ゴエモンのつぶやき

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障害者労働への安全配慮義務違反、認めず

2018年06月20日 10時39分18秒 | 障害者の自立

 2014年5月、知的障害と学習障害があった男性(当時18)が自殺したのは、勤務先の会社が障害への配慮を欠いた労働をさせていたのが原因で安全配慮義務違反・注意義務違反があったとして、男性の両親が約8千万円の損害賠償を求めた訴訟で、静岡地裁浜松支部(上田賀代裁判長)は18日、「安全配慮義務注意義務の前提となる予見可能性があったとは認められない」として請求を棄却した。

 死亡したのは浜松市西区の鈴木航さんで、出勤途中に貨物列車に飛び込んだ。父親の英治さん(53)と母親のゆかりさん(51)が、自動車部品製造販売会社の富士機工湖西市)を相手取り訴えを起こしていた。

 裁判で原告は「携わっていたプレス機の作業が航の能力を超える過重なもので、会社は航に障害があることを認識して採用したにもかかわらず、その障害特性に応じた配慮をしていなかった」と主張した。

 判決は「能力に比して過重」であることを認め、「心理的負荷は大きかった」と指摘。自殺する前日に航さんの作業していたプレス機が止まる出来事があったことも考慮し、「うつ病などの精神障害を発症していた可能性もないとはいえない。様々な証拠から業務以外に自殺の原因となる要因は見当たらず、業務に対する心理的負荷が自殺を招いた」と認定した。

 ただ「プレス機の作業開始から2週間と短く、(航さんが)停止した出来事に責任を感じて思い悩む様子もうかがえず、様子に特段かわったところはなかった」として「業務が自殺を招き、うつ病などの精神疾患や精神障害を発症させる心理的負荷になることを被告が予見すべきであったとは言いがたい」として原告の主張を退けた。

 判決後会見した英治さんは「『バカはバカなりに努力しろ』といった発言が上司からあったことや産業医や専門家に相談しなかったことなどが裁判で明確になった。障害者に何の配慮をすることもなく、自殺と業務の因果関係が認められても最終的に会社に非がないというのはどういうことか」と述べた。ゆかりさんは「裁判を通し、航が一人でつらさを抱えていたことが分かった。裁判で航が大変な仕事をしていたということを認めてくれたのはよかった」と話した。

 控訴するかどうかは代理人弁護士らとよく話し合って決めるという。

 富士機工は「これまでの当社の主張が認められたものと考えています」とのコメントを出した。

写真・図版

判決後、記者会見し思いを語る鈴木英治さん(左)、ゆかりさん夫妻

2018年6月19日         朝日新聞


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