う位、ひどくかわいそうな姿の男が車両を移動している。
左手はねじれ、ひどく指が曲がり、身体は半分よじれて前に倒れている。足を引きずり、歩くのもおぼ付かない様子。
いつも右手に、缶詰の缶を持ち物乞いをしている。

あまりのかわいそうさに私はいつも、缶にコインを入れてあげようと思っている。が、慣れなくて、スムーズにお金を入れる事が出来なかった。

今日こそは、お金を入れようと思った日、地下鉄は32丁目の駅に止まってしまった。
彼は、急いで地下鉄を降りた。
私も32丁目は英会話の勉強の駅なので降りた。私は、彼のあとについていく形になった。

地上に出て数歩、彼は、何事もなかったように普通の歩調で、普通の人として歩き出した。

何ということだ!! 
何という演技力!!

後にも先にも、私は、こんな「真に迫った迫力ある素晴らしい演技」を見た事がなかった。

一体彼は何者なのだろう。

ブロードウエーの役者か?
本当に貧しいのか?
単なる趣味か?
趣味が高じての、本業か?
マフィアに働かされているのか?

私の憶測は、果てしなく広がる。

「”現実と嘘の区別がつかないNY Manhattan ”そのものが、芝居であるのが魅力のNY!!」


今でも彼は、「地下鉄NR の男」を、やっているのだろうか?

Manhattan 5番街 
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