ゴエモンのつぶやき

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大阪北部地震の夜、障害者にお願いしたい配慮

2018年06月19日 13時55分29秒 | 障害者の自立

2018年6月18日朝、大阪北部で発生した地震に際して、障害のある方に対してお願いしたい配慮を、障害者の立場から急遽まとめました。

ご参考になれば幸いです。

避難所を例として

特に避難所の運営に当たられている方々、および避難されている方々へのお願いです。

皆様の状況は承知しています。

しかしながら被災地の障害者は、ふだんから負荷の高い生活を強いられているところに、災害の負荷を加えられているのです。

このことへのご理解とご配慮をお願いします。

動線確保のお願い

避難所内へのアクセスの確保

避難所内からトイレ、出入り口への動線の確保

福祉避難所として指定されていない場合でも、避難所内でのトイレへの動線の確保、出入り口への動線の確保をお願いします。

車椅子や歩行器を利用している方は、動線が確保されていないと身動きが取れなくなります。

もちろん、福祉避難所が近隣にあって容易に行けるのであれば、より適切な選択肢でしょう。しかし、常に福祉避難所が現実的な選択肢であるとは限りません。遠すぎたり、アクセスが阻まれていたり、開設が不可能であったりする場合もあります。

「障害者だから居られない」という避難所を最初から作らないことは、すべての方々の避難生活を、より過ごしやすいものにするはずです。

情報保障のお願い

すべての方に必要な情報が正しく伝わっているか否か

その方とコミュニケートするにあたって必要な手段は何なのか

視覚障害者・聴覚障害者・盲ろう者(視覚障害と聴覚障害の重複)・知的障害者など、健常者を前提とした音声・文字による情報提供では情報の届かない方々が、社会には常に一定数います。

必要な情報は提供されているにもかかわらず、実質的に届いていない人がいないかどうかに、ご注意をお願いします。

「視覚障害者だから点字」「聴覚障害者だから手話」ということはありません。むしろ、使いこなせる方のほうが少数派です。

さらに、盲ろうの方が使用するコミュニケーション手段は、人それぞれです。

しかしながら多くの場合、ご本人が何らかの形で、どうすればコミュニケートできるのかを示されるでしょう。

目が使えれば筆談、耳が使えれば音声、耳も目も使えなくても「掌に平仮名を書く」などの手段がありえます。

どうぞ、ご本人のメッセージに目や耳を傾けてください。

精神疾患(障害)・発達障害などへの配慮のお願い

不安やストレスに弱いことが特徴です

不安やストレスを加えず、軽減してください

ご家族の休息への配慮もお忘れなく

健常者が不安でストレスフルな時、精神疾患(障害)・発達障害の方は、もっと不安でもっとストレスフルなのだということを思い出してください。

不安やストレスを増やさず、軽減することを心がけてください。

ご家族がいる場合には、ご家族が充分な休息を取れているかどうかに関心を向けてください。ご家族が追い詰められてしまうと、適切な対応はさらに難しくなります。

ごく大雑把に言えば、精神疾患(障害)・発達障害の方は、不安やストレスに対する耐性が何らかの形で不足している方々です。独特の不安の表現や、ご本人にとって切実なストレス対応が、他者から見れば精神症状や問題行動になります。

ご本人が「奇声」「奇行」を責められて避難所に居づらくなったり、激しい疲労消耗から動けずにいるところを「共同作業に参加しない」と責められて避難所を去ったりする前に、不安やストレスの軽減を考えていただけないでしょうか。

災害がきっかけで新規に発症する場合もあります。また、ふだんは問題にならないほど軽かった症状が、災害をきっかけに急激に悪化したりすることもあります。

精神疾患(障害)・発達障害の方が抱える問題は、すべての方に当てはまる問題です。

「避けてほしい」というニーズの把握を

ニーズには「してほしい」「避けてほしい」の2種類があります

「避けてほしい」ニーズは、他人が想像できるものではありません

可能なら、「避けてほしい」ニーズの把握を

被災地に水・食料・トイレ・寝袋・毛布などのニーズがあり、人手が必要なことは、多くの方々が容易に想像できるものです。また多くの場合、実際にそうです。

車椅子を使う障害者がいれば、段差の解消や動線の確保が必要なことも、容易に想像できるものでしょう。

しかしニーズは、常に「必要」という形を取っているとは限りません。「避けてほしい」「やめてほしい」というニーズもあります。

把握されにくく語られにくいのは、「避けてほしい」「やめてほしい」というニーズの方です。だからこそ、把握する努力、聞き取る努力が必要です。

たとえば、精神障害者保健福祉手帳を交付されている精神障害者の多くは、自分がどのようなタイプのストレスに弱いのか、長年の病気との付き合いで知っています。もしも、避難所生活が始まったその日のうち、不安が高まる深夜を迎える前に率直に話してもらうことができれば、信頼構築にもトラブル回避にも大いに役立つことは間違いないでしょう。

とはいえ、誰が精神疾患(精神障害)・発達障害などを持っていてストレスに弱いのか、事前に判明しているとは限りません。「本人や家族がカミングアウトしていない」という場合もありますが、災害がきっかけで発症する場合も、居住地以外の場所で被災する場合もあります。

事前の情報に基づいて適切に対応できる場面の方が、例外的なのです。

理想は、全員に対して「……を避けてほしい」「……はしないでほしい」というニーズの聞き取りがなされることではないかと思われます。そうすれば、全員それぞれに対する配慮の中に、障害や疾患、あるいは現在の状態による特別なニーズへの対応などを位置づけることができます。

現地の方に、より多くの安全と休息を

障害者を含むすべての方が、より安全に、より休息できる環境で今晩を過ごされることを、心より祈ります。

みわよしこ  | フリーランスライター(科学・技術・社会保障・福祉・高等教育) Yahoo!ニュース   6/18(月)


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