大和源氏 後深草少将記

清和源氏の一流、大和守源頼親を祖とする
大和源氏に関する情報ページ。

杉村春子先生との写真

2005-12-03 01:01:23 | 雑記所 赤面の武士
 杉村センセーと云えば衆議院議員であるが、杉村先生と云えば今は亡き演劇界の大御所であった杉村春子先生である。
つい先日、フジテレビで放映された女の一代記シリーズ第三夜「杉村春子」を見てて思い出した事があった。
亡き母の嫁入り前の古いアルバムに母と杉村先生との写真があった事である。
 今から五十年以上昔の事ではあるが、神田猿楽町生まれの母は近所の
高級天婦羅店「天政」で働いていた。「天政」には芸能界や角界のお客様
も多く、他にも鶴田浩二・佐田啓二・坊屋三郎・栃錦や宝塚のお姉さん達
との写真がアルバムにある。
 最近では、と云っても20年くらい昔だが小説家のつかこうへい氏の
結婚式に出席した際に撮った女優の松坂慶子さんとのツーショットがある。
ちなみにつかこうへい氏の小説では、痩せてる母は「鶏がらのような女将」
と書かれ、父親にいたっては「背中に彫り物があるボディーガード代わり
の近所の親父」と云う事になっている。で私はと云うと両親の仕事が忙しく
父兄参観日に来て貰えぬと知りつつも校門前で両親を待つ可哀想な小学生
として書かれている。
 父にも母と同じ頃に杉村先生と直接電話で話したと云うエピソードがある。
当時、文学座の若手俳優であった伯父は実家で両親や兄弟と同居していた。
ある日、稽古日なのに時間になっても稽古に来ない伯父に杉村先生自ら家に
電話が掛かって来たのだ。「あらやだ、キンさんまだ家にいるの!とっくの
昔に稽古は始まってんのよ!!今すぐ来なさいよ!!!」実は声の似てる父
が杉村先生の電話に最初に出たのだ。
 昨年亡くなった伯父は演劇界や親戚の間では怖い存在らしく、葬式では
「キンさんにはよく怒鳴られました。」「先生には叱られました。」と云う
友人の俳優や弟子達と「先日も兄さんにラーメン屋で注文が遅いと叱られた
ばかりです。」と話す伯母や「小さい頃は叔父さんに叱られて怖かった。」
と云う甥や姪達の間で話が盛り上がっておりました。どうやら親戚中で
私だけが一度も伯父に叱られた事が無い事が判った次第です。
 その伯父も若い頃は杉村先生にはだいぶ叱られたみたいで何度も文学座を
辞めさせられそうになったそうですが、その度に長岡輝子先生に助けて貰った
そうです。まぁ結局は芝居に厳しい伯父も芝居に厳しい杉村先生に鍛えられた
って事なんでしょうね。
 そして先日の第23回トリノ国際映画祭にて伯父の最後に出演した映画
「美式天然」が「グランプリ」と「観客賞」を見事受賞して、伯父も天国で
杉村先生に「キンさん良かったわよ。」と褒められた事でしょう。